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第1話

 こんにちは、またはこんばんは、いえろーです。

 最初にこの作品を思いついたのは、姉のスマホ充電器購入に付き合って名古屋のとある電気屋さんにいたときのことでした。とはいっても小説の中に電気屋さん全く出てこないんですけどねw

 ちょっとだけネタバレになるかもですが、最初に考えついたのはナタナエルという歴戦の傭兵かつ長いマントを纏った鎌使いで、ある程度キャラ像を脳内で作ってから改めて客観視してみると、我ながら「うわー中二……」という感じのキャラでした。彼は最終的に割と重要な端役に落ちついたのですが、それは小説でのお楽しみということにさせてください。お楽しみに!

 それでですね、そのナタナエルさんの容姿がね、ワカメっぽいんですよ。

 別になよっとしている訳じゃなくて、180㎝をゆうに越す大男なんですが、髪のサラサラ感といい全体的な色といい(色あせた緑とか黄緑)マントのヒラヒラするところといい、まーワカメですね。ザ・海草です。


 すいません、前書きってこんな関係ない話でもいいんでしょうか?

 わからないまま、思いつくまま書きましたが、これをもって、ひとまず前書きとさせていただきます。

 それでは、人間クエスチョン、楽しんでいただけると幸いですっ!


 人間は愚かだという人がいるが、さて、果たしてどうなのだろうか。


 ぶっちゃけ、愚かの正しい使い方は辞書で引いてみないとちょっと解らないのでとりあえず脇に置かせていただくが、バカかバカじゃないかっつったらまあ、バカって印象の方が強いよなとは思う。これ俺の意見な。異論はあるかもしれないんで認める。できたら俺が知らないところで言っててくれると助かるが。


 例えば「自分は何者か」って考え出すヤツとかさ。人間に決まってんのにな。

 敷かれたレールから脱出したいのに自分の線路を開拓できなかったりとか、相手に望まれているわけでもないのに過保護なレールを押しつけちまったりとか。このへんは俺もたまに実感する。

 最終的には自陣に血の海が出来て何だかんだで自分が損するのを分かっていながら対して大きくもない見返りを求めて戦争を始めたりするのもそうだ。リスクとリターンの天秤がイカれてやがる。

 こうして見ると、確かに俺達バカみたいだなと思う部分も少なからずあるだろう?



 ここまでが俺の黙考で、ここで俺を現実の世界に引き戻す役が現れた。

「いやあ悪い悪いっ! 待たせたなあ」

 さっぱりした栗毛で、少年みたいな背格好をした男が俺の方へ歩いてきた。

 この男、オリバー・ベイリーは、けっこう昔からの俺の友人だ。町一番の道具屋の子であり、無事大人になった現在は若旦那的立ち位置で忙しく仕事をしているらしく、今日こうして待ち合わせ時間30分超えの遅れをとって喫茶店にやってきたのもそのせいのようだ。

「自営業は大変だな」

 遅刻のお咎め代わりのつもりで俺なりに愛のあるミニ皮肉をお見舞いしてやると、オリバーは机を挟んで俺の正面にある椅子に腰を下ろしながらニタニタと笑って、

「そうカッカすんなよ、最近親父が大事な仕事を選りすぐるかのようにオレに押しつけてきて本当に大変なんだって。許せ」

 片手で後頭部を掻いて片手でごめんのポーズをした。補足するとニタニタ笑いは絶賛継続中だが、それがオリバーという男のテンプレートだから特に気にするべきことでもあるまい。

 あとな、今のはちょっとした冗談であって、別にマジでカッカしているわけではないぜ。本気にしないでいい。ザッツアジョーク。

「分かってるけどな」

 オリバーは笑いながら眉をひそめるという器用な芸当を見せて、

「お前は元からロジカルの概念をそっくり擬人化したようなヤツだが、ジョークを言うときですら表情が硬い。だからさ、どっからが本気でどこまでがジョークなのか分かりにくいんだよ」

 そういう性格なんだ。許せ。

「ばかやろう、許すもなにも怒ってねえよ。イッツアジョークだ」

 そりゃ嬉しい。どうでもいいが、昔から身ぶり手振りのオーバーな奴だなこいつは。

 俺とオリバーを対照的に見ると静と動って表現がふさわしいなあと考えていると、

「オレ、チョコパフェとかその他いろいろ頼むけど、お前もなにか新しいの頼むよな?」

 机の上にあるアイスコーヒーのグラスを指して尋ねてきた。こやつを待機している30分の間に俺が飲み干したものである。

「そうだな。そうするよ」

 せっかくの喫茶店だ。実は普段の俺なら出し渋る金額だったりするのだが、今日ぐらいはケチったりしないさ。




 俺達はウェイターの兄ちゃんにおのおのの注文を告げ、その品が来るまでしばらく他愛もない世間話なんかをして時間を潰した。とはいってもオーダーはドリンク類とついでにデザートのみだった(デザートは多分冷蔵庫から出すだけなのだろう)んで、フリートークで埋めた時間はせいぜい五分くらいのものだったけどな。


 ようやくその五分(俺の主観だ)が過ぎて、テーブルには俺のアイスカフェオレ、オリバーのホットチョコレートとチョコパフェとその他もろもろが並んだ。甘いもののオンパレード、壮観である。The・糖分という感じだ。

 オリバーはこんなにチョコが好きだったのかと新たな発見をしつつ、ということはお前キスに飢えているなと余計な詮索を腹の内で行いつつ、実際のオリバーがカップを持ち上げるのにしたがって俺もグラスを掲げ、オリバーの音頭にあわせて二人で乾杯した。

「オレは見事道具屋を継いでおめでとう!

フレックは晴れて念願の公務員になっておめでとう!」

「いえーい」

「フーフー! ヒャッホウ! パフパフ!」

 二人しかいないし一応盛り上げに参加してやる。そこ、ノッてないとか言うな。これでも結構テンション上がってるんだ。

 ちなみにフレックとは俺のことである。この度公務員試験に合格しましてね、いやあ嬉しいです、本当に。

 この男二人による奇妙な会合のマジメなテーマがどんなものかというとだな。

 そう、ご覧の通り、就職祝いパーティである。



 ちょっと時期が遅れたけどな。




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