十二を背負うもの
こんばんは!
どうも作者です。
今回も仕上がったのが23:00くらいとややギリギリでした。
誤字脱字ありましても、ご勘弁ください。テスト後で疲れてるとでも思って!
では、今週の話、はじまりはじまり
「逃げずに来たか」
今回の試合の会場でもある武道場に、足を踏み入れると素振りをしていた破凪がこちらを向き、そう言った。
あと、全く関係ないがここで不定期にある模擬戦が行われるのだそうだ。ちなみに、男女別。その中で優香は一度も勝負に負けたことがないらしかった。聞いてもないが説明された。…別に面白かったからいいが。
「思いっきり、『睦月家として要求するとか言ってたじゃねえか…」
一方、俺はさっきは飼ってやるとか言ってたものの、イマイチモチベーションが上がらないので、愚痴った。
「では、二人も揃ったようだし始めようか!私は相模だ。諸君らの試合の審判のため、WPKから派遣された。私の指示には従うように!」
やたら熱そうな人が審判を務めるそうだ。しかも、『教会』から派遣されたらしい。…普段なにやってんだ…?
「では、ルールを説明する!しっかり聞くように!」
ルールを説明するときもやたら熱い…。
熱がりながら彼の話を聞くことにはルールは…
致命傷はできる限り与えない。ただし、部屋の外にはいつでも手当ができるように、天職『医師』と『看護師』がいるようだ。
絶対に相手を殺さない。殺した場合は、どんな判決が下っても仕方ないらしい。
剣の流派は規制しない。これは、ありがたい。王宮剣術が禁止されたら俺が使えるのは少しだけだからな。
魔法の使用はあり。これは、どちらかというとあまりありがたくない。事故が起こりやすいからな。
木剣もしくは木刀を使用すること。さらに、その二つは学園内に用意されてるものを使用すること。武器の性能の差は加味しないということか。
最後に、決定打が出た瞬間勝負が終わる。例えば、気絶したり、剣を喉に突きつけられたりといった、普通ならもう死ぬしかない状況を作り出せばいいということだろう。
「以上だ!他に質問…ん?厳島校長、魔法学の授業はどうされましたか?」
先ほどまで熱かったあの人が少し狼狽しているような声を出したので、思わず俺はそちらを見ると、厳島校長が武道場に足を踏み入れているところだった。後ろにはこのスクールの学生と思しき人たちがゾロゾロついて来ていた。
「いや、なに。今日の試合はとても凄いものとなりそうだからね、生徒たちを連れて来たのだよ」
「…そうですか」
なんか、相模さんが悔しそうな顔をしていたが、すぐに元に戻り
「では、各々武器を取りにいけ!十分したら始める!」
と、言葉を続けたので、俺と破凪は武器を取りに行った。
同じ歩幅で、同じ速度で剣をとり、同じくらいに定位置についた。
その周りは円で囲まれていて、その中から出ないように、ということだろう。意外と広くて、半径約20mといったところか。
「では、構え!」
カチャリ、と互いに構えた。破凪は、木剣をやや下に向けて構えていた。…出方が読めない。
これが、素人なら突きなのだろう。ただし、例を出してみると、リュウ。奴なら、ここからいきなり振り上げてからの振り下ろし、または、ただの振り上げ、逆袈裟斬り…などなど、様々な切り方をする。
そして、当然ながら破凪は手練れだろう。事前に聞いた話によると、彼はここには魔法のみを習いに来ていて、剣は不定期開催の模擬戦以外には使わないのだそうだ。そこまでの特別待遇され、しかも自分から喧嘩を売ってくるということは、確実に強い。どの程度かは分からないが、楽に勝てるわけではないだろう。
そこまで考えて、思わずはっとした。俺は、自分の勝利を疑っていないことに。
「はじめっ!」
だけど、その瞬間。
審判がはじめといったその瞬間に、俺は、右半身を逸らした。
そして、風を感じた。
破凪の木剣が、先ほどまで俺の右手首があったところの空気を割いていた。
恐らくは、手を痺れさせることによって、戦闘不能にし、さっさと勝負を決めるのが狙いだったのかもしれない。
そんなことを考える間もなく、俺は、右半身を逸らした勢いのまま、左足を軸に全体を回転させ—右回し踵蹴り。そのまま、振り下ろして背中が見える破凪のその背中に向けて踵を当てようとした瞬間、背中全体にに力がかかり、吹き飛ばされた。
急いで、木刀を地面に突きたて、勢いを殺す。
見ると、破凪も同じ体勢だった。どうやら、今のは互いの間に風を発生させて吹き飛ばす魔法のようだったが、とっさのことで少し出しすぎて自分にも影響が出たのだろう。だけど無唱だったな。これは手強い。
しかし、試合開始のあの一瞬で目の前に現れたことは驚きだ。リュウでも、あそこまで早くはない。恐らく魔法を使ったのだろうが精度はリュウの比ではないかもしれない。…いや、リュウならこんな直線的な攻撃はせずにいつも戦うから単純に出さないだけかもしれないが。
いずれにしても、今ので相手のだいたいの戦闘スタイルが分かった。
手首を痺れさせようという試みから恐らく、パワーはある。
そして次に、一瞬で次々と魔法を繰り出せるから、テクニックもある。だが、二発目がやや制御できていないのそこは、リュウが上だろうが、無唱魔法が使えるし厄介だな。
ある意味、無唱魔法の点ではギ・ガーより怖い。だが、パワーは恐らく俺と同等。
…まぁ、あの時はバーストを使ったから勝てたようなものだしな。今回はバーストは使えない。
そんなことを考えながらも俺の体は自然と構えていて、相手と睨み合っていた。先に動けば負ける…状況だけをみれば、あの時と同じ。今回は命はかかってないし、他の人の命もかかっていない。
…なんだ、そりゃ。恐ろしいほどメリットがない。正直、如月家は復興したから金がいるわけではない。だから、勇者として高ランクを目指す意味もあまりない。
と思ったらなぜか優香の顔が頭に浮かんだ。
なぜだ…?
「それは、お前が男だからさ」
…ん?だれだ!俺の頭の中で喋ってるやつは!?…ん?頭の中?
「おっと、紹介が遅れたな。俺様はお前の中の欲望、つまるところ悪魔かね」
悪魔…だと?俺の中に??
「あぁ。人は誰しも自分の中に悪魔や天使を飼ってるのさ」
じゃあ、俺の中にも天使が!?出て来いよ、俺の天使!
「はーい、僕が君の天使だよ?」
…頭の中にもう一つ声が増えただけだった。
ちなみに、こいつらの声は、悪魔の方が俺よりやや低め、天使は俺よりやや高めだった。
つうか、お前らなにしに来たんだよ!?俺はバトル中だぞ!
「いやいや、俺らはアドバイスをしに来ただけさ」
「君はこの試合に勝たないといけないからね!」
何…だと!?




