始まりの夕飯
牡丹はリビングを見渡して、涙目になっていた。
そこへ良太が追いかけて来て、牡丹の様子に気がついて声をかけた。
「 急ぎすぎだよ牡丹。ってどうしたの!? 」
「 好きな人と今日からここで一緒に住めるって思ったらなんか、泣けてきて・・・ホンマに嬉しいんやって思って。 」
牡丹は1粒の流れた涙を拭い、笑顔を良太に向けて元気な笑顔を見せた。
「 段ボールは良太が運んで。それとアタシの部屋はどこ? 」
「 2階の階段の左の部屋だよ。段ボールは、あれで全部なのか? 」
良太は外に行きながら答えた。
そして思った。本当にシェアハウスが始まるんだと。
滞りなく引越しは終わり、気がつくと午後4時。
「 終わったー!ありがとう良太♡ 」
牡丹は汗1つかいていない。
良太が率先して、荷物を運び家具の配置等の力仕事を全てやってのけた。
さすがに服の整頓は牡丹に任せたが。
「 牡丹は入居者1号だからな!少しはカッコつけさせてくれ。 」
「 うん!カッコイイよ♡ 」
良太は牡丹とシェアハウスするにあたって、言葉遣いを変えた。妄想や独り言の時の口調の方が生活しやすいと思ったからだ。
牡丹も言葉の端々に恋愛感情を入れて良太と話すようにしていた。
「 晩飯はやっぱり蕎麦がいいか? 」
「 蕎麦苦手やから、ハンバーガー食べたい! 近くにあったから一緒に行こ!」
牡丹の提案に同意した良太は財布を持って、最寄りのハンバーガーチェーン店へ行った。
・・・ハンバーガーチェーン店ですが、マクコ・ナンドとゆうフィクションの店名です・・・
店のテーブルに2人で座り、ハンバーガーに舌鼓を打っていると。
「 マッコで男女で2人っきり・・・アタシらデートみたいやな♡ 」
「 俺達は家族だよ。牡丹がデートって思うなら デートだよ・・・ 」
良太は真剣な眼で牡丹を見つめながら言った。
シェアハウスとはいえ、同じ屋根の下暮らすのだ。一種の家族と言っても過言では無いと良太は考えていた。
「 ふぇぇ・・・うん♡家族だよね。 」
牡丹は俯きながらたまに、「 家族、お嫁さん うふふ」と呟きながらハンバーガーを食べていた。
書いていて嫉妬しそうです(笑)




