勉強会の巻
放課後、雪野さんと勉強会を開いた。
勉強会とはいえ2人しかいないのだが、まさかこんな地味男な俺が女子と勉強する日がくるとは…
ちなみに雪野さんは文系で、数学が苦手らしい。
理系の俺に数学を教えてほしいということだ。
理系だから数学が得意という訳では無いのだが…
そこは仮にも医学部志望、恥ずかしい所は見せられない。
「あのー、この問題なんですけど…」
「ああ、数列の問題だね。これは次数を1つずらしてここをこうして…」
「すごい!どうして分かったの?!」
雪野さんから羨望の眼差しを向けられ、初めて自分のしてきた勉強が報われた気がした。
大学にはまだ受かっていないのだが…
「じゃあ、次はこの問題のココを教えてくださいっ。」
雪野さんとの距離がグイッと近くなった。物理的にだ。そして気づいてしまった…
雪野さんは少し大きめの丸メガネをかけていて、背は高めで少し茶色っぽいロングヘアー。どことなく気が抜けた感じがするのだが、、、
胸がでかい…
もう一度言おう。
胸がでかい!!!
クソっ!今まで女子とまともに話したこともない童貞には刺激が強すぎる。露出は無いのに何故こんなに…こんなに…くっ!
「どうしたの?氷室くん、暑いの?」
「い、いや大丈夫。えーとこの問題は、微分だね!」
「う、うん。ここから先が詰まっちゃって」
いかん、意識し始めたら頭から離れなくなってしまった。問題に集中するんだ!かっこ悪い所は見せられないぞ!
「えーと、まずはこの関数のグラフを書いて見ようか。」
「分かった。えーと、まずは微分して増減表書いて…できた!こうかな?」
「うん、合って…ブッ?!」
そこに書かれていたのは美しく滑らかな2つの凸であった。グラフは間違っていない。だが、今の俺にとっては…
「あってぶ…?氷室君?」
「ごごごめん、なんでもない、合ってる合ってる」
その後も俺は動揺を隠すのに必死だった…
そうこうしているうちに、すっかりいつもより帰りが遅くなってしまった。
今日はなんだか、とても疲れた…