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異世界戦国記  作者: 鈴木颯手
第二章・当主織田弾正忠信秀
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第十七話・出陣

「全軍、前進!」


「「「「「おおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」」」」」


勝幡城に帰還した俺は直ぐに兵を集めさせると翌日には二千の兵を率いて那古野城へと向かった。とは言えこの数は総勢であり未だ集まっていない者が多く俺とともに進むのは半分の千しかいない。


しかし、それでも十分に戦えると思っている。俺はあくまで那古野城を攻め落とすわけではない。確かに那古野城に捕らえられている者たちを救出するという目的で兵を出したがいきなりそれをやるつもりはない。と言うか、無理だ。昨日は確かにああ言ったが俺の目的は那古野城にいる反乱分子を城内に押しとどめることだ。


元々の那古野城の兵士は大よそ三千。反乱分子にどれくらい参加したのか分からないが多くても二千が今の兵力だろう。それなら敵を城外に出さずに動きを封じることが出来る。その間に藤左衛門家を当主救出の名目で吸収し、更に今川氏豊領の稲沢城、羽鳥城を奪う。そうすれば領地は一気に広げることが出来る。


弾正家と藤左衛門家は本来同等。だが、今回の件で確実に家臣同然にまで下がってしまうだろう。勿論すべてが上手く行けばの話であるが。


上手く行けば藤左衛門家や那古野今川家をそのまま手に入れることが出来、失敗すれば反乱分子や信友に滅ぼされる。…かなりの博打だがやる価値はあるな。


「兄上、那古野城から敵が打って出てきました。その数大よそ二千です」


ほう、敵は意外と野戦に自身があるみたいだな。


「信康、兵士に通達。ここで迎え撃つぞ」


「はっ!」


俺の報告を聞き信康はその場を後にする。暫くすると兵たちが横に動き陣を形成していく。今回敷くのは横陣だ。中央に主力を置き左右を精鋭で固める。少なくとも簡単にはやられることはないだろう。後は敵の中にどれだけも差がいるかで変わって来るな。もう一つくらい策を出すか。


「利昌、別働隊百を率いて敵の背後に回り込め」


「はっ!」


「信康は利昌が奇襲した時を狙って敵の中に食い込め」


「はっ!」


俺は次々に指示を出していき敵に備えていく。更に、それと並行して敵の情報収集を行っており先ほどその結果が出た。


「敵の総大将は今川氏興、那古野今川家の正当な跡取りです」


「ん?那古野今川家の当主は氏豊殿だろ?」


「正確には違うようです。今川氏豊殿は駿河今川家から養子に入りその際氏興は跡取りとしてはみなされていなかったようです」


「どういう事だ?」


「どうやら庶子の出の様で…、ほかにも正確に難がありと言う事で氏豊殿が養子に来たそうです」


成程、それなら本家から正当な血筋、それも現当主の息子を養子に貰った方がいいと考えたわけか。てか、そんな風になるほど氏興と言う奴の性格は悪いのか?


「氏興については分かったか?」


「はい、今川氏興は氏豊殿より五つほど年上で、初陣では自ら敵陣に突撃し首級をいくつか挙げたそうです」


ほう、かなり勇猛果敢な奴なんだな。


「その後は戦を繰り返し捕まえた兵は自ら首を切って皆殺しにしてその顔の皮をはぎその全てを送り返し」


…ん?


「奪った土地の村を襲い略奪の限りを行うと住民を貼り付けにして生きたまま焼き殺し」


…はぁ?


「敵が襲ってくれば川の流れを止めその間に誘い込んで全滅させたそうです」


…。


「…殿?」


「それは、想像以上だな」


「ただ、これはほんの一部だそうでそんなことがあり廃嫡となったそうです」


おい、まだまだあるのかよ。そんな奴が率いる軍勢と戦うとか勘弁してほしいよ。今からでも引き返すことが出来るかな?


「恐らく無理かと」


「だよな」


俺の心を読んだのか家臣がそう言い俺はそれに力なく頷くのであった。


今川氏興については完全なオリジナル武将です。那古野今川家が氏豊以外では全く分からなかったので作りました。

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