表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヴァンプライフ!  作者: ししとう
scene.5
68/368

067 クラリス登場!

 久遠かなたが気絶をして、すぐ後。

 クラリス・アルバートはいい加減、腹を立てていた。この変態に三度も下着を覗かれたことも。

 そして八神環奈がこの変態男のことを称賛しているという事実に。

 なにより、この変態男のことを心配するようにして、さっきから、

「おい! カナタを離せ!」

 自分の後ろを浮遊しながらついてきている少女のことが。

 銀髪で褐色の子供。

 間違いなく、ソレは情報にあった“悪疫”と呼ばれる吸血鬼であった。

「はん! 返してほしかったらやり返せば!」

 かなたの足を掴んでクラリスはどんどん階段を登っていた。かなたの頭や腰がさっきからガンガン階段の角や廊下の隅にぶつかっているのに、クラリスはそんなことに構う素振りすら見せずに怒り狂った足取りで階段を登っていた。

 しかし、

「ダメだ。それは……出来ない」

 褐色の吸血鬼はそれを拒否。

 理由は、

「カナタならこれぐらいで怒ったりはしない。だから、カナタのためにもわたしが手を出すわけには……」

 という訳の分からないもの。

 なんなの、こいつ。こいつのことを取り返したいのか取り返したくないのか、一体どっちだってーの!

 どいつもこいつも。こんなやつがなんだってんのよ。

(こんなの、ただの変態じゃない!)

 クラリス・アルバートはとにかく我慢ならなかった。

 自分より誰かが強いと評価されるのが。

 それが明らかに“嘘”で。もしくは身内びいきが強いものならばなお更。

(コレが私より強い? ほんと、ありえない!)

 彼女はとにかく強さに固執している。

(私の方が強いに決まってるじゃない!)

 それはまるで呪縛のように、

(私は……月神結社(イガルクファランクス)盟主(サークルリーダー)なのよ……)

 クラリスが初めて辛そうな横顔を見せた。

(強くならなくちゃいけないの。絶対に……!)

 ぐっと歯噛みをして、前を向いた。首を振って頭の中に浮かび上がる考えを無理矢理霧散させる。今は、そんなことを考えている場合ではない。とにかくこいつが自分よりも弱いということを証明しなければ。

(私は認めない。こんなのが私よりも強いなんて! そんなこと!)

 わざわざ確認するまでもないことだけど。

 自分がこの男を屈服させることが出来れば、あの女だって私の評価を改めるはず。そうすれば、自分と本気で戦う可能性だって出てくる。そうすれば……あの狐神きつねかみと戦うチャンスが巡って来るかもしれない。狐神と呼ばれる吸血鬼と戦えば、おのずとそれが経験になるはず……。

 そうすれば今よりももっと……。

 と、その時。

 クドラクが何だか気の毒そうな顔になった。そして、

「お前も……」

 と、小さな声で何かを言った。しかし怒り心頭なクラリスにはその声が届いていなかった。

「!」

 階段の一番上まで登ってくると、クラリスがばんと屋上の扉を開け放った。

「ほら! あんた! とっとと起きなさい!」

 クラリスは掴んでいた足ごとかなたの体を屋上の中へと放り投げる。

なろうのサイトが少し変わりましたね。


感想・評価お待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ