目覚めの霧の中
翌朝、牡丹は目が覚めると驚きと感動がやってきた。知らない天井と大好きな人の気配。
( アタシ本当に引っ越したんや。 )
牡丹は布団から起き上がり、カーテンを開けた。新たな生活に相応しい温かな太陽の光が・・・
そんな事は無く、大雨が降っていた。
窓を激しく叩く雨。
( 雨やん・・・せっかく楽しい気持ちが台無しやん・・・でも良太の寝顔を見ちゃお♡ )
牡丹はピンクの花柄パジャマのまま、良太の部屋へと向かった。
扉をそっと開けて枕元へ近づくと、子供のような寝顔の顔があった。
( またこの夢か・・・ )
真っ暗な世界。
光は3つあった。
「 りょうたぁ♡幸せに暮らそうね♡ 」
( 牡丹の声か・・・優しいな・・・ )
「 良太♡あなたは私のものよ♡スグに行くからね♡ 」
( 金蘭だな・・・なんだか怖いな・・・ )
「 良太さん♡あなたは**のパンツを見ました。もう**だけの良太さんですよ♡ 」
( 聞き覚えがない・・・パンツだと・・・ )
最後の声はどこか聞き覚えがあるが、思い出せない。可愛い声だった。
( まったく・・・パンツってなんの事だ? )
意識がハッキリとして、目を開ける良太。
目の前には、なんとも可愛らしい顔。
子供を見るような優しそうな眼・・・
「 牡丹さん・・・俺の部屋なんですが? 」
「 おはよう良太♡寝顔見ちゃアカン? 」
牡丹は首を少し傾けながら可愛らしく聞いた。
起き抜けにこんな顔されると、年頃の青年。
首を持ち上げてその唇にそっと触れた。
「 ちょ!なにしてんの!恥ずかしいやんか! いきなりはアカンって! 」
牡丹は真っ赤になり、部屋から出ていった。
( 俺は今、何をしたんだ・・・ )
寝ぼけた良太はキスしたのを自覚していなかった。
寝巻きから、部屋着に着替えてリビングへ行くと牡丹に睨まれた。
「 えっと・・・おはよう牡丹。 」
牡丹は顔を赤くして、頷くだけ。
( なんで普通に挨拶出来るんよ・・・アタシだけ恥ずかしいやんか・・・ )
良太は不思議に思いながら、朝食の食パンを冷蔵庫から出そうとした所で。
ピーンポーン♪
( とうとう来た・・・アタシのライバル )
次話は夜中です。




