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<ガイア>列伝  作者: 樹実源峰
勇者大会編
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リュウの試合

「そういえば、この前面白い書物を発見しましてねぇ…《旧文明》の本なんですけどもね、『なぜ、人間は戦い合うのか』なんて視点で書いてあったんですよ」


真っ暗な部屋に二人はいた。片方は馴れ馴れしく喋り、片方は何も言わない。


「それ読んだら私可笑しくって可笑しくって…ついつい失笑してしまいました」


尚も一人の男は言葉を続けるが、もう一人はそれを黙って聞いていた。いや、もしくは無視していたのかもしれないが。


「だって、そうでしょう?『なぜ、人間は戦い合うのか』だなんて、そりゃあ、戦いが人間の本質に他ならないからじゃあないですか」


そういって体を小刻みに震わせ笑っている男に対して、もう一人はなんの反応も示さなかった。


「それをなんか土地権の争い〜だとか、価値観の違いだとか、そんなの理由をつけてるだけでしょうにと私は考えるわけです」


「それで、貴様は我に何を言いたいのだ?」


そこで、ようやくもう一人は喋った。その声は海の底より低く、しかし威圧的で、かつ王者の風格というものを持っていた。


「あぁ、いえ、それはですね、闘争というものが人間の本質ならば、同じく闘争を繰り返す貴方方も人間じゃないのかな?なんて思ったりしたわけですよ」


その発言はまさに、もう一人が人間ではないといったような発言だったが、これは別にもう一人のことを人でなしとかといった言葉で罵ろうとしているわけではない。


「そんなことがあるわけがあるまい、我は無知蒙昧な人間どもと違い、高位の生命であるぞ」


「左様で。まぁ、貴方ならそう返すだろうと予測してましたがね」


そこで一旦会話が途絶えた。一瞬で緊張状態に陥る部屋だったが、それを破ったのは意外や意外、偉そうな態度をとっていた男の方だった。


「それで、何故こんなところに連れてきた?人間どもの闘争など我には見るに値せぬぞ」


「いえいえ、確かに意味はありませんよ。ただ、今回は試合を観戦するのではなく三百年ほど前に貴方を滅ぼした如月の相棒の子孫…」


「『臆病者の紅』の姿を一目お見せさせるだけですから」





「はぁ…」


観客席にて、俺こと如月海斗は絶賛溜息中だったりした。


「何よあんた辛気臭いわね、友達の試合でしょ?応援くらいしなさいよ」


「そうですよ、海斗くん。リュウさんが頑張るんですよ?」


「いや、だって…やる気起きねぇ…」


俺のその返答をどう取ったのか、俺の隣の優香の隣に座っていらっしゃる天音さんはこう返してきた。


「あなた、まさか決勝戦で戦いたくないからここで負けろとか思ってんじゃないでしょうね!」


それに対して俺はちょっとだれたまま、こう返してみた。


「んなわけないだろ?決勝戦であいつと戦えないなんてそれこそ茶番以外の何物でもないよ。つか、あいつがこの試合に負けるなんてありえねぇ」


「え?でも相手は去年の大会ベスト8ですよ?しかも勇者歴は10年のベテランです」


「…それくらい、去年の試合記録を記録結晶で確認したから知ってるよ」


その情報に二人して「え?」と首を傾げる。おそらくいつ、とおもったのだろう。


「結論から言う。あいつなら三年前の俺でも簡単に倒せる」


「ふぇ?」


何気無く言った一言に二人とも目が点になったが、直ぐに天音さんは復帰した。即座にこう返してきた。


「客観的にはどうとでも言えるのよ?まして貴方たちは今年からAランクにいる新米も良いとこじゃない。決勝戦まで行けると思ってんの?」


話してみて分かったが、別に天音は万人に好かれるってかそこまでの人物じゃない。多分、皆に好かれてるのは作った性格だろう。まぁ、本性を見せられてるのは信頼されてる証拠かなと、どうでもいいことを考えつつ答える。


「決勝戦で俺とリュウが戦うのは絶対だ。っていうか、新米って言うなら優香たちも今年からAランクじゃないか」


「あ…そうですね」


俺の指摘に二人とも全く気づかなかった、なんて顔をした。いや、気付いとけよ。


「ただし、この試合直ぐには終わらない」


「はぁ?簡単に勝てるんでしょ?矛盾してない?」


若干威圧的な態度で天音さんは言ってきた。


「いや、な…あいつは」


と、そこで試合が始まったのでリュウの方へ視線をやりつつ言う。


「よっぽど急がないといけない場合以外は、とことん遊ぶ主義だ」




レベルが違い過ぎる、と分かるものには分かっただろう。だが、一見しては『紅水の貴公子レッド・ウォーター・ノーブル』が手を抜いているのは分からない。そう、互角の試合に見えるのだ。


相手の攻撃を紙一重で避け続けているせいで、なんとか避けきれたと実力差が分からない人々に思わせ、攻撃を外すたびにそこまで熟練してはないのかと思わせる。


だが、しかしよくよく見ると外したように見えた魔法は何かしらの紋様を描き出していた。


しかし、リュウはただ魔法陣を完成させるだけでなく、自分からも攻め行っていた。その剣技は鮮やかなもので見る者たちは、この『紅水の貴公子レッド・ウォーター・ノーブル』は、その名の由来である水魔法よりも剣技を鍛えてきたに違いないと思った。


リュウの本当の実力を知る海斗以外は。


その海斗にとって、今やっている斬り合いも、チャンバラにしか見えていない。リュウが本気そうに見えて実はその実力の半分も出していないな、と分かっていた。


暗黒の仮面(ダーク・ペルソナ)』…一見強そうだが、リュウの敵では無かったか。


フンと鼻をならして、『暗黒の仮面』の姿をよく見る。服は、今は暑い時期だと言うのに長袖長ズボン。色も黒で見ていて暑いし、その顔には名前の由来である闇よりも黒いような仮面が、まるで仮面ではなく顔であるといった様相ではまっていた。


全くあそこまで黒黒なのは神無月さんくらいだぜ…と思った時に、会場がどよめいた。


どうやら、今更リュウの作っていた魔法陣のことに気付いたらしい。


「『灼熱地獄(インフェルノ)』!」


その時、大掛かりな魔法陣を用意しないといけない超極大炎属性魔法が、発動した瞬間消えた。


「は?」


思わず俺はそんな間抜けな声を出してしまった。


一瞬、ほんの一瞬だけ、発動した『灼熱地獄』。すぐにリュウに視線を移すと、険しい顔をしていた。


つまり、一瞬で立ち消えたのはリュウが意図したわけではない、ということだ。


まさか…『暗黒の仮面』かと思ってそちらを見るとこちらは倒れていた。


そのまま、十秒が過ぎ、その試合はリュウの勝利となった。


本人や観客は釈然としないままその試合は終了したのだった。

リュウ「なんだったんだ、彼は?」

カイト「まさか、怪人百面…」

リュウ「唐突すぎるし変装してねえ!」


どうも、作者です。

今回もまたグダグダっぽくなってますが全開とは違い今回は計算尽くでやってますよ!心配ございません、えへん。


来週から、新作の投稿を開始する予定です。更新としては、一週間毎に、いつもの時間に新作のやつと、こちらとを交代交代に投稿して行く予定です。

まぁ、来週はプロローグ分と第一話の二回更新がありますが!

新作のタイトルは『NEW LIFE GAME』の予定です。乞うご期待!

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