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<ガイア>列伝  作者: 樹実源峰
勇者大会編
52/69

師匠との再会

「はぁ〜、つまりは番人を倒せたってことですか。貴方方は化け物ですか?」


<ガイア>の中心部に位置する、『教会』の、最上階にある円卓議会議長室に、海斗は赴いていた。立った一人で。姫華は、神無月のことを毛嫌いしているため、同行してくれなかったのだった。


目的は、番人討伐の報告。番人は、ダンジョンと呼ばれるものの入り口を守護している人外の何かではあるが一定の条件を満たしていると中に入れることを拒むのはないという。


逆に、条件を満たしていない者は武力排除するらしく、しかもその強さは化け物、と形容するに相応しいものであった。


だからして、それを倒したと報告する海斗のことを、円卓議会議長たる神無月が化け物呼ばわりするのもまぁ、納得はいくのだ。もっとも、


「先に、番人を討伐したのはあんたらでしょうに…」


神無月と、師走というこれまた化け物呼ばわりされる二人が先に討伐し、その際に弱点なども分かったために、海斗は勝てたと思っているのだが。


「はて?なんか言いましたか?」


如月海斗が言った言葉を神無月は飄々として聞き返す。恐らく聞こえていて無視しているだけだよう。


「いえ、なんでもありません。失礼します」


そう言って踵を返して立ち去ろうとした海斗に神無月は声をかけた。


「あぁ、そうだ、如月さん」


「はい?」


もう用事は済んだものとして思っていた海斗はなぜ自分を呼び止めたのかと訝しんだ。その、海斗の心中を知ってか知らずか、すぐに神無月は告げる。


「今回の番人退治の功績により、貴方をAランクに昇格させます」


「はい?」


それに対しての海斗の応えは、より一層疑問に満ちていた。


異例のBランクへ大抜擢されたのがついこの間のギ・ガー事件の直後で一ヶ月も前のことではない。なのに、もう昇格とはいくらなんでも早すぎるのではないか、と思ったのだ。


「そんなの、当然でしょうに。貴方は、並の勇者には倒すとこどころか触れることすら出来ない番人を殺して来たんですよ?化け物たるSランクが一人いたとは言え、二人でその相手をしたことは変わりないんですからねぇ」


それが理由だった。


「あぁ、そうそう、Aランクに上がったので来月の勇者大会はAランク枠での出場になりますよ」


「な、なに…?」


さらに、そこへ俺を絶望的な情報が追撃する。


Sランクは化け物揃い…というか三人の化け物しかいない。それに対してAランクは若干力が落ちる感じがするが、実際はAランクはAランクで猛者ばかり集っている。


Bランクなんかとは格が違う超強い奴もごろごろとしている。そんなところへ追い込まれたわけだ。なんてこった…。


「連絡は以上ですよ、下がってもいいですよ〜」


そして、この化け物と化け物(少なくとも、如月海斗は自分のことは化け物と思っていない)の会合は、幕を閉じた。



「…へぇ、やはり如月の血かねぇ」


「だろうな。やはり、如月は脅威となるか」


誰もいないと思っていた部屋でふと一人呟いてみた言葉に、言葉を返されたので意外に思って神無月は声の方向へ顔を向けた。


そこにいたのは、身長2mにも迫ろうとする大男だった。いや、その言葉には語弊があるのかもしれない。


背丈は2mにも迫る巨体だが、王であると主張するような赤い、血のように赤いマント。その下には貴族が着るような礼装があった。その礼装の下から見える肌の色は肌色ではなく黒であった。


さらに、極めつけとばかりにその男の頭には山羊のような角が二本、左右に生えていた。


「おや、魔王様こちらへおいででしたか?」


そう、この巨漢は魔王だった。『闇の領域(ダークテリトリー)』を統べる王である。


「ていうか、貴方、死にかけてませんでしたっけ?」


「確かに、我は死んでおったが、先ほど再生が終わってな」


実は、魔王という存在は世に知らされてはいなかった。そもそも、魔王はゴブリンの発生からしばらくして討伐されたはずだったのだ。上位数名しか知らないことだが。


「なるほど。再生、ですか」


神無月は含み笑いをして応じる。


だが、魔王は特にそれを身咎めることもなく質問を投げかける。


「準備はどうなった?」


「準備とは、そちらが人間界に攻め込む準備ですか?そちらの担当でしょうに」


その質問を、神無月は面白そうにまぜっかえす。


「フン、貴様に協力してもらったほうが手間がかからぬ。その協力の方に決まっておろうが」


「あぁ、そっちですか」


「分かっておったろうに」


「いえいえ。それほどでも」


「別に褒めてはない」


ハァ、と魔王は嘆息し口を開いた。


「それで、どうなのだ?」


「準備完了、いつでも作動可能ですよ」


「ならば、良い」


そう言って魔王は踵を返す。


「おや、帰られるので?」


それを見た神無月はそう尋ねる。


「あぁ。ここにはもう用はない」


「左様で。送りましょうか?」


「頼む」


神無月は、魔王からの肯定の言葉を聞いてから、パチンと指を鳴らす。すると、次の瞬間には魔王の姿は無かった。


円卓議会議長室には、ただただニタニタと笑う一人の男が残された。




「あぁぁ〜、だる〜」


『教会』の職員用カフェテリアにて、如月海斗はだれていた。


不眠な一日に番人という化け物を倒して次の日だ。全身には気だるさが残っていた。


ちなみに、姫華はすでにどこかへ行き今は一人という有様である。


「そういや…師匠に呼ばれてたっけ…?」


何をしようかと思ってボーッとしているとだいぶ前からの用事を思い出した。


ふわぁ、とあくびや一つして呪文を唱える。


「マナ・コール・ムーブメント・『薔薇城』!」


すると、海斗の周りの景色が白一色となったあとに森に出た。


だが、その森が彼の目的地。獣道を一本通って森を出る。すると、


「…そういえば、先月来たばかりだっけ?」


そこには、海斗が『天職授与式』に参加した時の会場でもあった薔薇城が見えた。


薔薇城とは、<ガイア>の『大陸』の南に位置する薔薇の国を統べる王族である紅一族が住む城である。


その現国王の紅孝人の息子である紅龍牙は彼の友達だ。


その薔薇城は、当然王の城であるから厳重に警備されてるが海斗は堂々と正面から入って行った。


警備員も海斗の方をチラリと見るだけで止めもしない。幼い頃から度々やってくる海斗の顔は既に周知のものとなっているし、紅一族と如月一族は家族ぐるみでの付き合いがあるのだった。


「お仕事ご苦労様です」


そう言って海斗は城へと入る。だが目指すのは謁見の間ではなかった。長く長く続く廊下を真っ直ぐ歩き、反対側へと出る。もちろん、そちら側にも警備員はいたが、同じく海斗の顔を見るなり興味を無くしたかのように目を逸らした。彼らも忙しいのだ。


そして、城から再び出た海斗の前にあったのは大きな湖だ。この湖は、城の裏口からしか入れぬようにバリアによって守られている場所だ。


その湖のほとりにポツンとある一軒の少し古い家に向かう。


そして、ドアをノックする。すると…


「入って良いぞ、海斗よ」


と答える声があったのでそのままドアを開けた。次の瞬間一人の老人が杖を振り下ろして来ていた。


いきなりのことに海斗は戸惑い振り下ろされた杖はしたたかに海斗の頭に当たった。


「痛っ!!」


「ふぉふぉふぉ…まだまだ修行が足りぬのぅ」


あまりの痛さに海斗は顔をしかめ腕で頭を抱えつつ、目の前の老人を見やった。すこし、涙目だったかもしれない。


「師匠…」


そこには白いヒゲを長く垂らす老人の姿があった。如月海斗と、紅龍牙の師匠である王宮剣術指南の通称、秋爺がいた。

今回は微妙なとこで切れてますが、次は続きってわけでなくいきなり大会が始まる予定です♪まぁ、伏線ってやつですかね?(自己申告とか世話ないわ…)


と、いうわけで来週もよろしくよろしくお願いします!

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