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<ガイア>列伝  作者: 樹実源峰
防衛準備編
48/69

眠れない夜

こんばんは、お久々作者です。


最近はテストあったりテストあったりで時間が…うん。


今回はギャグパートになります。不思議なまでに筆が進みましたね。この話ではギ・ガー戦についで筆が乗りましたね。


まぁ、どうでもいいことですね。


はてさて、今回の話は眠れない夜を過ごす海斗くんの話です。更にずいぶんご無沙汰な二人がちょこっと登場します。


では、どうぞ

「ん…?」


ふと真夜中に物音が聞こえたような音がして目が覚めた。時計を見ると、草木も眠る丑三つ時。侵入者が入ってきたのか、と思うと


「…ふわぁ…」


可愛らしい欠伸があった。これはもしかしなくとも優香だろう。その気配がこちらに近づいてくるのを感じる。…ん?こちらに?


現在、ベッドは右から、優香、俺、リュウの順番だ。だから、こっちの方向へ近づいてくるのをわかるが、だとしても若干俺のベッドの方向へ傾いているような気がする。


………まさか


と、俺が思った瞬間、まさに優香が俺のベッドに入ってきた。


ぐぬぉ…ふ、ふわふわする…じゃねえ、やべえ!一瞬理性を捨て去りそうになったわ!


このままだとやばい。さっさとこのベッドから出てしまおうと思って少し身動きした瞬間、がしっと腕を掴まれた。


「ん……。」


そのまま腕を掴んだまま動かない優香。チラッと見るとパジャマのせいか緩くなってる胸元の中身がチラッと…


ビキンッ…という音が響いたような音がした。おそらくは…俺の理性の殻にヒビが入った音だろう。だが、甘い。俺の理性は五万層もの殻に覆われていてこじ開けること不可の…。


「どこにも行っちゃ、やぁ…」


…馬鹿な!?第一層から一万三千二百三十二層までが剥がされただと!?


とか馬鹿なことを考えているといつの間にか逃げられないくらいに腕を掴まれていた。…というか完全に何か柔らかいものに挟まっ…(思考停止)


…って、危ねえ!思考停止しそうだった!ここでの思考停止は理性の放棄に繋がるから迂闊には出来ん!


そう思った俺が必死に逃げる方法を考えていると…こう腕を完全に抱き締められていて…。タイムアップを迎えていた。


逃げられないなら…そうか耐えればいいのか…。


そういう思想に至った時に俺の頭の中に二人の気配が現れた。…まさか、嘘だろ…?


『やぁ、みんな久し振り☆海斗の中の悪魔だぜ!』


『やぁ、みんな13話ぶりぃ!天使だよぉ!』


天使と悪魔(馬鹿ども)かよぉぉぉぉぉ!!!


最悪だ、よりによって理性を守ろうって時に、欲望の権化たる悪魔と天使らしくもねー天使だ。


『馬鹿どもとはご挨拶だな、俺。俺たちは胸を揉むために生きてきた魂の兄弟じゃないか』


そんなものになった覚えはねぇし、そんなことのために生きてきた訳じゃねぇ!


『そうだよ、僕たちは母親の仇を打つことを誓った復讐者じゃないか!」


だから、それのためだけに勇者になったわけじゃないんだよ!つか、本当にお前は天使かよ!!俺の心抉りすぎだろーが!


ある意味恐ろしいのは天使の方かもしれない。悪魔は己の役割をまあ弁えてるが、天使の野郎は心抉りにくる分悪魔より怖え。


「失敬だな、僕は君の良心だよ?僕を敬え奉れぇ!」


ついには調子に乗り始めたが、結局なんであれ悪魔に従うのはまずいと思う。


「おいおい、俺よ。失敬だな。俺はまだ何も言ってないんだぞ?」


どうせ胸を揉めとかそういうこと言うんだろ?


「なっ!?な、何故それを…!貴様、さてはエスパーか!?」


いや、お前とて俺なんだからある程度分かるわ。つか、それ以外言いそうにない。


「はっはっは、まぁそれは冗談だ。それはさておき天使よ、喉乾かないか?」


「ん?そうだね?」


「お茶を用意したから飲め」


お前らはどんだけ人の脳内で好き勝手やってるんだよ…。つか、喉乾くのか…。


「え〜、僕は猫舌だよ」


そして、なぜ俺は猫舌じゃないに、お前は猫舌なんだよ。お前らは本当に俺か?


「安心しろ、お前も飲めるようにちゃんと温いやつにしてある」


「えー、でも前そんなこと言って激熱のを飲ませたよね?」


お前らは本当に俺の脳内で(以下略)。つか、いつやってんだよ、俺知らねえぞ。


「よく見ろ、湯気が出てないだろ?」


「あ、本当だ」


すまん、俺には何も見えないんだが。一体俺の脳内はどうなってるんだ??


「いやぁ、気が利くねえ悪魔」


悪魔が気の利いてる世の中なんで最早終わってるだろ…。


「いっただきまーす……Zzz……」


寝た!?おいなんで寝てんだよ!?今茶を飲んだんだよな!?


「フッ、俺よ。お前の言う通りだ。悪魔が気の利いてる世の中なんて最早終わってるだろとか本当にその通りだが、まだ世の中終わったんもんじゃないだろ?」


何が言いたいてめぇ!


「いや、単純に俺が気を利かすわけなんてないって話で、こいつは俺に睡眠薬を盛られたってだけの話だ」


なんて卑劣な…!!お前それでも…あ、悪魔か。なーんだ。


「そういうこと。じゃあな、俺よ」


あん?じゃあな?どういうことだ?


「いや、俺らと話してるから俺はまだ胸を揉まずに済んでるんだろ?だから、邪魔な俺たちが消えればそう、制するものはなくなる。というか、逃げ道が無くなるか」


ま、まさか、本当に貴様…!!


「あばよ、兄弟。また今度な…いい乳揉めよ」


俺を嵌めやがったなぁぁぁぁ!!!


そして、それを境に悪魔の声及び天使の気配は消え、俺は現実に戻された。


…いつの間にか優香に抱きつかれてた…全身を。


やっべぇ、ふわっふわっ!やっふ…

じゃねえ!クソ、装甲があと三桁も残ってねえだろ!


その後俺は、自分自身と逞しく戦った結果、一睡もすることもなかった。


そして、翌朝…


「きゃああああああ!!!!」


優香にベッドから落とされてようやく眠りについた。



海斗が自分のなかで悪魔や天使と言い争っている時に、『教会』本部の円卓会議会長室にて。


「それで、来月の勇者大会の招待された勇者の参加はどうなりました?」


神無月狂夜は、目の前にいる大会の運営係に声をかけた。


「はい、全員参加とのことです」


「いやぁ、それは良かった良かった。何れも名選手ばかりですからねぇ、参加してくれたことでWPKの財政も潤いそうですね」


「はいその通りです」


「では、もう下がっていいですよ。報告ありがとうございました」


「はい、失礼します」


バタンと音がしてドアが閉まったのを確認した後、会長室を中心とする盗聴防止の結界を張る。範囲は廊下にはみ出さない程度まででだ。


そこまで徹底した盗聴対策の後に指をパチンと鳴らす。すると、部屋の横に置いてあるクローゼットの中から一人の…いや、一体のオーガが出てきた。


人類の平和を守る『教会』の天辺たる円卓会議会長室に。


人類の平和を脅かしている、ゴブリンの上位種たるオーガが現れた。


「そちらの準備は万全か、ラ・ダー?」


神無月が、先ほど運営係に尋ねたのと同じように、ゴブリンに同じようなことを尋ねた。


「いえ、やはり当初の予定より若干遅れが出ています」


「遅いな、まぁいい。だが、当初の予定通り、二ヶ月後には間に合わせろ。じゃないと…この計画は失敗だ。お前らは無残に殺され、逃げ切れたと思えど俺に殺される。そして、俺はまた何百年かけて再構成せねばならない。お互いそれは嫌だろ?」


「その通りです」


オーガは先ほどの運営係のように答えたがその声と体には震えが出ていた。


「じゃあ、とっとと消えて準備しろ。もし間に合わないなら…」


ギロリと睨みをきかせて神無月は言った。


「殺すぞ」

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