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<ガイア>列伝  作者: 樹実源峰
はじまりの物語
7/69

襲来

前回の公開よりかなり遅れてすいませんでした!最近リアルが忙しくて(但し、充実はしてない)なかなか無理でした。明日か明後日に次の話は公開します。

ドゴォォォン!!


俺と姫川さんの和やかな『勉強時間』が終わりそうな時に、割と近くから爆音と地響きがあった。


「…今のは?」


「さぁ?私は知りませんけど、この街特有のイベントでしょうか?」


どうやら彼女もこの街は初めてのようだ。この街にきた時にまっすぐこのカフェへ来たからてっきり何度も来ているのかと思っていたが…


「あ、それは友達にここのことを聞いたことがあったからです。この爆音のことは聞いたことありませんが…」


という姫川さんの言葉が終わるか終わらないかという時にまた外で爆音が響く。そんな中、同時に同じような予想を立てたのか互いの目が合った。言葉にしたのは俺が先だった。


「まさか、はぐれ勇者か?」


「ありえますね。行きましょう」


周りを見てみれば、他の客たちがオロオロしているのが見えた。彼らにとっても予想外の事態なのだろう。急いで俺たちは外へ出てみた。すると…


「おいおい、マジかよ…」


緑色の肌をした奇怪な人型の生物がいた。全身の皮はぶよぶよとしており、顔は醜く、そして体には布切れと言っても良いほどのものをまとっている。そして、その手には剣が握られていた。


一目見て分かる。彼らは人類の敵、ゴブリンだった。


「どうしてこんなところにゴブリンが?」


姫川さんが呟いた。その疑問はもっともだ。なぜなら、週一回にBランクの勇者数人が召集され北方に位置する『闇の領域』と人間の住む場所の境界線あたりでゴブリン達が侵入しないようにするクエストを言い渡されるのだ。


言い渡された勇者は原則断ることができず一週間境界線へ送られて、向こうからやってくるゴブリン達を討伐する日々を送るのだ。だから、ゴブリンが市街地まで入ってきたことなど、今まで一度もなかった。


「考えたくはないけど、まさか領域守護の連中がやられたのかもな」


恐らく全滅したのなら、前線の勇者たちが太刀打ちできないほどの数のゴブリンが攻めて来たのかもしれない。いずれにせよ、今は確かめる手段がない。


「とりあえず、街の人が避難できるように…」


「あぁ。俺らが時間を稼がないとな」


姫川さんの言葉を次ぐようにそう言った俺は、シュランと腰から剣を抜いた時に姫川さんが呼び止めた。


「待ってください!魔法も使えないのにどうするんですか!」


…魔法は使えないわけじゃないんだけどな…。


それに俺は振り返り、苦笑しながら言う。


「魔法は姫川さんに任せるよ。男は黙って力押しで行くさ。これでも剣の腕だけは自信があるからね」


「でも、この数を一人でだなんて無理です!」


「じゃあ、援護よろしく!」


そして、前を見ると一体のゴブリンがこちらを見ていた。


「ほぅ、こいつは強いな!!これはボスの気に召すだろう!!ボス!ボス!」


そのままそのゴブリンはどこかへ走って行った。なにやら言っていたようだが関係ない。討伐する順番が変わっただけだ。


とりあえず、どこかへ行ったゴブリンは放っておき、近くにいたゴブリンを見る。ちょうど相手は後ろを向いていた。


「薔薇の剣 壱の型 鷹狩!!」


掛け声と共に地面を蹴り、そのままの勢いでゴブリンをすれ違いざまに斬った。


「ぎっ!?」


ゴブリンは頸動脈を斬られそのまま地面に伏した。


血の噴き出す音と死体が倒れた音を聞いたのか周りにいたゴブリンがこちらを向く。俺はニタリと笑って言ってやった。


「薄汚いゴブリン共。俺がまとめて血祭りにあげてやる!」


直後ゴブリン達の悲鳴が広場を埋めた。



「あ、待ってください!」

姫川は海斗がゴブリンに斬りかかろうとしたのを見て止めようとしたが、遅かった。


ドサリ、と一匹のゴブリンが倒れた音を聞いたのか周りにいたゴブリンがすべて彼を見ているのを見て、加勢しないとと思った時には海斗はそれらのうちの一番近かった五匹に囲まれていた。


「もうっ!仕方ないです、マナ・コール、ファイア・ア…」


だが、その詠唱が終わるか終わらないかの内に海斗を囲んでいたゴブリン達が血を腹から散らして後ろに倒れた。傷は遠目から見ても致命傷と分かるほど深かった。そして、その中から緑色の液体で濡れた海斗が出てきた。


「えっ?」


姫川はさらに呆然としてその光景を見つめた。


さらに一太刀で次に近いゴブリンの首を斬り落とす海斗。その剣を振り上げた勢いをを利用しその隣のゴブリンに足払いをして、バランスを崩した時に首を斜め上から斬り落とし命を絶った。


その後に背後で剣を振り上げていたゴブリンの手を肘ごと下から切り上げ、返す刃で隣の奴の頭を斬った。


ありとあらゆる斬り方で海斗はゴブリン達を倒して行った。だが、手や足だけを斬られたまだ活動できるゴブリン達は怒りに任せて剣を投げた。狙いは鋭く海斗への首元だった。その時海斗は二匹のゴブリンと戦闘していて姫川が気付いていないと思った。


「危な……!!」


だが、その言葉を最後まで言い終えることが出来なかった。ゴブリンが姫川の前に立ちふさがったからだ。油断したと思ったとき、相手は剣を振り上げた。


大きな隙ができたほんの一瞬、姫川は呪文を唱えた。


「マナ・コール、ロック・ランス!」


すると姫川の足元から土の塊が槍のように伸びて、剣を振り上げていたゴブリンに永遠をもたらした。だが、今はそんなことを気にしてるわけではなく、気になってるのは海斗のことだった。


果たして彼は無事だった。先ほど、剣を投げられた時海斗は相手の剣を弾き大きな隙を作ったときにしゃがんだ。すると、投げられた剣はそのまま一匹ゴブリンに突き刺さり、ゴブリンがよろめいたときに海斗は膝を斬り、倒れてくるゴブリンの心臓にトドメを刺した。だが、その近くにはゴブリンがいて、しゃがんだままの海斗に剣を振りおろした。海斗は一発を覚悟し力を込めた。


だが、その海斗にやって来たのは斬られた痛みではなくバチチッという音と肉の焦げるような匂いと、そして新たな重みだった。先ほど心臓を貫いたゴブリンをどけて、その上に乗っていたものを見るとそれは、先ほど俺に剣を振り下ろそうとしたゴブリンだった。


「ギリギリ間に合いました…」


声の方を見ると、姫川さんが息を荒げながらこちらを見ていた。


「どうやって…?」


と俺が問うと、姫川さんはにっこりとして、


「無唱魔法…ですよ…」


と言った。

一月四日更新!

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