第14話 『Former Rain in the city』
僕とかおりはしばらく二人で買い物をした。たまには無駄なものを買ってみてもいいかな? と思いキーホルダーを買った。もちろんかおりの勧めだ。相棒のキーに付けてくれのことだ。
こうやって二人で歩いているとやはり恋人同士に見えるのだろうか? もしかおりと付き合っていたらなにか変わっていたのだろうか? 毎日会う友達、遠距離の恋人。これだったら毎日会う友達の方がいい。
「じゃ私はあっちの方行ってくるね」
「わかった、買い物終わったらメールして、それと買いすぎ注意。スクーターに乗せられるのは限界があるからね」
「わかった。戻ったらさっきの事話してもらうわよー」
そう言い、かおりは人ごみの中へと消えていく。
「あっ、うん……」
覚えてたんかい! まぁ、相談役にはいいかもな。僕はとりあえず本屋と楽器屋を探すことにした。しかし、道がわからない。とりあえず商店街に行けばあるだろう、と思いながら僕も人混みの中へ入っていく。
楽器屋は面白いほど見つかった。最初行った店で試し弾きをした後、他にも楽器屋はないか、と質問したらたくさんあってびっくりした。結局全部の楽器屋に立ち寄った。
買った物は十二弦用の弦、ペグ、ブリッチなど、ペグも十二個あると結構な額はした。これでネックさえ治せばいつでも使える状態だ。かれこれ三時間は暇を潰せた、後は本屋に寄って続きの本を買おう。本屋なら少し戻ればあったはずだ。
だがいつもタイミングが悪い。
ポケットからワンワン鳴っている携帯を取り出し耳に当てる。
「もしもーし。買い物終わったから戻ってきて」
本を買ってる時間はなしですか……。
「わかった、十分くらいで着くから」
「五分できなさーい」
「わかったよ、走っていくから待ってて」なんでいつもこうなのか?
「ストップウォッチ、スタートぉ!」
なんでいつもこうなのか!?
「二分遅刻~」
「絶対そのストップウォッチ早いよ……」
僕は肩で息をしながらふとかおりを見ると……。
大量な荷物がそこにはあったー!
「なんでそんなに買い物してるんだ!」
「積めない?」
「多分ギリだけど、注意したのに……」
「積めるのならいいじゃん」
かおりめ……スクーターの限界を知らないな……。