聖域の力
「・・・聖域だと?」
古龍は訝しげに呟いた。相手の意図が分からないと言う困惑も含まれていたが、別に古龍は聖域という魔法を知らない訳ではない。むしろ、この程度の魔法で勝った気になったことになっていることに困惑したのだった。
「ああ、聖域だ。命乞いはさせねえぜ?」
まるで、罠にかかった獲物を見るような目をしている海斗を見て、古龍は思った。なんだ、結局この程度だったのかと。
「ククッ、クハハハハッ!!」
そして古龍は笑い始める、その笑いはもし、古龍が人間だったならそこら中を腹を抱えて転げ回っている、そんな感じの笑いだった。
「な、何考えてるのよ!聖域を展開した位で勝てると思ってるの!?相手はただのドラゴンじゃなく古龍なのよ!?」
笑い出した古龍を見て「何笑ってんだコイツ」みたいな顔をしている海斗に天音はそう叫ぶ。早く逃げようと言う意味も込めて。だが、海斗はその天音に「まるでわかってない」とでも言うような目を向けて言う。まるで聞き分けの無い子供に言い聞かせるかの様に。
「勝算がなかったら犠牲を出してでも戻ってるっての」
と。
「ハハハハ!!汝はついに血迷ったか!確かに我は聖域のお陰で全力を出せんが、それでも貴様らを屠るるは釣りがくるわ!」
「ハン、テメエさては知らねえな。聖域は使用者とその仲間の能力を底上げする魔法でもあるんだぜ?」
「そう言って我に破れて来たドラゴンや古龍や人が幾らいたことやら・・・。数えることすら飽きる程だ」
「ハッ!そんなやつらと一緒にすんじゃねえよ。地力が違えっての」
軽口の応酬をする古龍と海斗。会話だけは親しい親友どうしの会話のようだ。だからこそ天音には恐ろしく感じられる。あまりに人智を超えた攻防に。
「フハハハ!最強種族たる古龍の我と地を這う人如きではたしかに地力が違うわな!」
そう言って、笑いながら2、3メートルくらいの長さの氷槍を三十本程、魔法で生み出し海斗へと一斉に放つ古龍。
「あぁん?地を這うのはトカゲだろうがよ」
軽い感じで古龍の言葉に返事して、天音が見たことの無い広範囲に渡る炎魔法により氷槍を一本残して全て消し去った海斗。
そして、海斗の潰し損ねた氷槍がまっすぐ海斗のもとへ迫る。
「あっ・・・!!」
危ないと思って天音が魔法をかけようとするが、古龍と海斗に気圧されていた所為で上手く魔法を生み出せない天音。だが、その後の口径が天音の常識をさらに破壊する。
「カッ!!」
短く一声上げて、拳を引く、海斗。その拳をなんとそのまま氷槍へと突き出す。しかし、砕けたのは海斗の拳ではなく、氷槍のほうだった。
「なに!?」
古龍が驚愕の声を上げる。彼の古龍はこの今の一撃に相当自信を持っていたらしい。
「おい、トカゲ」
そして、海斗はいつの間にか手に『骸切丸』を持ち目の前の古龍を今まで以上に強い眼差しで睨む。その目に宿っていたのは敵意ではなく、紛れも無い殺意。それも闇の様に深い黒い殺意。
「さて、殺戮を始めるかよ」
そう言って右手に持った刀を振った。
こんばんわ!作者です。ずるずると古龍編が続いていますが、もう少しで終わる予定です、今暫くお待ちください。
本日は、NEW LIFE GAMEの方も同時公開となっていますのでそちらの方も確認いただければと思います。
来週の更新はNGLの方の更新となりますのでご了承ください。
感想・評価お待ちしています。




