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全てを忘れた子供達  作者: RARUHI
2/13

僕がここで生きるために

「よし、着いたよ」


そう言われてふと前を見るとそこには『院長室』と書かれた札のかかった木の扉があった。


「あの、ここは?」


「ここは院長室ってゆう部屋で、この孤児院の院長をしている人の部屋だよ」


(どんな人なんだろ、緊張するな……)


そう思っているとその事を見透かしたように


「あー、そんなに身構えなくても大丈夫だよ。院長さんとっても優しいから」


と笑いながら話してくれたので、少し安心した。

そして、男の人が失礼しまーすと言って院長室に入っていったので慌てて、失礼しますと言いついて入った。

すると部屋の奥で1人の女の人が窓から外の景色を見ていた。


「あらいらっしゃい。改めまして、ようこそ始まりの家へ。私がこの院の院長をしている、倉持 環奈です。よろしくね」


「よ、よろしくお願いします」


「倉持さん、この子が俺が言ってた子です」


「君の名前は?」


そう倉持さんに聞かれたが、自分の名前に自信が持てなかったため、言いあぐねているとそれを察してか


「ああ大丈夫、大丈夫。まだ記憶が曖昧だから名前が思い出せないかもしれないから」


と気を使って言ってくれた。

ただ、僕は


「でも、名前だけは何となく思い出せました。僕の名前は、比嘉 翔太郎です」


と言った。

とても不思議だったのが、苗字の比嘉は出てきていたけれど名前が思い出せなかったのに、ふっと名前が言えた事だった。


「そっか、比嘉 翔太郎くんか。じゃあこれからよろしくね、比嘉くん」


そう言われて、手を差し出された。

僕は一瞬ためらったが、ゆっくりと握手をした。

何故かは分からないが無性に嬉しかった。


「さってと、それじゃあ比嘉くんそろそろ行こうか。君の新しい部屋に案内したいからね」


「あ、はい分かりました」


「それじゃあまたね比嘉くん」


そう言って倉持さんが手を振ってくれたので、僕もはにかみながら手を振り、部屋を後にした。


「いやー、でもよかったー。倉持さんも気に入ってくれたみたいだし」


「……あの、少し気になってんですけど倉持さんってどういう人なんですか?僕みたいなのが急に来ても受け入れてくれて、普通の人じゃ出来ない気がするんですけど」


「あ、そーゆーことか。まぁ気にもなるよね。実は倉持さんは、ある財閥の会長さんの1人娘なんだよ。ちなみにこの建物も全部倉持さんの家がお金を出してくれたから建てられたんだよ」


「じゃあ本当にすごい人なんですね」


「そうだよ……っとあーいたいた。谷崎さーん、こっちこっち」


そう言うと歩いていた女の人を呼び止めて何やら話を始めた。

そして話終わると


「それじゃあ今度はあの人について行ってね。君を部屋まで案内してくれるから」


「そうなんですか?」


そう言われて、少し寂しくなってしまったけれど


「大丈夫、また会えるから」


と、言われてとても嬉しかった。

別れる間際に名前を聞いていない事を思い出して


「あの、最後に名前を聞いていいですか?」


と聞くと


「おっと、言い忘れてた。俺の名前は弧門 将吾

今度からもよろしくな」


と言ってくれた。

弧門 将吾か……かっこいい名前だな。

そう思いながら僕は弧門さんと別れた。

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