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異世界戦国記  作者: 鈴木颯手
第二章・当主織田弾正忠信秀
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第二十五話・藤左衛門家4

翌日、頼伴・信繫連合軍千三百は古渡城を出て良宗との決戦に向かった。しかし、そこに信秀の姿はなかった。信秀は深夜の内に城を出て行方をくらましていた。これには頼伴の家臣は裏切り行為だと怒ったが「その場合は誰が主なのか骨の髄まで教えてやるだけだ」と言う頼伴の言葉にその場は落ち着いた。


そんな事は信秀は知らなかったが頼伴が言った時丁度怒りが湧いてきたそうだがそれは完全な余談である。


進軍する頼伴軍は信繫の兵を前線に進んでいた。誰がどう見ても自軍の損失を恐れた頼伴の采配であった。


そんな事は信繫は百も承知だが特に反論することなく提案を受け兵の陣頭に立っていた。


「信繫様、信秀様は所定の位置に待機しているそうです」


信繫は家臣の報告を聞きながら軍の速度を調整していた。頼伴と良宗、両方を倒せる絶好の位置に誘い込むために。


やがて連合軍はちょっとした平原にたどり着き丁度反対側でも良宗の兵が入ってくるところであった。


「全軍、戦闘配置につけ!」


「「「おう!」」」


信繫の言葉に連合軍は陣を形成していく。反対側の良宗軍も陣を形成しているが良宗軍は策を配置すると直ぐに攻めて来た。対する連合軍は信繫軍はともかく頼伴軍は動きが鈍く実質的に良宗軍約千と信繫軍五百の戦いとなってしまう。


「押せ!押して押して押しまくれ!」


良宗軍は倍の兵力差を生かして戦うが信繫はそれを巧みに躱して突撃力を減らしていた。それどころか良宗軍の乱れたところに割り込むくらいの余裕はあった。


「くっ!信繫殿は戦上手と知ってはいたがまさかこれほどとは…!」


千名の兵を率いている良宗の家臣がそう呟く。そうしている間にも徐々にではあるが押され始めており一刻の猶予もないように思われた。


しかし、ここに来て兵力の差が出始めたのか良宗軍が徐々に押し込み始めたのである。家臣はそれを見ると味方の兵士に発破をかけながら指揮していく。やがて信繫軍の一角が崩れ未だに後ろで陣を形成していた頼伴軍に襲いかかったのである。当初から信繫軍を使い捨てにいるつもりであったが精強な信繫軍がやられるわけがないと油断しきっていたところへの攻撃だったため頼伴軍はあっという間に大混乱に陥った。


「信繫は一体何をやっているのだ!」


「壁の役目を忘れおって!」


頼伴の家臣たちは罵詈雑言を並べるが指揮を取ろうとはせず頼伴軍は崩壊していく。


「ぐぬぬぬ…っ!撤退だ!古渡城まで逃げるぞ!」


そしてついに頼伴が本陣の兵すら置いて逃げ出したことによって頼伴軍はあっけなく崩壊した。頼伴軍は我先にと逃げ出し始め上官だろうと平気で踏むくらいには混乱していた。


そのはるか先頭を行く頼伴は心の中で呪詛をつぶやいていた。


「(おのれ良宗に信繫!俺の邪魔ばかりしおって!古渡城に戻ったら楽には殺さんぞ!)」


頼伴は到底不可能な事を思いながら馬を走らせていた。その時である。


…ドスッ!


「!?!?!?!?!?!?」


鈍い音がしたと思ったら頼伴は空中へと投げ出されていた。そして受け身も取れずに思いっ切り地面に激突した。その際に足を折ったのか右足が曲がってはならない方向へと曲がっていた。


「ぐぅ!い…一体何が…っ!?」


頼伴は痛む足をこらえつつ馬の方へ顔を向けるとそこには絶命した馬とその左顔に深々と刺さった矢があった。


「くそ!一体誰が…!」


頼伴は内からあふれ出る怒りを抑えようともしないでまき散らし当たりを見回した。そして一つの場所にくぎ付けになる。向かって右側に存在する崖の上に一人の青年がいた。弓を持ちこちらを冷たい眼差しで見つめるその者を頼伴はよく知っていた。


「織田…信秀!」


青年、信秀は興味が失せたのか樽を後方から取り出すと頼伴が走ってきた方向に落とした。樽は液体が入っていたのかと割れると何かの液体を地面にばらまいたのである。信秀はそのまま火のついた矢をその液体に放つとそのまま奥へと姿を消していった。一方の火のついた矢は液体に当たると燃えていたがやがて消え周りを煙で包み込んだのである。


「いったい何がしたいのだ?」


頼伴は訳が分からず首をかしげたが地鳴りとともに聞こえてくる悲鳴でそれどころではなくなった。


頼伴軍が追いつき急いで逃げようとはしってくるのだ。頼伴がいる場所は左右を挟まれた崖下の様な場所の為このまま行けば頼伴の所へ来るであろう。


「…ま、まさか!」


頼伴は信秀の狙いに気付いたのか恐怖で顔をゆがめると這いずるように軍とは反対方向へと逃げようとするが時すでに遅く頼伴の存在に気付かなかった兵士たちによって踏みつぶされるのであった。


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