くんかくんかの巻
あらかた妹の引っ越しの方は方が着いたところで、今後について妹と話し合うことにした。
「エリ、今後一緒に暮らしていく上でルールを決めておこう」
「はい、兄さん」
相変わらず可憐な笑顔だ
「まず飯についてだけど…」
と俺が言いかけたところでエリがすかさず
「ご飯は私が作りますっ」
「え、いや、悪いよエリにだけ作らせるなんて…」
「いいえ兄さん、私が作りたいんです!」
「わ、分かったよ。じゃあ洗濯は俺がやるね」
「ダメです。洗濯も私に任せてくださいっ」
「え、ええー…」
よほど俺はエリに信用されて無いらしい…
というより、エリってこんなキャラだったっけ?
家族で暮らしてた時はこんなにハキハキしてなかったような…
まあ、1年もあれば多少心境に変化があってもおかしくはないか…
5つ下の妹に家事全般をやらせる兄というのはどうなんだろうかと思いながらも、正直これは有難かった。勉強に心置き無く集中出来るからだ。
まぁ、ここまで信用が無いのは少しショックではあるが…仕方ないか…
しかし、それは大きな勘違いだったと、俺は後に知ることになる。
妹が引越してきてから1週間が経ったある日、事件が起こった。予備校で自習していた俺は、その日は妙に眠くて、いつもより早く帰ることにした。
時刻は17時前、エリが帰ってきていてもおかしくはない。
が、家の鍵はかかっていた。どうやらまだ帰ってきていないらしい。
鍵を開けて中に入ると、異変に気づいた。部屋の電気が付いている。というか、人の気配を感じる…。
エリなのか?いや、エリだったらいつも俺が帰ってきたらおかえりと律儀に迎えてくれるし、鍵だって掛けない。
まさか、泥棒?!
警戒しながらそーっと部屋のドアを少しだけ開けて中を覗くと、そこにはエリがいた。
なんだ…エリか、
ホッとしたのもつかの間、何だかエリの様子がおかしい。
後ろをむいて座っているからよく分からないが、何やらブツブツ呟きながら、何かを頬にスリスリしている。
うん?あのしま模様の布は…おれのパンツか?!
な、ななななんでエリがおれのパンツをスリスリしているんだ?!
信じられない光景を目にしながらよく目と耳を凝らしていると、エリの行動は過激化した。
「くんかくんか、スーーはぁ、スーーはぁ
ああ、兄さん♡兄さん好きっ♡愛してるっ♡」
エエエエエエエエエエぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!
俺は頭を抱えて心の中では絶句した。
そんなバカな!ありえない!俺の知っている妹はあんなことはしない!真面目で清純でスーパーウルトラハイスペック聖人の妹が…あんな…あんな…はしたないことをするわけがない…
というか俺のこと好きとか、愛してるとか、ありえないだろ!これは幻想に違いない、うんもう一度よく見てみよう。チラッ
「アアア、兄さんの匂いがするっ。クンカクンカ♡」
ノォォォォォオオオオオ!!!!!!!!!!!!!!!!
目の前の現実が信じられず、思わずガタッと物音を立ててしまった。
「兄さん?」
しまった、どうする…いや、ここは見なかったことにするしかないだろ、お互いのために…
「た、ただいま〜いやー今日は妙に眠くて早めに帰ってきちゃたヨ〜」
俺は必死に平静を装う
「い、いつからそこにいたの?兄さん」
妹が若干たじろぎながら言った。
「たた、たった今帰って来たところだよ。あ、洗濯物畳んでくれてたんだー。ありがとうなエリ」
最後は少し棒読みになってしまった。
「そっか、おかえりなさい
もうすぐ夕飯作るから待っててくださいね」
妹はホッとした様子で言った。
とんでもないものを目にしてしまった…
俺は今後今までのように妹と接することができる自信が無かった…




