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不思議な伝説ポロポロの木  作者: 森禮(モレ)
12/33

月明かりの犠牲者

月明かりがその馬体を照らし


夜風がたてがみをなびかせます



白馬は一瞬後ろを目だけで振り返り

ウサギ達を確認します


チップとラッタにはその目だけで

簡単に敵か味方が判別つきました



灰色の狼

ほぉ ご馳走が飛び込んできたぜ


黒色の狼

ウサギの前菜に

馬のメインディッシュ

あと、、ミミズクのデザートな


オルーガの身体がビクッとなります



ボス狼

誰かの命を犠牲にしてでも

てめえのガキを生かせたい

過保護ママちゃんお馬さんがなんのようだ



白馬

その 大切なガキもお前らの餌食になったけどね


白馬は鼻息を荒くして 蹄で大地をかきます



ボス狼がウサギ達を見て眉をあげます


ボス狼

なるほど なるほど

It's a small world

ムジナの策略か?

そのウサギのガキ達

あの件知ってんのか?



白馬

知っても 知らなくてもよいわ

わたしのやる事は一つ



ボス狼

ははははは 笑えるぜ

知ってたら 俺達の前に

ウサギがお前をおそうぞ



白馬

好きにすればよいわ

でも この子達は殺させない決して



黒色の狼

いまさら 正義かよ!

どんだけ自分勝手なんだよ お前 笑




ウサギ達は何がおきたのか

何を言っているのか、、、

ただただ困惑するばかりです



白馬

わたしは自分を取り戻しにきただけ

この命お前らにくれてやる



ボス狼

純粋に食べるだけのエサを確保してる

俺達のが いつも いつも自分らしいけどな

己の強欲にまみれた

綺麗な綺麗な白馬さんよぉ


まぁいいや 面倒くせ いいぞお前ら



狼達が一斉に飛びかかります


白馬は首を振り 狼達を1匹 2匹と

跳ね除けます


それでも次から次へと

攻撃は続きます



黒色の狼

足だ足を狙え!!



1匹の狼が白馬の足に噛みつき

その隙に 2匹目が首元に

3匹目 4匹目と次々と白馬を噛みちぎります



あれだけの綺麗な白い馬体を

真っ赤に染め上げていくのです



恐れおののき 立ち竦むウサギの斜め後ろの

草むらから 小さな声が聞こえました



ムジナ

ぉぃ ぉぃ こっち こっち



ムジナが草むらから 顔だけだして

手招きをしています


血だらけの白馬は

闘いながら 目で必死にウサギにうながします


早くいきなさい 早く、、、と



オルーガ

いくぞー!!!



オルーガの鋭い声に目を覚ましたウサギ達も

ムジナの草むらに突っ込みます




ラッタが一瞬振り返ると

白馬は声にならない声で


『ありがとう、、、』


と小さくうなづきます

その一粒の涙は血ににじんでいますが

ラッタにはとても美しく感じました



チップ

ラッタ 何やってるんだ!!




狼の威嚇と白馬の悲鳴を背に

ウサギ達は草むらを抜け

必死に必死に走り抜けます




ラッタは走りながら考えました




なんで助けた方がありがとうなんだ?

なんで食べられた方がありがとうなんだ?



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