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WORLD END はすぐそこに  作者: 一一
エイプリルフールのような
1/25

プロローグ――――最後の日常――――

――――三月末日


とあるアパート。

部屋の中には新品の家具や家電が包装されたままの状態で置いてあり、ダンボールが山積みになっている。フローリングの床には傷や汚れはなく壁、天井も同様だ。窓にはまだカーテンは取り付けられておらず、陽の光が直接部屋に射し込んでいる。

引っ越して間もない様子だ。

そして部屋の中にはダンボールの一つを開けて中の荷物を取り出している少年がいる。ふと作業中の手を止め、部屋を見回す。


「今日から一人暮らしするのか~まだ実感が湧かんな」


独り呟き、作業を再開する。やがてある程度やることが終わったのか簡単に片付けをし、新品のソファーに倒れ込む。大きく溜息。そしてソファーのすぐ下に置かれたパンフレットを手に取りページを幾らかめくる。高校の案内のようだ。


「夢にまで見た憧れの高校生活か。でも美少女たちからモテモテになったり、特殊能力に目覚めて学園能力者バトルなんてことはないしな~。どうせ普通に友達作ってワイワイ遊んで、そんなんで三年間あっという間に過ぎちゃうんだろうな。


……普通なのは悪い事じゃないけど」


パンフレットを床へ放り投げ一息。誰かへ投げかけるような口調で


「今自分が知ってるこの“普通”の世界が全部だったらつまらないところだな、この世界っていうのは。できるなら魔法のある世界とかに転生したいよ、まったく」


この世界に飽きつつある少年は眉間にシワを寄せ、そして暖かな日差しを浴びながら眠りにつこうとする。が、不意にスマートフォンが鳴る。見ると某有名SNSの通知がきており眠そうにあくびをかきながら確認する。緑の背景にロゴが映しだされ、グループ名の横に赤印で通知がきていることを知らせている。グループのメンバーは中学からの友人達であり少年の名前に続き、カズキ、良樹という名前が出ている。




『カズキさんがグループ名をゲス会に変更しました』



『少年:何やってんの?(笑)』


『カズキ:いや、ヒマだったから心機一転しようと思って』


『良樹:心機一転でいきなりマイナス方向進んでんじゃん』


『カズキ:グループ名はどうでもいいよ、それよりどうよ?高校入学前は』


『良樹:俺は別に。中学同じやつばっかだから変わらんと思うー』


『少年:僕は緊張してる……。周り知らん人しかいないと思うし』


『カズキ:俺は良樹と高校一緒だから周りのメンツ変わらん(笑)引っ越しすんだんでしょ?』


『良樹:すんだよ。いいぞイタリアは。景色がいいし飯は美味いし』


『カズキ:お前には聞いとらんわ。バレバレの嘘をつくな』


『少年:引っ越し終わったよーいま荷物を整理してる途中』


『カズキ:いいな、俺も一人暮らししたいわ』


『良樹:俺もー。親に言ったら鼻で笑われて終わった』


『少年:父親がやってるアパートに空きあったし、うちは基本自由だからね。有難い有難い』


『良樹:ただただ暇だ。アニメの一気見でもしようかな?オススメない?』


『カズキ:何系統がいいの?』


『良樹:中二くさいやつ』


『カズキ:とりあえずシャ○トアニメ全般見ればよくね?』


『良樹:シャ○トは冬休みに見尽くした』


『少年:境ホラでも見とけば?』


『カズキ:あのオパーイアニメ?』


『良樹:あれおもしろいの?』


『少年:設定厨ならハマるよ、たぶん』


『良樹:じゃあとりあえず境ホラ見てみるか。さすが中二真っ盛りのお前らだな、意見がすぐ出てくる』


『カズキ:いや俺はヌルいほうだ。俺の隣にTHE・中二がいるからな』


『少年:隣ってどこだよ(笑)まあどうせ僕のことでしょ?』


『カズキ:自覚はしてるんだなw』


『少年:二人がわーわー言うからそうなんだろうって思ってる』


『良樹:そりゃ自覚とは言わないんじゃね?』


『カズキ:でもお前の中二は筋金入りだぞ。お前の国数英のノート半分以上、妄想の世界設定とか書いてあったじゃねえか』


『少年:なんで知ってんの!?』


『良樹:今だから言うけどお前がいない時こっそり見たんだよ、いつも真剣にノートとってるのになんで成績悪いんだろうって思って。そしたら……凄かったわ』


『カズキ:ああ。あれは凄かった』


『少年:やめてくれー!あの世界設定には重大な矛盾があったんだー!もうお蔵入りだよ、ダメ設定だ』


『カズキ:ダメ設定というには惜しいくらいに色々書いてあったけどな。確か主人公は時空を支配する能力だったっけ?かなりチート臭い能力だったな』


『良樹:重大な矛盾があったからダメ設定なんだろ。あとあの能力は強かった……』


『少年:一応記念にとってあるけどね、あのノート達は。それと二人ともよく主人公の能力覚えてたね(笑)』


『カズキ:まあな。でも夢見すぎるなよ、ラノベアニメマンガの主人公ってほとんど高校生だけどあんなこと現実じゃありえないからな』


『良樹:わーてるよ』


『少年:そんぐらいはわかってるから(笑)』


『カズキ:とかいいながら心の中では?』


『良樹:……すみません中二病で○恋がしたいみたいなのを願ってる自分がどっかにいます、あとハーレムもの全般』


『少年:ごめんなさいシ○ナとか禁○目録みたいなのを願ってる自分が心の半分を占領してます、あとバトルもの全般』


『カズキ:そんなことだろうとは思ってたけどここまでとは……』


『良樹:お前はどうなんだよ』


『カズキ:俺は現実を見てるからな。高校で彼女ができればいいなあ、とか思ってるぐらいだ』


『良樹:お前に彼女?そんなん俺たちの夢のほうが現実的なくらいだよな?』


『少年:だな』


『カズキ:てめぇら表へでろや』


『良樹:オーケー、ちょっと散歩してくるわ』


『少年:僕は昼寝するかな。じゃあねー』


『良樹:じゃねー。そして俺もじゃねー』


『カズキ:おいお前ら』


『カズキ:そして誰もいなくなった……』


スマートフォンを床に置き、ソファーへ横になる少年。一つ大きく溜息。目を虚ろにしながら


「世界を救う……英雄に……でもなれたら…………いいな」


暖かな午後。柔らかな日差しを受けながら、心地よい眠りへと落ちるのだった。

日常パートが少ないという指摘を感想、そして友人から受けていたので加えて見ました。こんな感じでいいのかな?

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