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序章:まどろみの中で
暖かな日差しが差し込んでいる。
木窓はすべて閉じておいたはずなのに…と思い、重たいまぶたをほんの少しだけ開けてみた。案の定窓はしまったままだった。どうやら隙間から漏れた明かりが顔に当たっていたらしい。
外からは聞こえる騒がしい音が、既にたくさんの人間が活動を始めていることを知らせた。
「……うるさい。」
布団をもう一度頭からかぶり直し、眩しさで覚めてしまった目を無理やり閉じる。
この街に来てからもうそろそろ一週間だ。食糧と持ち金がなくなってきていることを気にしながらも、昼間に行動ができないことは今までの経験からわかっていた。
「本当にいるのかな……。」
自らの心の内を吐きながら、その少女、月宮灯は深い眠りについたのであった。