古龍の質問
すみませんっ!今回は繋ぎの関係上短めです!いやもう本当続きできてないとかそういうあれじゃないです!ええ!
というわけで今回もよろしくお願いします!
単に巨大ってなら緑龍ってことも考えられる。あいつらはデカイ。人間なんてアリくらいにしか思ってないんだろう。だから油断をついて倒せる。
肌が赤色ってなら火龍…もしくは赤龍がいる。まばゆいまでの赤は俺たちを焼き尽くすだろう。だが、俺はその龍の討伐履歴があり、なおかつ鍛え直した今では時間がかかるにしても勝てる相手だ。
だが、古龍は別だ。恐ろしいほどに規格外だ。その肌はたまたま今回の個体は赤だがこの際色は関係ない。
古龍はデカさでは龍族一の緑龍をはるかに上回るその巨体に、火龍のドラゴンブレスを上回るドラゴンブレスのような何かを持ち、素早さには自信を持つと言われる黄龍はただ軽い龍と言わせしめるその素早さに、しぶとさでは随一の蒼龍をスタミナ勝負で追い詰める恐ろしきスタミナを持つ。しかもそれが標準とかいう冗談としか思えない連中だ。
「…む?よもや聞こえなかったのか?」
古龍はそう俺たちに行ってくる。目をこちらへ向けながら。その目には知性の光が宿っていた。
古来より幾多の勇者が古龍と戦ってきたが、その末路は悲惨なものばかりだった。古龍は知性もあるので、どの勇者も勝ち筋など見えないまま敗れて行ったのだとか。
「ふむ、では目と目があったことで。再び聞こうか、汝らはヒトであろう?」
だが、幸か不幸か古龍の中には好戦的なものと平和主義的なものもいるらしく、しかも目の前のこいつはどうやら平和主義的な奴らしい。
話を聞きつつ隙をみて逃げるか。
「あ、あぁ…。俺らは人間だ」
若干声を震わせつつも俺はそう答えた。情けないと思ったやつ、出てこい、そしてこいつの前に立ってみろ。こんな怪物の放つ存在感に圧倒されるぞ。
「おぉ、そうかそうか。ならば良し。質問があるでな。頼むから逃げずにおれよ?逃げれば殺すしかあるまいからな」
いきなり王手をかけられた気分になった。隙なんてできるはずがねぇ。というか、本当に平和主義か気になってきた。
ギラギラとした瞳に睨まれ、気分的には蛇に睨まれたカエル、あるいはまな板の上の魚というやつだ。
「…質問ってなんだよ…?」
辛うじて、俺はそう答える。俺は足の震えも手の震えも抑えたはずだったが、その声は震えていた。
「ふは、まぁ、そう怯えずとも良い。何も取って食おうというわけではないのだからな」
今日にも爬虫類然とした口を歪めつつ笑う古龍。取り敢えず取って食うってわけじゃないようだが、安心はできない。どちらにせよ機嫌を損ねればどのみち終わりだ。
「んで、質問だが?汝ら、我ら龍族の家畜とならんか?」
「……は?」
考えても無かった質問をされて俺は思わず固まった。思考も停止状態だ。
その俺の沈黙をどうとったのか古龍は口を開ける。
「あ、あぁ、そうかそうか。説明が足りんよな。つまりは、汝ら人間を、我の同盟『レッドドラゴンズ』が責任持って育て、繁殖させ、そして食うのだ。無味なる人生に意味ができるのだ、これが喜びと言わずして何を喜びと言うのだ?」
家畜…?人類が飼われて食われる?まさに冗談としか思えない言葉だ。
「じ、冗談だよな…?」
「冗談?なにが?」
思わず聞いた声に、むしろ戸惑った声で古龍は返す。その言葉で俺は真実を悟る。
「そ…そんなの許容できないわ!」
その時、意を決して拒絶を示したのは天音さんだった。
だが、それを聞いた瞬間あたりの空気の重圧はいきなり増した。重すぎて押しつぶされそうなくらいに。
ギロリと古龍は天音さんの方をみて、地獄の底から響くような声音で言う。
「ならば、死ね」
そして、天音さんを切り裂こうと古龍の鋭過ぎる爪が迫る。彼女はそれを受け入れたように、あるいは認識していないのかそのまま立ち止まっていた。
その時、思考停止したはずの俺の足は天音さんの方へと動き出していた。
そのことに気づいた俺の脳が、警鐘を鳴らす。やめろ、死ぬぞ、と。
しかし、脳の警告を無視して走り出した俺の体は、そのまま腰に差してある剣を…骸斬丸を抜きつつ天音さんの元へ。
理性はやめろ、と叫び、本能は間に合え、と吠える。時間が引き伸ばされるような感覚とともに俺の目にはスローモーションのように全てが映った。
俺の踏み出す一歩も、古龍の繰り出す必殺の爪も、天音さんがこちらを向くのも、鳥が羽ばたくのももどかしいほどに長い時間の中、ようやく俺は天音さんの前にたどり着く。
そして、俺は天音さんを助けられるようこれからのことが成功するように漠然とした像の神へと願い、決意とともに、魔法を使用する。
「バースト!」




