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<ガイア>列伝  作者: 樹実源峰
防衛準備編
22/69

勇者育成スクール

こんばんわー、今回から第二章の『防衛準備編』

伏線やらなんやら考えすぎて全く筆が進まずストックは現在二話しかないです^^;

前は五話とか普通だったんですが…。

さて今回から新登場人物が結構増えますのでお楽しみにしてください。

それでは、ではでは

勇者育成スクール、それは勇者の見習い達が王様に認められるため他の見習いを蹴落とし自ら這い上がる…などという暗い場面はない。

逆に互いが互いに切磋琢磨し、素晴らしい勇者になることを目標としている。

その運営は『教会』と一部の勇者の寄付金により賄われている。教師にも力を入れているのだ。

勇者と騎士には定年退職がありそれは50歳である。ただし、このガイアには15歳以上で無職の者は罪人以外はおらず、退職した者は二つの職から自らの職を選ぶのである。即ち、勇者の先生(元騎士は別にある騎士育成スクールでの騎士の先生)か、自分の親の職を継ぐかである。

それで、教師を選んだ者が教師となるわけだがここにもさらに条件がある。それは、教師を希望できるのはBランク以上の勇者であり、Bランクは何週間かに一度『闇の領域』と人間の領域の狭間に行き、あちら側からやってくるゴブリン達を撃退し、Aランクはその義務が排除されるほどの戦闘の経験も豊富である。

だから、個人の経験則などによって多少は影響されるがとてもレベルの高い教えを受けることができる。

ただし、このスクールは『教会』本部の近くに、つまり大陸中央にしか存在しない。更に、行っている期間中は寮で寝泊まりをして演習以外でスクールの外に出ることはない。そして、受講料などは勇者の給料から引かれてでる。…まぁ、それでも並の職業よりは高いものだが。

ちなみに勇者という職は、とてもなることが難しいのである。

まず『天職授与』一年前に天職を希望する時までは他の職業と一緒だが、『天職授与』の一ヶ月前に体力テストがある。内容は…100m走だったり色々あるが、ここで合格点を超えた者だけが、勇者となれるのだ。

さて、そのような優秀な勇者たちが集うスクールの授業は魔法学と体育とに別れる。

魔法学とは、勿論魔法を学ぶことである。とはいえ、魔法は未だ研究中のことが多く基礎の部分や既知のことを教え、後にある演習授業にて実践することが主である。

体育とは、体力をつけるために行うものである。勇者は剣を腰に付け場合によってはそのまま走って追いかけたり、逃げたりしなければならない。加えて剣を振り回すこと自体に体力を要するので勇者にとっては必須なのだ。

そして見習い勇者たちは己が正義を貫く勇者を目指すのだ。…その結果互いにぶつかり合うこともある。しかし、その時こそ己の信念のためされる時とは、このスクールの憲章である。

そんなスクールに通う二人の勇者の話である。


「次だ、睦月と金沢!」

教官の声が響く。今日は不定期の模擬戦を行っている。…と言っても今日が初めてだが。

と心の中で思いながら睦月破凪は立ち上がった。以下は彼のナレーションで進む。

今日は4/28、天職が授与されてから20日ばかり。同時に俺らがスクールに入ってからの期間でもある。

「サボりのてめぇには負けないぜ」

とか吠えている雑魚が目の前に一匹。髪は金髪で目は緑っぽい。…あと、たらこ唇だ。少し引き締まった体をしているが…それだけだ。名前はたしかカスザワだったか?まぁ、いい。どうせ一撃だ。

対する俺は睦月 破凪(はなぎ)。髪は茶色で目は母親譲りのうすい青。知り合いの馬鹿の言うことにはルックスは上の中あたりらしい。

話が逸れたか。試合にはルールがある。…実戦ではおよそ役に立たないルールがある。

魔法の使用禁止…相手がはぐれだったらどうするんだか。

試合用木剣もしくは木刀を使用すること…相手は刃物を持ってる場合が多いだろうが。

最後に命を狙わないこと…流石にこれは当たり前だな。ただ、相手がゴブリンのような相手なら躊躇してる間に殺されるだろうが。

そして勝敗条件、木剣を使用している以上骨折は免れないため相手が骨折した場合もしくは参ったと言わせた時に勝ち。そんな単純なものだ。

ちなみに、俺がサボり呼ばわりされているのは、俺が過去の事件を解決したという実績で体育は必要ないと判断されたから免除されたのだ。魔法学は必要なのでここに通っているわけだが。

さて、だがまあ仮にここで負けてしまえばその特権は消えるに違いない。それはそれで面倒なことだ。負ける気は元々無いが。

木剣を構える相手に対し、俺は木刀を選んだ。個人的にはこちらが使いやすい。

「開始!」

「うぉぉぉぉぉぉ!!」

思い切り力を込めて走ってくる。ふむ、名前通りだなバカ沢。猪突猛進と言う言葉が似合いそうだが、こちらとしては素直に受けてやる義理もない。

大声を出して迫る相手を前に、睦月はだらんと木刀を垂らし一見隙だらけの姿をさらした。

それに対戦相手の、カスザワやバカ沢ではなく金沢が勝機を見出しさらに勢いづく。

「所詮、サボりは戦い方をしらねぇんだよ!」

そして、思い切り木剣を打ち込んだつもりだった…が、気づいた時には彼は仰向けに倒れていた。そして、腹に痛みがあった。手には木剣がなかった。彼の意識が闇に落ちる前に、彼が知覚できたのはただそれだけだった。

「勝者は睦月 破凪」

冷静な教官の声が結果を知らせたが、それでも金沢は何が起こったか分からなかった。

だが、外野も殆どが何があったのか分からなかった。状況から判断した生徒は十人ほど、はっきりと見えたものは教官と二三人の生徒だけだった。

何があったのかというと、まず睦月は上から叩きつけて来た金沢の木剣に、垂らしている木刀を手を軸に一回転させて横から打ち込んで弾き飛ばし、そのまま回転させた木刀を持ち替え腹に横薙ぎの一撃を食らわせた。

それは、まさに彼が何かの剣術を修めているか、修羅場を潜ってきたかの証明にもなった。

コホンと教官が咳払いをし言った。

「今起こったことが目に見えたものは、素晴らしい動体視力だ。あとは剣の腕を磨くことにより睦月と並ぶこともできるだろう。次に、状況から何が起こったかを把握したもの。お前たちは恐らく剣より魔法向きだろう。だが、動体視力や、剣の腕があることは損にはならん。だから訓練しろ。最後に全く分からなかったもの、励め。私からはそうとしか言えん」

続けて男子が何人か試合をしたあと女子の試合に変わっていった。

「次だ!水無月と浅川!」

そう呼ばれ二人の少女が前に出る。

片一方は青い髪を肩で切って揃えていて、目は緑。

もう一人は髪は少し薄い赤…というよりはピンクで目は藍色だった。

ちなみに、どうでもいいが青髪の方が俺の知り合いである水無月 葵、んでもう一人が同期の浅川なんとかだ。

二人は木剣を構え、向かい合う。

「開始!」

木と木をぶつける音が周りに響いた。互いに互いの木剣を叩きつけて鍔迫り合いになっている。さて、ここからどう転がるか俺はじっと見た。

とここで、葵が木剣を押した。相手も対抗しようと力を込め始めた。が、そこで葵は急に力を抜いた。そこで力を出し過ぎ前のめりになった相手の胴元に入り込み、相手の体を自分の体で押し再度バランスを崩させる。そして、思わず尻餅ついた相手の首に木剣をあてた。

「…降参」

「勝者は水無月 葵」

順調に勝ったようだ。そして何故かこっちに歩いてくる。

「はーくん、勝ったよ〜」

うざったい声で俺を呼びながら。それに俺はうんざりした顔をして

「あぁ、そうか。良かったな」

と言って会話を終わらせようとした。が、終わらなかった。

「おいコラ、てめぇ、何水無月様を軽く扱ってんだよ」

正確には新しい会話が始まった。まったくもって嬉しくともなんとも無いが。そちらを向くと…

「おや、俺に瞬殺された……誰だっけ?」

「金沢くんだよー」

後ろから葵による援護が出た。

おお、そうかそうか。

「カス沢君か」

「てめぇ、ぶっ殺すぞ」

そう、後ろに立っていたのは俺に瞬殺されたカス沢君だった。

いつの間復活したとか何故か睨んでるかは知らんが彼は見ている。その睨みは…あまり怖くない。

「それで、用はなんだ?ないならどっか行ってくれ邪魔だ」

まぁ、相手が誰でも面倒くさいのには変わりないのでそう言い放った。

「用ならあるわ、ボケ」

「ほう…?」

無論俺のような友達の少ない奴に用があるわけなどないと思っていたが故にその答えは些か予想外だった。

「水無月様を無視してるんじゃねえよ、タコ!」

いきなりそう言い放った奴の顔を、恐らく俺は怪訝な顔をしながら、見てこう言った。

「水無月様…?もしかして、こいつのことを言ってるのか?」

そして、葵を指差す。その瞬間奴はまた怒鳴り出した。

「こいつ呼ばわりをするなっ!」

…いやはや、意味が分からない。

ちらっと、葵の方を見るがこいつはこいつで、そーだそーだ、こいつ呼ばわりをするなー!とか同調していた。やはり馬鹿か。

「…いや、何故お前からそんなことを言われる必要があるんだ?」

そう問い返すと奴はすごく誇らしげな顔をして言った。何が誇らしいんだ、一体。

「俺は、水無月様護衛隊一番隊隊長にして護衛隊員No.1、金沢だ!」

…だから、何だよ。俺は思い切りため息をついた。

「葵、お前護衛隊とかいたのかよ」

そう問うと葵は

「んーんー、違うよ。勝手にできたの」

と言った。

「そう、我々は影ながら彼女を見守る護衛隊なのだ!健やかな時も休める時も、雨がこようが嵐がこようが。槍がふれば我々が盾になり、彼女に危害が及べば、我々がその元を断ちましょう!私たちはいつも、どこからでも貴方を見守っております、主神よ…」

なんか、勝手に言い出して、頭を垂れてまるで葵を崇めてるかのようだった。なんだ、馬鹿か。

「つーか、どこからでもとか完全にストーカーじゃねえか」

そう俺が思わず呟くと奴は顔を真っ赤にして怒り出した。

「なんだと、てめえ!つーか、さっきから水無月様を下の名前で呼び捨てにしてるんじゃねええええ!!!」

とか怒鳴り出したが、俺は無視し葵に耳打ちをした。

「…おい、本家は何も言い出さねえのか?」

「…ここは、飽くまで勇者のスクールですからそのような心配はないと考えてるみたいなの。まぁ、いざという時は必ず殺らせるからって言ってた」

水無月家は貴族の家だ。俺もまあそうなのだが、彼女の家は些か娘を過保護に育てている気があり、本物の護衛がついてたりする。あと、ほんとどうでもいいが「やる」の発音が違った気がした。

「て、てめえ!水無月様に耳打ちまで!?な、なんて無礼な」

そして、心なしかカス沢君はヒートアップしていた。非常にどうでも良いが。

「つーか、てめえは水無月様とどういう関係なんだよ!?」

そして、本当にどうでもいいことを宣い出した。それが本当にどうでもよく、そして言ったら間違いなく面倒くさくなると思ったので立ち去ろうとしたら、いきなり葵が腕を絡ませてきた。そして、こう言いやがった。

「私たちは幼馴染です!」

その瞬間、奴はその言葉かそれとも葵の行動かはたまたどちらともにショックを受けたのか泡を吹いて倒れた。…本当に面倒くさいことになりやがった。

俺はそれを救護室に連れて行き、あとはそこの先生に任せた。

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