ハロウィン!
この話は、季節に合わせてなんとなく書いてみたものです。
時期はやはり10/31ハロウィン。
ただし、必ずしも登場人物の関係がこのように発展しているとは限りません(今後のネタバレを防ぐためだったりするので)。
なので、これは今書いている話のあり得るかもしれない未来と考えてもらっていいと思います。
まぁ、現時点で考えている彼らの関係性ですがアイデアなんて逐一変わっていくものなので。
それでは、以上の点を踏まえてお読みください。
一応、これは外伝とかそういう位置づけにしていることをご了承ください。
「トリックorトリートです!」
朝、宿のノックする音で目を覚ました俺を扉の向こうで待っていたのは、青崎さんだった。カボチャをデフォルメした感じの帽子を被っていた。
あと、犬歯を長くしている。マントを羽織っているところを見ると、ハロウィンを楽しむ女版吸血鬼といったところかな。…まぁ、なんにせよ可愛い。
「…もうそんな時期だっけ?」
とか、考えていたのはそのあとで、その時は、まあ可愛いとかは思ったが、そう質問した。
すると、青崎さんは頬をプクッと膨らませた。…ダメだ、可愛い。
「リュウさんの言うとおり如月さんは日付感覚がないんですね」
青崎さん、つーかリュウの指摘通り俺には日付感覚がない。今日何曜日とかはだいたい分かるけれども、カレンダーとかなしで今日は何日だ!?とか、聞かれても答えられる自信はない。
「えーっと、今日は……何日だっけ?」
「10/31、ハロウィンですよ!ですから私はいま、仮装をしてトリックorトリートと!」
そうだな。普通そうだよな。トリオトリ(トリックorトリートの略。俺が作った)とか言うのはハロウィンだけだよな。
そこで、俺は一旦奥へ引っ込んでお菓子を探すこととした。…たしか数日前に買ったような…おお、あったあった。
「はい、お菓子だよ」
と言って俺が青崎さんに渡したのは、ぐるぐる渦巻いたような模様が特徴の棒付きキャンデー、ロリポップだ。
だが、青崎さんの顔は笑顔にはならなかった。だが、それでも可愛いのは美少女勇者たる所以か。
「如月さんは、お菓子をちゃんと用意してなかったので、いたずらします」
その表情が少しツンっと意地張っているように見えたのもさらに可愛い。…ん、いたずら?
「えっ、えっ、えっ?」
一体何をされるんだ、俺は、と胸の内に思ったのを察されたのか姫川さんは言葉を続けた。
「今日一日私に付き合ださい」
と言ってきた。但し、少しツンっとしている表情とは裏腹に例の鬼神が宿っていた。…相変わらず怖い。
「…あぁ、そのくらいならいいよ」
正直、何もなくても誘われたら行くけれども、鬼神を見た直後なので若干気が乗らなかったりした。
「へぇ〜、街もハロウィン一色だな」
別に青崎さんの言葉を信じなかったわけではないけども、昔にリュウに『明日はエイプリルフールだから』と4/1に嘘をつかれた翌日、嘘をつきまくったら、騎士長から折檻された嫌な思い出があるから若干慎重になっていたのだ。
因みに街一色ハロウィンというのは、ハロウィンの飾り付けが至る所にされている、ということだけでなく、人々も思い思いの仮装をしているからだった。
付け加えると青崎さんはさっきのハロウィンを楽しむ女版吸血鬼で、俺は上半身のみミイラ男だ。
念のためにこれも付け加えておく。上半身のみとは、別に包帯を巻いた上半身を露出しているわけではない。上半身のみに包帯を巻いてその上から普通の服を着ている。
と、いうのもこれを巻いてくれたのは青崎さんなのだが、流石に下を脱ぐわけには行かないから上だけやってもらったのだ。膝から下は自分でやった。
「それで、今からどこに向かうんだ?」
俺はそう質問した。今日は付き合うことは分かっているがどこに行くかは未だに知らされていなかったのだ。
だが、青崎さんはまだ秘密とでもいうように口に人差し指を当てた。すごい可愛かった—さっきからそればっかりだが—とだけ言っておこう。
やがて、一軒の旅館に着いた。
見るからに高級旅館、しかも周りの店も高級な物ばかり扱っているところだった。
だが、まぁそこにもハロウィンの飾り付けがしてあったのだが、特別サイズのカボチャをそのままくり抜いて作ってるあたり相当に気合が入っていそうだ。
そこに青崎さんは入る。
俺も続く。
そして、203と書かれた部屋にたどり着いた。
「如月さん、ここをノックしてトリックorトリートと」
俺は言われるままにノックをして、ガチャと扉が開いた瞬間
「トリックorトリート!」
しかし、次の瞬間強い一撃をほおに感じた。吹っ飛ばされた。
「…ん?…なんだ、如月か。不審者かと思った」
その声の主は、睦月破凪だった。
「こんにちは、睦月さん!そしてトリックorトリート!」
「あ?そういや、葵のバカがそんなこと言ってたか。えーと、お菓子はっと…」
と言って睦月は中に入り、カボチャ頭のキャラクターが描かれた紙に包まれた飴を持ってきた。…ほとんど被りやがった…。
そして、奴はそれを青崎さんに渡して、扉を閉め…ってちょっと待て。
「おい、睦月!俺のは!?」
そう言うと、奴は扉を少し開け
「あ?死にてぇのか?」
と言ってから完全に閉めた。その拒絶の意思を示すかのようにガチャリと鍵の音をさせながら。…ほぉ?
「あれか、今日はトリックorトリートだしなぁ?トリックしちゃってもいいのかなぁ?」
と言って俺はありったけの思いを込め魔法を放とうとするまえに、
「ぐえっ」
青崎さんに襟を引っ張られ退散を余儀無くされた。
「次は、ここかよ」
たどり着いたのは、バラの国の王宮だった。ってことは、リュウに会いに来たんだな。
と思い、入ろうとした途端普段から入り口の両脇に置いてある甲冑が動き出し、俺を殴った。
「ごっ…」
なんか変な声を出して俺は床を転がった。
「ふふん…引っかかったね、カイト」
甲冑の中からくぐもった声が聞こえて来た。ただ、くぐもったと言えども、それは聞き飽きた声だったので一瞬で判別がついた。
「リュウ…お前かああああ!」
と、俺が怒りを込めて振り返った時には、奴は青崎さんにお菓子をあげていた。箱に入ってて何かは分からないがお菓子なのは間違いないと思う。
「リュウ、俺の分寄越せ!」
と言って勢いをつけて立ち上がったら…
「はい、カイトの分」
と、大人しく俺の分を差し出してきて、逆にずっこけた。…マジですかい?
「…珍しいな。お前が素直に渡すとは」
俺が疑問と怪訝で一杯の顔で睨みつける。すると、奴は
「いや、今年は忙しいからね。すまないけど、カイト帰ってくれ」
と何食わぬ顔で言ってきた。
「…忙しいって?」
「まぁ、王子の仕事さ。ほら、行ったいった」
そう言われて大人しく退散した。
そのあといく軒か回ったあとに、
「そういえば、青崎さん、このあとは?」
「いえ、もう帰りますよ?」
俺は次の行き先を聞いたが、どうやらもう帰るようだ。
だが、俺たちは瞬間移動は使わない。俺の方はこうした二人の時間を噛み締めたかったからだが、青崎さんは一体どういう気なのかは分からない。だけれど、言ったらこの状況を崩すような気がした。
そして無言のまま帰りつくと、
「そういえば、如月さん。私はまだいたずらしていませんでした」
「え?」
俺は軽く戦慄した。何か恐ろしい目に会う気がして。
「え…っと、あの、あれは?さっきまでの…」
「たしかに、あれはお願いしましたけど、いたずらではありませんよ」
見事なまでに逃げ道を封じられた。このまま逃げ回るのも男らしくないと思って観念し判決を待った。
「じゃあ、目をつむってください」
そう言われて大人しく俺は目をつむる。すると、
「えっ?」
唇に柔らかい感触を感じて思わず目を開けた。
目の前にはずかしそうな顔で顔を真っ赤にし、その人差し指で自分の唇をなぞっていた青崎さんがいた。
そして、くるりと踵を返して自分の部屋へとかけていった。
そして、その場には呆然としている俺だけが残された。幸い今の光景は誰にも見られなかった。そんな中、俺は今の唇の感触へと思いを馳せた。
柔らかくそして、何やら甘い気分が…。それはまるで…
…うん、書き慣れてないな。
この文はハロウィンに間に合わせるよう直前まで書いて、とくに誤字脱字確認していません。もしありましたら、お知らせください。
あと、今度の更新はいつも通りで。できたらですがね。できなかったら、火曜か水曜日には上げれるように頑張ります!
それでは、今後ともよろしくお願いします。




