僕の新しい友達を作る為に
「さってと、それじゃあ弧門さんに頼まれちゃったし、君が泊まる部屋まで案内するよ。私の名前は 谷崎 琴音。君の名前は?」
そう聞かれると
「僕の名前は比嘉 翔太郎です」
と、すっと言う事が出来た。
「そっか、それじゃ行くよ比嘉くん」
そう言うと、谷崎さんはゆっくりと歩き始めた。
僕も慌ててついていくと、僕達がいた所の隣の大きな白い建物に入って行った。
「ここは?」
「ここは、みんなが泊まっている宿舎だよ」
「さっきの建物とは違う所にあるんですね」
「さっきの建物は、主に私みたいにここで働いている人達が寝泊りする所なんだよ」
「そうなんですか……一緒じゃないんですね?」
「うん。一緒にしたって大丈夫だと思うんだけどね」
なんで一緒にしないんだろうと思っていると、谷崎さんがとても小さな声で
「ひょっとしたら、怖いのかな?私はそうでもないんだけど。でも……」
と呟いたように見えた。
僕が、何が怖いの?と聞こうとした時に、
「あ、ここだよ。君がこれから泊まる部屋の307号室」
と言われ、つい聞きそびれてしまった。
部屋には大きな二段ベッドとクローゼット、そして机が設置されていた。
「わぁ、綺麗な部屋ですね」
「でしょ。ただこの部屋実は相部屋でね。一緒に住んでもらう事になるけど、大丈夫かな?今からなら変えられるけど?」
と、少し不安そうな表情で聞いてきた。
「大丈夫です。僕も1人だけだと寂しいですから」
そう答えると、安心した表情で
「よかったー」
と言って少し笑っていた。
「じゃあ夕食までまだ時間もあるし、少しゆっくりしててね」
「あ、ちょっと待ってください」
「どうかした?ひょっとして何が心配なこと?」
「い、いやそうじゃなくて、僕と一緒の部屋の人に一回会いたいんですけど」
「ああー、たしかに会っておいた方がいいかもね。 じゃあ今から行ってみようか?」
「はい。お願いします」
そう、一緒の部屋になると言われて少し心配になったのが、一体どんな人なのか。怖い人じゃないといいけど。
そんな事を考えていると、それを察してからか
「大丈夫。一緒になる子は少し変わってるけど、多分すぐに慣れるから」
そう言われて少しホッとした。
「それじゃ、一緒に行こうか。多分今あの子は裏庭にいると思うから」
そう言うと部屋から出て、ゆっくりと歩き始めた。
この頃には完全に、谷崎さんに何が怖いのかと聞くのを忘れていた。
これを忘れていなくて聞いていたら、少しは未来が違ったのかな……
来週中にひょっとしたら、3話分くらいの読み切り小説を投稿するかも知れません。