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異世界戦国記  作者: 鈴木颯手
第二章・当主織田弾正忠信秀
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第八話・勝幡城外の戦い3

「織田信友軍三千が現れました!」


その報告を聞いたのは守りの陣地を築き城下町に住む住人を避難させ終えたときの事であった。本陣を出て俺自ら確認すると確かに織田木瓜の旗を掲げた軍勢がこちらに近づいてきていた。


それを確認した俺は指示を出す。


「通安、迎撃用意」


「はっ!弓隊、構え!」


指示を受けた通安は弓兵に指示を出す。弓部隊は指示を受けて弓を引きいつでも発射できるように斜め上に構える。


「「「「「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!」」」」」


そこへ信友軍が突撃してくる。ここへ来るまでに休憩を入れていたのか兵のたちの表情に遠目からでは疲労は見えない。


「…放て!」


通安は十分に引き付けると大声で言う。その声に合わせて弓が一斉に放たれ山なりに信友軍へと襲い掛かる。上から降る矢の雨に信友軍に確かな被害を出させるも混乱することなくそのまま突撃を続けてくる。敵はかなり死線をくぐっている様だな。俺があそこにいたら怖くて一歩も動けないだろう。


「第二射、放て!」


通安は再び命ずるが連射と言うこともあり先ほどよりも飛距離は短く威力も低めであった。それでも信友軍の兵士たちをハリネズミにしてその数を減らしている。


「…槍兵!構えよ!」


その後第五射まですると策の内側にいる槍兵に指示を出す。既に信友軍はすぐそこまで来ており二射もしないうちに衝突するのは明らかであった。もっとも、そう簡単に行かせはしないが。


「うわ!?」


「ぎゃっ!」


「あ、穴が開いてあるぞ!?」


「こっちは木が突き出てやがる!」


策の前に足首まで入る穴を作ったり杭を打ち込んだりしたため足元はかなり悪く躓く者が本陣からでもよくわかる。そしてその隙をついて槍兵達が刺していく。


しかし、それでも信友軍はまだまだ健在でありやがて穴はなくなり杭も埋まったり掘り出されたりして突破され柵越しに小競り合いが続いている。柵はあくまで急増の物なのでそこまで耐久力がある訳ではない。その為今目の前で策が破壊され敵が陣地に雪崩れ込んできた。


「…そろそろだな。道安、狼煙を上げろ」


「はっ!」


俺は頃合いを見て狼煙を上げさせる。これで敵が少しでも注意をそらしてくれるのならいいのだが…。





















「信康様、狼煙が上がりましたぞ。我らの出番です」


勝幡城の近くにある森の中で信康率いる別働隊三百は息をひそめてその時を待っていた。この三百の兵は精鋭で固められており敵の奇襲にはうってつけの者たちであった。


そんな彼らを率いる信秀の弟信康は御付きの佐久間信晴の言葉を聞いて槍を構えると口を開く。


「…よし、行くぞ!」


「「「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!」」」」」


信康の言葉に三百の兵は一つの塊となって敵陣へと走る。それを信友軍は気づき迎撃をしようとするがそれよりも早く敵陣へと突入した。


「あまり深く入るな!表面の敵を殺せ!…よし、引け!」


信康は的確に指示を出しある程度敵を倒すと一気に撤退命令を出す。その指示に三百の兵は忠実に従い森の方へと一目散に撤退していく。信友軍の兵士たちは慌てて追いかけるもいきなりの奇襲でうまく指揮が行き届かず結局追撃することはかなわなかった。


更に同じころ、前田利昌率いる騎馬隊二百が後方から信友軍を襲い始めた。こちらも表面の敵を倒すのみで中には入らず直ぐに兵を引いた。こちらも同じように対応できず更に人間より足の速い騎馬隊の為追いつくのは不可能であった。


その後も散発的に攻撃を加えていき信友軍は前方だけではなく四方八方すべてを警戒する必要が出来たため精神的疲労がたまっていくのであった。


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