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<ガイア>列伝  作者: 樹実源峰
はじまりの物語
21/69

ゴブリン侵入事件閉幕

4/15…如月海斗と姫川優香のパーティーがギ・ガーを倒した次の日のことである。

場所は東西南北に広がる大陸の中央あたりに位置する世界平和維持機構、通称WPK又の名を『教会』とよぶその本部である。


「それで、詳細は分かったのか?」

円卓に座る面々の内白髪白髭の一番年を取っている老人が問うた。

「はい、4/12、午後8時頃、アルタの街でゴブリンの群れに遭遇、二人で交戦し後に現れた巨大ゴブリン、自称オーガなるもの以外をすべて殲滅。巨大ゴブリンは4/14の朝の10時を指定し、来ない場合は街の人々を殺すと脅して逃走。

その際の運動能力はかなりのもので街でそのまま戦闘を開始すれば街に影響が出ていたものとのことです。

姫川の報告によると、ゴブリンの討伐数は姫川が5体ほど、その他のゴブリンはほぼ全てもう一人の新人勇者、如月によって殲滅されたとのことです」

ここで、人々がざわめいた。新聞に載っていたように本当に新人勇者が殲滅したのかという疑惑が主だったが、それは次の年長者の言葉によって消された。

「静かにせんか。今やるべきことは報告を聞くことだ。議論はあとで良い。それで、その後はどうした」

それに対し先ほどと同じく若い男(といってもこの円卓に座る人々の中でも若い方という意味であり40代くらいである)が答えた。

「はい、明後日指定した時間にそこに行った如月はそこで巨大ゴブリンと『破れぬ誓い』を行い、互いに相手に真実を語ることを誓い、穴倉山に共に赴き最深部の洞窟にて交戦。その結果相手から相手側の情報を得ることに成功。そして勝利しました」

「ふむ、その間の姫川はどうした?」

「はい、彼女は不意打ちにより囚われていたそうです。その数時間後如月によって救出された模様です」

会場には疑問を浮かんだものもいたようだ。新人が活躍してる傍、精鋭とも言える彼女が何もしなかったのは何故かと。それも無唱魔法で不意もつける彼女が、と。

それらの疑問を組んだかのように年長者の彼は尋ねた。

「囚われていた…の部分はまぁ、よい。誰にでも失敗はあろう。しかし、彼女は数時間の間気を失っていたのか?」

誰にでも失敗はある。特にそれが去年任命されたばかりの彼女なら尚更だろう。しかし、もし気絶していなければ、彼女の得意な無唱魔法を使い脱出しているだろうという意図の含んだ疑問である。大切だからもう一度言ったが。

しかし、その疑問を知ってか知らずか若い男は否定を示した。

「いえ、彼女はすぐに意識を取り戻しました」

先ほどとは違い静寂が部屋を支配したが、年長者の男だけは冷静に質問をした。

「ならば、何故に彼女は無唱魔法による脱出をしていない」

その質問に若い男は少し不安な顔をして返した。

「どうやら、一時的に魔法が使えなくなる薬を使われたようです」

部屋は無秩序にざわめくこともなく年長者の言葉を待った。

「本人の推測かね?」

「いえ、捕まって目が覚めた時にゴブリンが言ったそうです。『魔法を使えなくする薬を飲ませて正解だったな』と」

「ふむ、そうか…」

年長者は目を閉じ思想に耽りそうになったが、まだ話は終わってないと、思想に行きかけた頭を元に戻した。

「では、次だ。如月の得た情報についてだ。そちらはどうなっておる?」

「はい、全部聞き取り済みです」

「ならば話してくれ」

「はい、巨大ゴブリン、えーとオーガの個人名ギ・ガーは百戦錬磨の猛者で相当な苦戦をしいられたそうですね。実際に彼はあばらなどをかなり折られていて実際生きてることすら奇跡的です。それで、『闇の領域』は単純な実力社会で、ギ・ガーはかなりの地位にあったようです。更に、『闇の領域』には魔法を扱える者も存在するようです。如月によると、この巨大ゴブリンも使用していたと。そして、魔法をあちらでは妖術と呼び、魔法を使えるものはマギとし、それらの特性を活かし軍隊を形成しているようです」

「軍隊を形成している…か。ふむ、こちらに攻め込む気でもあるのか…?」

年長者の独り言を自分への質問と受け取ったのか若い男は答えを返した。

「はい、どうやら早くて三ヶ月後にはこちらに攻め込むそうです」

流石に我慢していた面々もこれには驚き、部屋はざわめきにより満たされた。だが、やはりというべきか年長者は落ち着き、皆を制した。

「…さて、今回の議題は決まったな。三ヶ月後には奴らを撃退できるようこちらも戦力を集めねばなるまい。勇者や騎士にも出払ってもらう。場合によっては義勇兵も募る。何としても、人間の世界の平和は守るのだ。各自、休憩を取り、一時間後に会議を始める」

そうして、彼らは初めての魔物の侵攻に対する計画を立て始めた。


「では、十分な結果出たので、如月家の貴族特権を返還しましょう。流石にこれだけの成果が出ればあなた方も文句は言えませんでしょう」

そう言って、赤髪の少年はずらりと周りに居並ぶ高官達を見渡した。誰も何も言わなかった。

「では、王様お願いします」

そう言って赤髪の少年は王冠を被っている王様に顔を向けた。

「うむ、如月家の復権を認めよう」

王様は鷹揚にうなづき、承認した。

「ところで、父上」

赤髪の少年はそう口にして再び王様を見た。そして尋ねた。

「久々にカイトにあってきてもいいですか?」


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