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<ガイア>列伝  作者: 樹実源峰
防衛準備編
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ドラゴン討伐

よりにもよって入った洞窟がグリーンドラゴンの巣だという事実に、Aランク勇者二人とBランク勇者一人に市長が平静を失っている時に、ただ一人弥生姫華は、落ち着いていた。


「落ち着きなさい。じゃないと、倒せるものも倒せないわよ」


しかも、まだ希望があるかのような物言いだった。


通常、ドラゴンとは少なくとも勇者が八人以上にいないと倒せないような存在なのに、しかもこの場にはその半分しかいないというのにあたかも倒せるかのような言い方だった。


それに対して姫華は次の一言を加えることにより他のメンバーを更に驚愕させる。


「今滝から入ってきた方は私が抑えておくから、貴方達は三人で目の前のを倒しなさい」


たった一人でドラゴンを止めるというのだ。そんなの無理だろとか誰もが思った時に入ってきた方のドラゴンは突進してきた。


グリーンドラゴンの恐ろしさはその脚力にある。当然ドラゴン種の特徴である飛行や火炎放射も行えるのだが、地上における機動力に対しては他のドラゴンを圧倒する。


瞬く間に迫り来るドラゴンを呆然を見つめていた時、姫華のすぐ後ろでそのドラゴンはまるで見えない壁に当たったかのように何かに衝突した。


「…まさか、防御壁?」


光属性魔法の高難度魔法、防御壁。光によって形成された壁を作ることによって相手の攻撃を防ぐ。相手のとって厄介なのはその壁が見えないことなのだが、まず見えない壁を作り出すということが想像しにくいために高難度である。


それをあっさりとしかもドラゴンの方に目をくれずに形成してのけた。


「…まぁ、こちらは大丈夫よ。貴方達はどんな方法を使ってもいいから目の前のを倒しなさい。ちょうど良い特訓になるわ」


それに対して俺が何かを言おうとすると姫華さんは遮るように、


「確かに一瞬で殺せるけれども、それじゃ特訓にならないでしょう」


と言った。


「流石に貴方達が死にかけたらその場合はさっさと殺すことにするけれども、それまでは頑張りなさい」


と言った。


つまり、これは訓練なのだ。ただ、相手がドラゴンというだけで…。


「まぁ、勿論気を抜いたら死ぬから気をしっかり引き締めてやりなさい。下田さんは私の命に代えても傷一つ付けないから安心して下さい」


「う、うむ、よろしく頼むぞ」


しっかり気を引き締めないと死ぬらしい。だが、少し落ち着いた。スーハーと深呼吸して息を整える。


クスッと笑う声が聞こえたのでそちらの方を見るとそれは優香だった。


「え…?なに?」


思わず普通にそう返してしまった。


「いえ、なんか場が緊張していたのが嘘みたいに消えてしまったので」


と優香が微笑んで返してくる。すると、リュウが


「確かにそうだけど気は抜かないでね。死ぬかもしれないから」


と注意してきた。


そして、三人で向かい合う。普通なら三人なんかでドラゴンに挑むなんて自殺行為だけどもなんかやれる気がしてきた。


「とは、言えど浮かれてもらんねーかな」


「私は魔法支援に回りますね」


ボソッと気合を入れ直した俺の隣で優香は立ち位置を表明した。


「了解。じゃあ、僕とカイトは左右から行くことにするよ。カイト、君は右から」


リュウは指揮を取り、俺は


「了解。合図、1,2,3・・・」


「「薔薇の剣 一の型 鷹狩り!」」


二人で同時に『鷹狩り』をして、一気にドラゴンの両手を切りに掛かる。


だが、その硬い鱗に弾かれる。


「やっぱ、硬い!」


「一旦引く!」


バックステップで距離をとろうとすると、ドラゴンは大きく口を開けた—ドラゴンの代名詞、ファイアブレスの前触れだ。


「私が防ぎます!」


優香がそう言うと同時に、ドラゴンの目の前に水の大きな玉が出現し、ドラゴンは反応しきれずそこへ炎を放った。


ジュウウウ…と音を立ててあっという間に水が蒸発していくが、炎も届かなかった。


ただ、それが目潰しになったかと思えば、ドラゴンには通じなかったようだ。翼をバタつかせ、霧を払われた。


グォォォォォォォ!!


ドラゴンの咆哮に洞窟が揺れる。


「…やはり魔剣の力を解放するか」


「は?何を言ってんだリュウ」


俺は思わず聞き返す。魔剣って、確か俺の『骸斬丸(からきりまる)』とか、リュウの今持ってる剣くらいしか知らないが、特別に他の剣との違いなんて斬れ味くらいだと思っていた。


解放するってそれはまるで剣の中の力を解放するかのようで・・・。


「我が契約によって目覚めよ!其が名は『星砕(ほしくだき)』!我に全てを破砕するその力を見せ給え!」


ドクンッと何かが脈動した。リュウの方を見ると剣から黒いモヤモヤが立ち上っていた。…あれは一体なんなんだ?


「カイト、もう一回同じことを頼むよ」


正直、何があったのかよくわからないが、指示には従おう。大丈夫だ、・・・気を抜かなきゃ死なないだろう。


「了解。合図、1,2,3・・・」


「「薔薇の剣 一の型 鷹狩り!」」


一気に再び腕へと斬りかかり、ガキンッと鱗に弾かれる。だが…


グォォォォォォォ!!!


ドラゴンの雄叫びが聞こえた。一旦下がって見ると、左側の腕が斬られていた。


「ん…。やっぱりこれしかないかな」


「おい、リュウ!」


「ん、なんだい?」


「それどうやるんだよ!?」


敵前だが、先ほどの剣を弾くくらい硬い鱗をものともせず斬ったその方法が気になった。


「魔剣解放のことかい?」


「たぶん、それだそれ」


「・・・うーん、カイトはまず剣の意識に触れないといけないからな、今は無理だよ」


あっさリムリだと言われた。


「とりあえず、カイト。僕の剣であの分厚い鱗を剥がすからそれでガラ空きになった腹へ一撃加えて欲しい」


「…ん、まぁ分かったよ」


「次、来ますよ!」


そこへ優香からの注意が飛ぶ。前を見ると再びドラゴンが火を吹くところだった。


「目には目を、歯には歯を、火には火を…です!」


今度はドラゴンの目前に炎の玉を置く。それとドラゴンのファイアブレスがぶつかり合い、爆発を…。


「その爆発を破壊させてもらう!」


リュウが剣を一閃すると爆発は起こらなかった。そして、そのままリュウはドラゴンの腹に斬りかかり…


ガリッという音と共に鱗が剥がれ落ちた。


そこへ俺が…渾身の力で


「薔薇の剣 三の型 獅子狩り!」


トドメの一撃を加えて、あっさりとドラゴンは崩れ落ちた。

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