【第一章 天才少年と少女の出現・そして出会い】
【第一章 天才少年と少女の出現・そして出会い】
東側諸国は、
7つの国からできている。
そしてどの国にも属さない1地域が存在する。
その1地域が学園都市ヘルパスタである。
ここヘルパスタは、同盟国の連合本部が存在し東側諸国の中心に存在する。
各国の中枢もここに集まって活気あふれる大都市だ。
ここでは年に1度だけ武術大会・セブンピックが開催される。
神輝暦1033年10月、今年で90回目を迎える記念大会が開かれた。
ここ数年は、同盟国内最大勢力を誇るウェルアート帝国のお姫様
エリザーべート・マリア公(16)が優勝している。
「今年もマリア公の優勝が固いかな~」
街中では昨年の優勝者マリア公が今年も優勝するのではとの期待も
大いに広がっていた。
優勝した暁には、セールイベントを行おう
など、結果の出る前から盛り上がりを見せている。
大会初日。晴天・客席万席
第一回戦、マリア公の試合が行われた。
そこで観客が見たのは、今までに見たことのない光景だった。
「お、おい。あいつ見ろ。剣だぜ、剣。」
「ほんとだ、あんなものでマリア公に挑もうなんて・・・」
武術大会では、どんな武器の使用も制限されていない
しかし・・・
このご時世、一番強いものは魔力とされていた。
エリートは、魔術師を目指す。
こんな時代に剣を使って戦うようなのは物好きくらいしかいなかった。
「なんだ、ありゃ」
「がんばれぇーい。ははは」
観客の多くは、お姫様を応援していた。
その中でも、ふざけ半分に少年を応援する者もいたが・・・
「これより、武術大会一回戦を行う。はじめ」
審判の号令とともに、試合が始まる。
だが、始まってすぐ場内の観客は何かが違うことに気づき空気が乱れ始める。
それは誰もが予想していない展開が起きていたからだ。
昨年の優勝者と無名の少年が互角
いや、優勝候補でもあるマリア公が完全に不利な状態へと追い込まれていた。
「つ、強ええ・・・」
「強いぞ。あいつ。」
「すげーー。」
そこには昨年の優勝者が押されている姿があった。
そう、優勝候補が無名のそれも同い年の少年に剣技だけで押されていたのだった。
お姫さんは当然のように、魔導師。
魔法による攻撃を行っていた。
しかし少年には全く効かないのだ。
お姫様はパニックに陥っていた。
「ここで負けるわけには・・・」
お姫様には連勝記録という負けられないプライドがあった。
試合結果は、無名少年の勝利。
試合開始から5分もかからなかった。
昨年の優勝者が一回戦敗退という前代未聞の展開に
観客は騒然となり、謎の少年“黒の騎士”再来などと叫ぶものも出てきた。
しかし、その大会後少年が大会に現れることはなく
一部では、暗殺されたのではとの噂も出回った。
それが、この先の未来を変える二人の出会いになるとは誰もが思いもしなかっただろう。
ちなみにその年、優勝したのは
前年大会の準優勝者、ミドル・アリス(フラブサシクス帝国)だった。