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学園都市・入学式

神輝暦1035年 学園都市ヘルパスタの高等部入学式が執り行われた。


入学式といっても


参加するのは入学する生徒と教師・生徒会役員、来賓と一部の保護者(多くが王族または貴族)だけである。

そのうえ、大半の生徒は中等部からのエスカレーター式。

今更、入学式なんてものを見に来るのは、物好きか、暇人くらいだ。


 学園都市内には、幼稚園部と小・中・高等部、また専門部が存在している


よって生徒数も、少し小さめの市町村並みである。


問題が発生する可能性をかんがみてなのか、


入学式当日は、厳重な警戒態勢で


一般生徒は、出歩くにも生徒会の許可証が必要なのだとか。


幼稚園部から高等部までは、何ら変わりないが


専門部では、大学のような環境で


好きなことを学ぶことができる。


(近年は“魔法詠唱学部”が人気である。)


またこのように年齢層が広いので何かと問題が発生するのだ。



毎年、入学者が多いため


入学式は各部ごとで異なっている。


よって学校の昇降口にある


受付前はすごい行列ができている。


ざっと1,000人はいるだろう。


パット見、


男子生徒が全体の8割ほどを占めているだろうか?


まあ、それも


学園都市で学ぶことの多くは、魔法について


魔法といえば多くが戦闘行為や自衛行為などに使うものであり


当然のように女子生徒は


通わないのだ。




「おい。お前!---------」


「は、はい。----- いえ、わ、私は何も、、、」


突然どこからともなく怒鳴り声が響き渡る


みんなの視線は当然声のほうに、


そこには白髪のすこしほっそりとした少女と、


いかにも俺様は、強いんだぞオーラ全開の第一印象:ガキ大将


が立っていた。


少女のほうは、とても怖がっている。


幼馴染や知り合いといった関係ではなさそうだ。


何かのトラブルにでも巻き込まれたのだろうか?


二人の口論を聞いていると、どうやら


少女のほうがガキ大将(仮)にぶつかってしまい。


ガキ大将が突然キレたようだ。


大声で怒鳴り散らしているわけだから


まあ当然、人だかりが生まれ始める。



当然のようにトラブルに巻き込まれてうれしい奴はいない。


いたとしても


ちょっとおかしい奴だ。


俺はそういう奴ではないので、さっさと受付を


済ませてしまおう。


そう思い、受付へ続く列に並んだ。


いや、並ぼうとした。


突然、頭の中に声が走る


『誰か、誰か。助けて・・・』


振り向いても周りには、声をかけてくるようなやつはいない。


『たす  けて・・・』


今にも途絶えそうな声はどう考えても


さっきの少女の声だった。


でも、なんで?


周りを見ても、今の声を聴いたのは自分だけのようだ。


「くそっ。トラブルに巻き込まれるのは、好きじゃないが。


いじめをする奴は嫌いだ。」


ちょっとカッコよさげなことを、誰にも聞こえないように吐く。


そして


小さめな声で〈聖霊よ。我に、われに世界を、変革をもたらす力を・・・あたえたまえ・・〉


少し短めな詠唱が終わると


野次馬が群がるその中心で、


光がはじけた。パッ!


突然の光にそこにいた多くの野次馬が


目をつむった。


逆に目を開けていられたのはいなかったのではないだろうか。



左足に力を込め、踏み出し白髪の少女を引っ張りながら人ごみの中から飛び出す。


ついでにガキ大将(仮)に蹴りを加えながら。


それを誰の目にも止まらぬ速さで、


「うっㇰ・・・」


大きなうめき声が一瞬、聞こえた。





*その光景をそっと木の陰から覗いている少年が一人いた。

今の一瞬を、見逃すことなく。

すべて。



 

少女を抱えながら、今の一瞬を観察していた

男に少し意識を向ける。


『何者だ?』


だが、今は少女を安全な所へ。


彼の目標はそれだけだった。





 どこまで、来たのだろう。

広い学校で迷子になりそうだ。


多少、人はいるが

さっきの騒動を見ている人はいないだろう。


ここなら、心配ないだろう。

あたりの様子を見逃してたまるかと、、、


「あ、あの」

突然声がする。

「ん、あ、ああすまん。」

一瞬身構えてしまったが声の主にすぐ気づいた。


助けた少女だった。


彼女も今の一瞬をなんとなく理解しているようだ。

並大抵の人には見えないはずなのだが・・・

まあ、この学校にはそういった

一般人からかけ離れた人たちが集まるのだから・・・


「あ、あの。助けていただき、、、ありがとう、ございます。

わ、私はエルミアナと申します///////

あ、あの、、、お名前を、聞いても・・・」


「あ、あ。言ってなかったね。

僕の名前は、エパリア。ルドルフ・エパリアだよ。よろしくね。」


「あ、はい。よろしくお願いします。」


エルミアナの頬がなぜだろうか、

ほんのりと赤く染まていた。



・そのころ某会議室では、緊急のカンファレンスが開かれていた。

部屋の中には男が3人、女が2人。

縦長に丸いテーブルに向って、硬い表情をしていた。


「皆さんに集まっていただいているのは。皆さんもお気づきだと思いますが、

新入生に7’sが現れました。」

「ああ確かに、7資格をクリアする者はいたねぇー」

「私も彼を途中から尾行しましたが、あれは只者ではないような。今までに感じたことのないような気を冠っていました。」


再び沈黙が走る。

一人の女は、額から汗を流している。

言っておくが決して部屋が暑いわけではない。

それだけの緊張感が部屋の中いっぱいに、いや。今にもあふれそうなくらいに漂っていた。


「彼の素性はわかったのかいシャル?」

今まで黙っていた男が口を開く

みんなの目線が先ほど、只者ではない発言をした女に集まる。


「申し訳ございません。彼の後をつけましたが、名前がルドルフ・エパリアということしかわかりませんでした。また本学園内の全生徒、新入生などのデータと照合しましたが、

そんな人物は存在、して、いませんでした。」


「そ、そんな。訳があるか。存在しないだと!この学園にいるものは全て皆我々の管理下内にいるのだぞ。抜け落ちていたなどあるわけがないではないか。」


先ほどまで冷静だった男が、少し焦る。

椅子を倒しながら、立ち上がり、そしてまた座る。

とても落ち着きがない。


「少し落ち着きたまえ、データにいないということは、どういうことかわからないが。

シャル、お前の意見を聞きたい。感じたことをなんでも。

彼は我々と同等、いやそれ以上?どうだい?」


シャルと呼ばれた女、いや少女は少し考え、戸惑いながらも口を開く。ゆっくりと

「彼は、彼の力は測定が。できませんでした。

私にわかることは彼が私の光学系のカムフラージュをいとも簡単に破って見せた、それだけの力を持っている。絶対に注意しなければならない、それだけです。レオン。」


「彼がシャルの光学系魔法を破るとなると、うん。やばいね。ははは、、、」

「何を納得してるんだ、レオはそういうとこがよくないんだ。

お前はポジティブすぎるんだよ。

今に向き合え、考えろ。これからどうすりゃいいんだよ。もう。」


いやな空気が流れ始まりそうだ。


静まり返ってしまった、部屋には暖房機のプロペラ音のみが鳴り響いていた。



「カイトさん。そんなこと言ったって、レオンにだってこれでも考えてくれているんだよ。

こないだの騒動だって・・・・・・・・まあ、いいや

それでクレイは何も言ってないけど・・・」


「聞いても無駄さ。クレイは戦闘なんかには向いてるけど、分析は苦手だもんなw」


それまで黙っていた男。いや彼も少年。

クレイと呼ばれた少年は、、、、


当然反論する流れになる。

「レオ、君はねえ・・・・・・だからね」

「お前こそ・・・」


「おいおい君たち・・」


カイトが二人の仲介に入ろうとするが、二人の言い争いは止まらない。

暴力に出ないだけましなのだろうか。


そんな中、少女二人はこんなのいつものこと、っというかのように椅子に座って

あきれ顔をしていた。


まあ、こんなことをしていられるだけ平和なのだということなのだが・・・


言い争いは結果、レオンの勝ちに終わった。まあレオンのほうが勤勉でクレイのほうが運動系というのもありそうだが・・・

はじめから勢いに乗せられたクレイが諦めた形で決着がついたようだ。


レオンが小さくそれでもほかのみんなに見えるようにガッツポーズしたところで


今回の自称進行役みたいになっていた少女が口を開いた。

「それにしても、会長。どこへ行ったのでしょう・・・」


「姫さんなら、高等部の入学式にでも行ったんじゃねえか」

「あ、そうだね。生徒会長はあいさつがあったからね~」


姫さんと呼ばれたのが、この学園の生徒代表でもあるエリザベート・マリア公というのは言わずと知れたことである。

マリア公は現在、18歳。本年度より専門科の1年生ながら歴代トップクラスの成績を残し今の地位を築いている。

家柄においてのリードは庶民よりあるだろうが、

学園内での人気度は男子からだけでなく女子から。


フィーバーは、生徒会長になってからさらに拡大。その人気は経済界をも動かすほど。

力と美しさの両方を兼ね備えているのが彼女なのだ。


まあ、そんなころその彼女がいた場所は・・・


予想通り、入学式の会場だった。

「あたたかな春のおとずれとともに・・・・どうぞよろしくお願いいたします。」

毎回、同じじゃないかといいたくなるような挨拶が続く、いまステージには新入生の代表があいさつをしているところだった。

今も昔も、堅苦しい挨拶はどこも変わらない。


『続きまして学園都市長からのお言葉、ダンジャック・ベルサレス様。お願いいたします。』

学園都市長が壇上に上がると、

一部からは、ざわ・・・ざわ・・・っと話し声が聞こえ始める。

それは暇だからのおしゃべりとは違い、困惑の声だった。


なぜか。


それは学園都市長は各国の王家と同等の位を持つお方なのだ、滅多に人前には顔を出したりはしないし過去の入学式でも、都市長の挨拶が代読されることはあっても

本人自らが登場されることなんて今までに、過去一度もなかったからだ。


壇上に上がった、ベルサレス卿はまず新入生への激励の挨拶を行った。

そして、驚きの発表を行った。


「皆さん、なぜわたくしがこの場にいるのか、とても戸惑っているようですね。その理由は今から重大な発表を行うからです。

では、どうぞ。ご登場ください。ルドルフ・エパリアさん。」

みんなの目線は、ベルサレス卿の指の先。

壇上の端に目を持っていく、そこには一人の少年が立っていた。

「ご紹介します。エパリアさんは本学園の一切の入試試験を受けずに合格した唯一無二の少年です。」

会場からは、ものすごい、ざわ・・・ざわ・・・した空気が広がる。

まあそれもそのはず、

学園都市内にある本学校に入学するには一定の試験を受け合格しなければならない。

なのにもかかわらず、何にも受けずに合格というのはおかしな話し、いや、あるはずのないことなのだ。


「うふふ。皆さん困惑していらっしゃいますね。冗談です。彼はしっかりと入学試験を受けてこの学校に本年度より入学することになった少年です。まあ、・・・・・・・・・・・皆さんこれからの学校生活をより楽しく過ごしていただけることを祈っています」


ベルサレス卿の挨拶が終わると本当にサプライズだったのか、多くの黒服を着た男たちが出てきて

一斉にベルサレス卿の警備にあったっていた。


まだ余韻の残る、会場の中で式典は無事終わった。


そんなころ、学園の生徒代表でもあるマリア公は学園都市長室に呼び出されていた。

「ベルサレス卿!先ほどの挨拶は何だったのでしょう?あんな予定はなかったはずです。」

マリアは少し焦り気味にしながらも、

ベルサレス卿に敬意を払いながら質問していた。

「え、ええ。なかったわ。よていにはなっかった。でも一度見てみたかったのよ。どのような式典が行われているか、なんて部屋の中に閉じこもっていてはわからないのですから。」

「ですが、ベルサレス卿のお命に何かがあれば。

ですから、今後は私たちだけにでもご連絡ください。我々、キャンパス7’sが何としても、お命をお守りいたします。」

「はい、はい。わかったわ。ちゃんと伝えるようにするわ」

もう。

「ほんとにお願いいたしますよ。で、ベルサレス卿・・・」

トーンが変わったことにきずいたのか、ベルサレス卿の表情もまじめなものになる。

「そこのあなた、少し外の警備に行きなさい。あと、そのあたりの警備兵もみんな連れて行きなさい。」

入口のあたりで、銃剣を持ち立っていた兵士に言ったのは、席をはずせということだ。

警備兵は何も言わず、頭を深々と下げへやを後にした。

「もう結構よ。で、何かしら?」

簡単に説明すると、学園都市長室は普段、警備兵によって厳重に警備が行われている。しかし、都市長のレベルとなると部屋一つくらいの警備などひとりでやることができる。

しかし、これには多大な魔力を使うため緊急時や極秘の案件などがあるときのみ都市長自らが

空間に幕を張り、外への情報を流失をなくしているのだ。


「その、そのですね。先ほどベルサレス卿が連れていらっしゃった少年は、どなたです?」

少し間をおいて、ベルサレス卿は顔に小さく笑みを浮かべた。

「彼なら説明したはずよ、今年度の新入生と。

それに詳しく知りたいなら、あなた方のほうがデータベースから簡単に見れるのでは」


「そんな小細工通用しませんよ。私もあの少年には初めから目をつけていました」

「ほーう」

ベルサレス卿が興味を示す。

「彼、ルドルフ・エパリアという人物は今年の新入生にはいませんでした」

「調べが早いこと」

ベルサレス卿は、笑いながら答える。

「彼は誰ですか、何なのですか?」


「彼は新入生ですよ。本年度の。」

「いや、だってそ・・・」

言いかけたところで、ベルサレス卿が言った。

「彼は上からの推薦生です。いいですね」

「は、はい。わかりました」


上 というのは、上層部のこと。

いくら学園都市といえど、単独で運営しているわけではないのだ。上には上がある。そして当然、学園にも・・・

国の偉い人くらいなら、なんとかマリアの力でなるだろう。しかし学園都市というのは一般的な都市よりも強大な力を持っている。

普通の国と同じくらいに。

だが、その国と同じレベルの学園都市の上というのは、国の上ということだ。

それは、東側諸国のトップからということだ。


これには誰も、文句など言えるわけがないのだ。それが権力、なのだ。


これにはマリアもどうしようもないので立ち去ろうとしたその時

都市長室内にノックオンが響く。


コン。コン。


部屋にはベルサレス卿の結界があり、入ってくることはできない。いや、ノックオンでさえ聞こえるはずがないのだ。

それなのに、確かに部屋中にノックオンが響いていた。


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