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秋の桜子詩集

わらべ唄 黒

作者: 秋の桜子

とおらんせ 通らんせ

念仏唱えてナンマイダ


九重(ここのえ)宮中おくふかく 


八重の桜が咲き乱れ


ハラヒラヒラヒラ 

花弁もも色舞散れば


とおらんせ 通らんせ


七つの祝のその夜に

無垢な着物に袖通し 


無邪気な顔の今上(きんじょう)はん


空を舞う舞う朱金ときいろ

ギンギラキンキン光らせて

目玉が狙う 今上(きんじょう)はん


とおらんせ 通らんせ


五行九字斬る陰陽師

袂の内から紙出せば 


呼んで名をつけ 呪をかける


闇色お空にそれ放つ


とおらんせ 通らんせ


三つ眼硝子目 闇ガラス


式に追われててんてこ舞い

くるくる回り逃げ惑う


逃げるは逃げる黒い空


とおらんせ 通らんせ


一声響き渡るは明けの空


雄叫び空の静寂 切り裂いた

夜が終わりを 告げていた

呪詛はカラカラ消えていく


とおらんせ 通らんせ

念仏唱えてナンマイダ


一番星が空一つ 

逢魔が時に空ひとつ


二人が寄り添い歩く道

薄墨色の空の下


とおらんせ 通らんせ


桟橋歩く二人連れ 

傍に咲くは曼珠沙華

橋神出逢い二人に

行を与えらし橋の神


とおらんせ 通らんせ


呼んではならぬ互いの名

破れば床抜けまっくろけ

窯の口 ポカンと開かれる


とおらんせ 通らんせ


ごうごう轟々 ゴロゴロと

 

稲光響いて墜ちてくる

五臓六腑を切裂けば 

無言の行に耐えかねて

互いの名を呼びすがりつく


とおらんせ 通らんせ

念仏唱えてナンマイダ


六道の決め事破ったと


ヒュルルと姿ダす

獄卒の足音迫る 橋の上

ふたりの背中を捉えんと


とおらんせ 通らんせ


七つの守りが消え去って


唱える言葉は ダダひとつ

念仏唱えてナンマイダ


とおらんせ 通らんせ


八重の花びらはらひらと


涅槃の慈悲が降りてきた

念仏唱えて縋れよと

一筋下がる細い糸


とおらんせ 通らんせ


九死に一生 得るために


縋る二人はナンマイダ


とおらんせ 通らんせ


念仏唱えてナンマイダ

糸はキラキラナンマイダ


とおらんせ 通らんせ

念仏唱えてナンマイダ


二人はほうそい糸に 

縋りつく

ナンマイダを唱えずに


忘れて掴む細い糸

プチンと切れた糸の音 

轟々ヒュルルと地の底の

地獄の窯が開かれた。

お付き合い頂きありがとうございます。昨夜旦那様がね、酒飲みエンドレスリピートトークショーを繰り広げ、主婦はイラッとなり、怨度が高めになりましたよー。←スッキリ♡


今上はんとは、天皇はんの事です。


白バージョンは菩薩の如き清らかに、穏やかに心うちがなれば、出てきますことでしょう。(ないでぇ!)南無阿弥陀仏ー。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  怖い~。  逢魔が時の人が居ない路地で、見知らぬちっちゃい女の子が、手鞠をつきながら唄ってそうな……。
[良い点] 呼んではならぬ互いの名 ここ好きですよ! 下がってまた上る数え歌! さすが桜子さん! やりますね! いい!
[良い点] すごい。まさかのナンマイダ! ノリノリで呪ってますね(*≧∀≦)
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