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第二十一話:呪いの発動

 どうして、どうして、どうして、どうして……。


 私はテントの中で自問する。

 あの時、私は高志と楽しく会話をしていたのだ。

 とても楽しかった。一緒に冒険に出る事を想像しながら色々話していたのだ。

 肩に重みを感じ、見ると高志が寝ていた。疲れていたのだろう。

 話の途中なのにしょうがない奴だと思った。

 起こすのも可哀想なので、しばらくこのままでいさせてやるか……。と思っていたのだ。


 そう思った途端、急に気分が悪くなったのだ。

 突然湧き上がった嫌悪感に思わず彼を突き飛ばしてしまった。


 彼はとても驚いた顔をしていた……。

 彼はとても悲しい顔をしていた……。

 彼が自分の行動に気づき、私に謝ってきた……。


 違う、違う、違う、違う……。


 違うのだ、彼に謝らせたかった訳では無い。

 自分でも解らない。何故?


 テントに戻り自問する。

 嫌悪感は無くなったが、心に穴が開いたような虚しさが襲ってくる。

 心の奥底から声がする。


 彼は違うのだと。

 私はもう失ってしまったのだと。


 この虚しさには覚えがある。

 私が幼かった頃、私を助けてくれたあの人が死んでしまった時に湧き上がったもの……。


 思い出した……、あの時の虚無感を……。

 思い出した……、あの時の絶望感を……。


 涙が溢れ出してくる。

 あの人の事を忘れた事は無かった。

 とても優しい目をして、私の事を見てくれた人。

 あの人の目は、私を通して別の人を見ていたが、私はその目をとても尊い物に感じ憧れた。

 その目でもっと私の事を見てほしい……。

 そう思った時、心が熱くなり、この人を失いたくないと強く思ったのだ。


 あの人は死んでしまった……。

 私は失ってしまったのだ……。


 私の心が冷たくなっていく……。

 悲しみが私を包む……。

 何故だろう……。

 何故私は生きているのだろう……。


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