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チョコとしぼうフラグ

作者: 福月三十

 バレンタインデーは二月十四日に祝われ、世界各地でカップルの愛の誓いの日とされる。

 元々はある司祭に由来する記念日だったらしいが、今の日本ではお菓子会社の陰謀によりチョコレートを渡す日となった。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「第一回、小南ちゃんの部屋でチョコレート食べましょう会を始めーまーす!!」


 いつもより高いテンションのままに、嶺岸さんが高らかに宣言した。


「わー!」

「わーい!」


 つられて、九重さんと本当の主催者である小南さんが歓声を上げつつ手を叩く。

 空気を読んだのか。その隣で柳沢さんも無症状のまま拍手をする。


「やはり、女の子同士の絡みは良いものだな。なぁ、小牧ちゃん」

「うぅ……」

 

 残った衣笠さんは何時の間にか照照さんに抱きかかえられて、ジタバタともがいている。

 コメントのし辛い光景だ。


「何で、僕は此処にいるのかな?」


 今の僕の困惑を的確に表した質問。

 今日の授業が終わってさぁ、寮に帰ろうと思った時僕は嶺岸さんに捕まってしまった。そして、そのそのまま抵抗虚しく此処まで連れてこられて気がつけば小南さんの部屋の片隅で女子の制服に着替えさせられ女の子座りをしている僕こと霧茅凛。


「いや〜、今日の集まりは記念すべき第一回目。というわけで、ゲストの一人や二人必要かなと思ったのですヨ。なので、暇そうにしてた凛くんを拉致っちゃいました」


 テヘペロと可愛らしく笑っているけど、言っていることは可愛くない。


「今日のお菓子は、バレンタインデーということでチョコレートデース!」


 嶺岸さんがそう言うと小南さんが何処からか取り出した大きな袋から取り出したのは、昔懐かしのシール付きのチョコレート菓子。その名もーーーー。


「おぉ〜、爆裂マンチョコだ。うわー!懐かし〜ぃ!ていうか、まだ売ってたの?」


 嶺岸さんが驚きの声をあげる。

 爆裂マンチョコ。僕たちがまだ小さかった頃に流行ったシール付きのお菓子だ。一時はアニメ化やドラマ化されたりと多大な人気を誇っていたが、その後、人気が下火になり、発売中止となってしまった。


「最近、復刻したんだって。でも、昔は三十円だったのに、今は八十円もしてビックリしたよ」


 そう言いながらビリビリと袋を開けてシールを取り出す。


「あっ、これ昔好きだったやつだ」


 当時、アニメとドラマにも登場して活躍していたキャラクターだ。最終決戦間近に敵の大群に仲間とともに襲われた時に「先に行け!後で必ず合流する!」と言って仲間たちを逃し、自身は最後の自爆攻撃を使い敵とともに自爆するという役どころだった。

 子供心にショックだったと記憶している。


「死亡フラグを立ててしまったのですね」


 僕の話を聞いた柳沢さんがポツリと言った。


「しぼうふらぐとは何だ?」


 首をかしげる衣笠さん。


「え〜とね、一言で言うと伏線かな。ほら、映画とか漫画とかで探偵じゃない人が殺人犯を特定する証拠を見つけたら殺されちゃうでしょ?それのことだよ」

「……へぇ〜」


 衣笠さんの疑問に、パクパクと爆裂マンチョコを食べながらーーーー既に十個目に突入しているーーーー嶺岸さんが説明する。


(……よく、胸焼けせずに食べれるね)


 そんな彼女を見て、照照さんがニヤニヤと笑いながら嶺岸さんの方へと近づいていく。


「しぼうフラグなら、今此処にあるではないか」

「ん?それってどういう意味ですカ?」

「ほら、今食べているチョコとか。やがて、リッパな脂肪になるだろ?」


 そう言うと、照照さんは嶺岸さんの脇腹に手を伸ばし、そしてーーーームニッと掴まれた。


「……ふむ。フラグが立つどころか、既にイベントが発生していたようだな」

「いぃーーーーやぁぁーーーー!!」

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