木の真意
話は本編に戻ります、、、
オルーガの先導でベークに見守られながら
チップとラッタは最後の旅路を歩きます
途中ラッタが足をひきづる時もありましたが
チップは助けはせず
何も言わず歩く速度を遅くしただけでした
やがて
野原が見え
チップとラッタはポロポロの森にたどり着きました
二匹はおそるおそる 森に入ります
ラッタ
来るなら来い おいらはなんも怖くないぞ
田舎もん
リスが現れました
リス
お疲れ様でした
全て森の者は理解しています
どうぞ
チップとラッタはベークを見ると
ただ微笑むのみです
リスの案内に ポロポロの森の奥深く
一本の大木に連れられます
大木はチップとラッタを見るや
わさわさと枝と葉を揺らします
大木
うさぎの兄弟よ 我が兄弟や森の者が
そなた達に酷い事をしたようだな
わたしから詫びるぞ
大変申し訳なかった
ラッタ
どうなったんだ?
大木
ポロポロ様から伝言を仰せつかった
そなた達の父モーレの事 そなた達の旅
マーサの願い 全て聞いた
本当に恥ずかしゅうぞ
森の者達を許してくれ
チップ
いや、、わかって頂けたらそれで良いのです
それより ママ、、マーサの願いとは?
大木
マーサはこう願ったポロポロ様に
真実を全ての真実を森の仲間にお伝えくださいと
チップ
そんな事を、、なんで 僕らは誤解されても
嫌われても ママが生きて欲しかった
オルーガ
本当にそう思うか?
モーレとマーサの行動を今一度整理してみろよ
森の為に見返りもなく命がけの冒険をし
仔馬の命の為に全てをすてたモーレ
家族の誇り そして森の平和の為に
その残り少ない命を捧げたマーサ
チップとラッタは涙がとまりません
大木
我らは太古ポロポロ様から枝分かれした
木々である
長い年月の間に我らは本来の目的を見失うてしまった
それでも ポロポロ様は待ったのだ森が気づく事に
寒波や大飢饉もポロポロ様のはからいであった
にも関わらず 我らは動植物は生きることのみに執着をし 終いにはそなた達を迫害した
弱い心である 本当に弱い心であった
だが マーサの願いにより
そなた達の旅路を聞いた いやビジョンとして
森の者はまざまざと見せられた
情けなかった 惨めであった
せっかく授かったポロポロ様のお知らせにも
目を向けず さらには子ウサギをいじめた事に
そなたらが何度となく 死にそうでくじけそうになるたびに諦めないで 歩いた道のりを
何も出来ずに我らはただただ見せられた
大木からは大量のしずくがシャワーのように降り
森中の動植物が共鳴を引き起こします
チップ
いや、、いいんです 本当に いいんです
ラッタ
だろ? 父ちゃんと母ちゃんすごいぞ
ベーク
チップとラッタもだよ
大木
オルーガよ 再三再四の忠告まことに申し訳ない
オルーガ
俺は良いよ別に モーレマーサ、、あとこいつらの友達だっただけだから
チップ
あっ 白馬の ルーラの話、、、
大木
うむ それもポロポロ様から聞いおる
チップ
白馬はいったい、、、
大木
白馬はルーラはあまりにも多くを失いすぎた
両親の虐殺
夫のバッチ事故
そして 唯一の希望 仔馬さえも不治の病になった
不幸すぎる生い立ちに
鬼が 心には鬼が宿ってしまったのだ
そなた達の父モーレはそれを全て知った
それゆえに選択したのであろう
ルーラはさらにその仔馬さえも亡くしてしまった
そなた達を救ったのは
モーレの恩義でもあるが
自身の心を自身で救おうとしたのだよ
許してやってくれ 可哀想な人生だったのだ
天国でそなた達に感謝しておるようだぞ
チップ
許すとか そんな、、僕らの命
救ってくれたし




