全力勇者と裸エプロン
グラたん「あらすじが本遍です!」
王様は俺にこう言った。
「勇者よ。今、世界を救えるのはお主だけだ。魔王を倒してくれたのなら、どんな願いでも一つ叶えてやろう」
「姫様の裸エプロン」
「良かろう。考えておこう」
王様はそう答えた。
「さあ勇者よ、旅立つが良い!」
こうして俺の旅は始まった。
あれから色々なことがあった。
色々は色々だ。それ以上でも以下でも無い。
「ククク、よくぞ来た勇者よ!」
目の前にいるのは人類の仇敵、魔王。
「ここまで来た褒美として我の部下にしてやっても良いぞ。なんなら幹部待遇、否、我は懐が広いから総帥にしてやろう! 一日三食おやつと昼寝付きだ!」
魔王。推定年齢15歳。ロリ巨乳少女。
「一日中昼寝していても良いぞ! 全てを我に任せるが良い! 耳掻きもしてやろう!」
彼女は必死に命乞いしていた。そも、彼女にはカリスマ性はあっても戦闘能力は無い。
「つまらん」
何を言われても心動くことはない。
「俺が求めるのは姫様の裸エプロン。それだけだ」
「……これで良いかの?」
フッ。魔王が何をしようと所詮はーー何それ超可愛い!? ロリ巨乳羞恥涙目裸エプロォォォォンッッッッ!! ホアァァァアア!!
「ブバァ!? ば、馬鹿な……。四天王でさえ傷一つ付けられなかった俺が、鼻血を……?」
「ゆ、勇者よ! ほら、要望は叶えたぞ! も、もう良いだろう? さ、流石にここじゃ恥ずかしいのだが……」
可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛いィィィィ!!
トゥンクッッ。心臓が止まった。
「ぐうう。こ、これはキュン死の魔法! 魔法反射の鎧すら貫通するとは……!!」
「も、もういいだろう! これ以上望むなら我が配下にでも旦那様にでもなれ!! そしたら、その……私室で存分に、だな……」
ア"ア"ア"ア"ア"!! 裸エプロンがぁああ!!
でもテンパって魔王服じゃなくて私服着ちゃってるところがまたGood。しかも俺がデザインした今流行のチャイナドレス! スリットから見える生足エロス!!
全身が、熱い! まるで赤血球が沸騰しているようだ! 目からH2Oが止まらない!
「ゆ、勇者?」
手から剣と盾が滑り落ちてカランカランと渇いた音を立てた。足に力が入らず膝から崩れ落ちる。
「俺、俺は……」
もう負けても良い。そんな思考が過ぎる。
「いや、まだだ。まだ、俺はーー!!」
俺は勇者。魔王を倒して世界を救うんだ!
村人が、町の人たちのためにも俺は戦わなくちゃいけない。負けられないんだぁぁああ!!
「泣いておるのか、勇者よ? よしよし。お主も本当は泣くほど戦いたくなかったのじゃな」
ぽむぽむ、と頭を撫でられて暖かい腕に包み込まれる。
「我が腕の中で休むが良い。疲れておるのじゃ」
こ、これは、失われた伝説の魔法『ママ』!? この魔法を食らった者はバブってオギャるしかなくなる!! まさか魔王がこの魔法をーー……。
「もう……終わっても良い……」
「そうか。では、この戦いを終わらせようかの」
俺は魔王に負けてしまった。
結局、王国と魔族は終戦して戦いは終わった。
世界には平和が訪れたし、俺の事は魔王を説得した伝説の勇者として後世まで語り継がれるようだ。
魔族も実は戦争にうんざりしていたらしく、諸手を挙げてこの終結に賛同した。
平和の象徴として俺は魔王と婚約することになった。
めでたし、めでたし。
登場人物一覧
勇者
説明:チートの塊。
魔王
説明:勇者大好き。裏で各地の長や王様と取引していた。
王様
説明:妻は四天王・土のカレェ。
姫様
説明:危うく裸エプロンにされるところだった。
元帥ポティト
説明:魔王軍最強の料理人。くっコロ好き。
四天王・水のカルパッチョ
説明:パスタ料理に関しては元帥よりも上。
四天王・炎のマーボゥ
説明:中華料理好き。勇者のチャイナドレスの発想に負けた。
四天王・風のピッツァ
説明:イタリアン専門。エルフの里は故郷。
四天王・土のカレェ
説明:カレー大好き人間。世界を旅していたところを魔王にスカウトされた。
精霊族
説明:面白いこと大好き種族。鎧はふざけ半分で作ったもの。パスタは細くて食べやすいので好みになったとか。現在は勇者が朝食に作った炒飯が大ヒットしており、森の中では日夜良い香りが漂っている。
オーガ族
説明:激辛大好き種族。激辛中華料理だけでなく激辛カレーもイケる。勇者の提案したチャイナドレスに心打たれ、絶賛量産と販売中。剣を打ったのは399年10か月ぶり。
エルフ族
説明:ベジタリアン種族。里で過ごすとエルフと同等に近い寿命になることが分かり、エルフの里に住む人が急増中。エルフは肉や魚を食べないとされていたが、実はただの食わず嫌い。最近は勇者が気まぐれに作った『ピザトースト』が流行中。
ドワーフ族
説明:食べ盛りが多いためカレーは主食。土のカレェと共に日夜カレーの研究をしており、最近はレトルトパックを販売し始めた。また、勇者の繰り出した『カレー×牛乳』のコンボはドワーフ族の村を激震させた。