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<ガイア>列伝  作者: 樹実源峰
防衛準備編
33/69

「睦月に勝って欲しいのだよ」

どうも、作者です。学生のみなさんは定期試験が始まったかこれからなのでしょう。俺もです、テスト滅べ。


今週も無事に更新できました。うん、よしよし。来週から若干加筆作業とか、行分けとかしていきますのでさらに読みやすくなるでしょう、たぶんおそらく。


では、お待たせしました。最新話の登場です。

諸君らは、かの有名な最初の勇者を知っているだろうか。


かの有名な勇者…彼には名誉ある称号として最初の勇者やら、勇者の始祖などという二つ名がつけられていたりする。


名前は不明。伏せられているのか、それともただ不明なのかは分からないがその勇者の唯一にして最高の英雄譚は今も語り継がれてるほどだった。


その昔、彼はとある国のとある領地を治めている家の嫡男だったそうだ。その当時は、四国戦争が行われている話とも言われてるから、それはおよそ神聖歴120年ごろである。


この頃あたりに最近、緑の人型の生き物が家畜や人を襲ってはいずれかに連れ去って行くといった事件が多発していた。


当然、職業『警察』が、事件を調査し警戒に当たっていたが、片っ端から返り討ちにされたようで被害者の数は増える一方だった。


そんな中、唯一、全くと言っていいほど被害の出ない土地があった。


警察は当然これを訝しみ、その土地がこの一連の事件の首謀者が潜伏しているのではと思い、何人かの精鋭を送り込み監視をさせた。


そんなある日、その土地の農場主が飼っていた羊の鳴き声が真夜中に響いた。


勿論、監視の任を負っているとは言え彼らは人を守るためそこに赴いた。…原因を解明できるという考えもあったが。


そして、彼らが行った先には驚くべき出来事があった。


手負いの羊を庇うように羊の目の前に立つ男性一人。その周りを人間より少し小柄で人型の生き物が囲んでいた。…ただしそこから臭う悪臭や、顔からして即時に彼らは人間であるという、考えを捨てた。


だが、囲まれているのは人間なのだ。当然彼らは割って入ろうとした時、一筋の光が輝き、囲んでいた人型の生き物が一斉に倒れた。


その中の一匹に、男性は近付き足でつつき、ひっくり返した。


その腹にはかなり深い切り傷があった。それを見て男性は満足したように頷いて言った。


「そこにいる方、僕には戦いの意思はありませんので、少し話をしませんか?」


その言葉に、彼らは本能的に身構えた。


「…ですからとって食おうって気はありませんって」


しかし、男性から苦笑の気配を感じて彼らは大人しく警戒を和らげるとともに、口を開いた。


「君は誰だ?」


その言葉に、男性はこう返したそうだ。つまり、ここの領主の息子だと。


そう聞いて彼らは彼をまじまじと見ると、彼は男性ではなく、少年だった。


そして、その少年が言うには自分は毎日こいつらを排除してきたのだという。誰にも知られず、誰にも知らせず、自分一人で。



「海斗さん、大丈夫ですか?」


「大丈夫じゃないよ…」


そんなことをぼんやり考えていた俺を優香の声が現実に引き戻した。


そして、かの少年こそ俺の勇者としての目標だ。無私の精神。


そう考えてかぶりを振り、その思考を払って大人しく現実に帰ってきた。


因みに、昨日は結局優香が逃げ出したあと、会うことはなかったが、今朝迎えにきた。ちなみに、その時から俺の呼び名も「海斗さん」に変わっている。…なんかこそばゆい。


優香が起こしにきたから今日は何があるのかって?


昨日優香を怒らせる原因となった睦月破凪の決闘申し込みだ。…いや、申し込みなら断ったが、命令だからな。俺一人の面子が潰れるのなら問題ないが、家の面子が潰れるのはダメだと思う。


ふと、脳内に親父の姿が浮かび「家の面子?いらねーなぁ、そんなことより畑仕事が楽しいんだよ」と、快活に笑った。


…大事なのは、俺の気持ちだと思っておこう。


「着きましたよ?」


「…はぁ」


俺たちが泊まっていた『教会』のゲスト用宿泊施設から、歩いて五分。勇者育成スクールがあった。


「ここが、勇者育成スクール…」


まず校門には、いや、校門は馬鹿でかい。これは、用意には越えれないし、しかも中には警備員もいる。…感じるのは気配だけで、姿は見えないから、おそらく、感覚の鈍い者が入ろうとすると、魔法を撃たれてもどこから撃たれたか分からないだろう。


次の校門から校舎までに広がる運動場…もしくは校庭。こちらもひどく広大だ。


まぁ、ここで戦闘演習でもやったりするから当然とも言えるか。


最後に校舎。こちらは、先ほどの二つに比べると見劣りするくらい小さいという印象を受ける。が、それでもやはり普通よりは大きい。


と、思いながら考えていたところで門が開いた。…まだ、何もしてないのに?


「やぁ、はじめまして、如月くん。姫川さんも久しぶりだね」


いきなり声をかけられて振り向くとそこには一人の老人が立っていた。…だれ?


「厳島校長!」


優香がそう言った。厳島校長らしい。だれ?


「まぁ、私のことが分からなくても無理はないな。もう私は引退した身だしな」


そう言うと、いきなり身に纏う雰囲気を変えてきた。殺気全開だった。ぶっちゃけ、波の勇者ならビビるだろうが、…うん、師匠とかギ・ガーに比べりゃマシな方だな。


だが、俺がそれにどうじないのを見ると満足そうに頷いた。…よく意味が分からん。


「如月くん、私からお願いがあるのだがいいかね?」


そして、突然そう言われたので俺は少し驚き、ついつい普通に返してしまった。…いや、別に何か言い返そうとかいうものはないのだが。


「え、はい、なんでしょうか?」


「睦月のことなのだよ」


「睦月…破凪のことですか?」


「うむ」


「睦月とは、まさに今から模擬戦をするところですが?」


「まさにそのことだ」


睦月との模擬戦に関するお願い。しかも、この学校の校長から。…正直少し嫌な予感がした。ウチの生徒を傷付けたら、タダじゃあおかねぇ!とか、言われるのかな?


「睦月に勝って欲しいのだよ」


「…はい?」


俺が予想しうる答えの真逆のものを返した。


「実は、私は昔彼に剣術の手ほどきをしていてね。その時から彼は、私以外にだが負け知らずなのだ。才能があるのは良いことだが、挫折を知らなければやがて現在の地点で胡座をかき、やがては才能という宝が腐ってしまうことだろう。私はそれを怖れている」


俺が不思議な顔をしたからかすぐに説明…というか懸念を話してくれた。俺はなるほどと納得した。


「だから、ここで彼に敗北を、しかも同世代から与えたらもっと伸びると思うのだよ。まぁ、ついでだと思って聞いていてくれ」


「はぁ。まぁ、確かに俺は負ける気はないですし、わざと負けてやるのは以ての外です」


「うむ、良い返事だ。まぁ、形とはいえ、お願いだから、そうだな。クエスト…とでもしておこうか」


「校長、クエストですか?」


優香が食いついた。一体どうしたというんだ。


「如月さん、クエストってことは勇者ランクを上げる為に必要なノルマを得られますし、報酬も出るんですよ」


まるで、心を読まれたかのように優香に説明された。…なるほどなるほど。


「もちろんだ。報酬はまだ決めてないが、そうだな…それなりのものを用意しておこう」


そう言って、厳島校長はどこからか、紙とペンを取り出した。…どこから?


そして、ペンの蓋を外し、さらさらさらっと紙に書き込んだ。


「こんな感じでどうかね?」


クエスト名:代理の課外授業

クエスト受注制限:如月海斗のみ

クエスト内容:睦月破凪に勝利する

クエストランク:★★★


3って、ちょっとしたドラゴン並みじゃねえか…と、少し俺は飽きれた。そこまで強いのかよ、と。


ちなみにだが、この試合によって俺の倒したギ・ガーがどのくらいの強さが分かるのだそうだ。


案外、ドラゴンと同じだったりしてな!…全然笑えねえ…。


「はい、分かりました。では、受けさせていただきます」


そう言って俺は、クエスト用紙の下にある受注者名のところにサインし、めでたく俺の二個目のクエストを受けることとなった。

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