絶望
ラッタはマーサの亡骸に小さなお花を添えました
チップ
だめだ埋めるぞ
二匹の頭上にはハゲタカが旋回しています
チップが亡骸を担ぎ
ラッタが荷物を持ち
なんとか景色の良い見晴らしの丘へ
運びました
ただ黙々と二匹は穴を掘ります
なんとか掘った穴にマーサをおろし
チップは最後の最後の食料の干からびた人参を入れます
また二匹は無言で土をかけ埋めました
ラッタが木の棒を立てますが
チップはそれを抜き遠くにすてました
チップ
目印があると
ママが獣に掘りかえされちゃうから、、、
1日だけうさぎの兄弟はそこにいました
チップ
ラッタいくぞ
ラッタ
やだやだずっとここにいる
チップ
いくんだよ
ラッタ
ヤダヤダヤダ
泣きながらワガママを言うラッタを
無理やり引き剥がし ひきづっていくのは
泣いているチップなのです
やがて
ラッタとチップは無言でただただ
歩きはじめました
うさぎの兄弟はただ歩き続けました
目的も希望もないのに
さみしいからです
なにも考えたくなかったからです
しかし二匹の弱った身体と心は河原に倒れまいます
ラッタは這うように
河原から水を汲み
チップに渡します
チップ
ありがとう でもいらないよ
ラッタ
死んじゃうよ
チップ
水を飲めば 何か食べたくなる
食べ物はないし
あっても今度はいろいろ寂しく辛くなるから
だからこのままがいんだよ
君はお飲み
ラッタ
おいらも、、、
チップはラッタを抱いてやがて
二匹はもうこのままマーサの元へ
いきたいと
暗い闇に落ちていきました
チップ
ラッタごめんな 、、、
ラッタ
おかあちゃん、、、




