人質救出戦
今回も忘れていました(汗)
ギリギリまで原稿を見直す癖が祟ってしまいまして。
むむむ、次回からはやらないようにしたいです。
「このあたりだな」
俺とリュウは先ほど銃声が聞こえたところの近くまで来ていた。
「カイト、作戦を覚えているな。速攻で四人を制圧しないと多分あとが面倒だぞ」
「分かってる分かってる。じゃ、行くか」
と、話し合っていると
「あぁん?テメェラ何やってんだ?」
長い髭を生やした男が見張りでもしに来たのか奥からやって来た。髭の男は俺らの腰の木刀を見て俺達が何をしに来たのか察しがついたのか、仲間を呼ぶつもりなのか口を開けた。
その時点で俺は髭の男の背中のやや上部、肺の辺りを強打した。
「ぅぐっ…!」
結果、髭の男の口から漏れたのは、呻き声だった。
しかし、そのまま放置すれば仲間を呼ばれるのは分かっていた。だが俺は木刀を強打したせいで死に体となっている。その俺の隣をリュウが走り抜け髭の男の首を強打。崩れ落ちる髭の男はもはや呻き声すらあげなかった。
「一応、さるぐつわ噛ますか」
「念には念をいれておきたいからね」
俺達は先ほどのガリガリの男にしたのと同じことをして、先に進むと…
「遅え、何やってんだあいつら!」
「見張りがいないからって心配し過ぎだ、お前は」
「そうだそうだ。案外奥まで見送ってるかもしれないぜ?」
と言った声が聞こえる穴の前まで来た。穴と言ってもやはり大人が何人かが隠れる場所なので大きさは十分だった。
さて、先ほどの髭の男は倒したから残り三人、しくじることなく倒さなければ自分の相棒に迷惑をかける。しかし、俺達は臆することなく互いに準備完了のサインを送り、突入した。
「!?な、なんだテメェら何する気…うぐぉっ!?」
最初に目に入った特徴のない普通男が銃を持っていたので銃を持つ手の甲を木刀で強打、痛みに耐えかね手を離した普通男が落とした銃を足で踏み割り、それを踏み込みとして男の腹を左の拳で殴る。それに体をくの字に曲げる普通男の膝頭に木刀を叩きつける。かなり嫌な音がしたが気にせず、周りに目を向けると、同時にリュウが禿げた男の膝を砕いたのが見えた。お互い、容赦がないと足下で痛みにのたうつ普通男を見ながら苦笑したくなる気分だったが、それを飲み込み洞窟の奥を見ると…
「なっ…!?虎!?」
そう、虎がいた。
「…お前ら、そいつらを一瞬で倒したか。まぁ、もともと雑魚だから仕方ないが子供が大人を瞬殺とはな。しかし、虎には勝てんだろうペトラ、行け」
ぐるるる、と威嚇しながら虎 、ペトラって名前なのか、が立ち上がり後脚に力を溜め始めた。
「おい、カイト!虎なんかにビビるな!僕達は龍だって落とせる!」
そう言ってリュウは剣を構えた。剣を左下に向けて構えた。…なるほど、その型があったか。
「薔薇の剣、第二の型…」
ぐぉぉぉぉぉ、と虎が吠えながら飛びかかる!絶体絶命と思える状況で俺達は声を揃え動きを揃えた。
「虎狩り!!」
虎狩り、その名の通り虎を狩る剣技。左下からまたは右上からそれぞれ右上左下に斬りつけるものである。二人でやる時は二人の役割を分けておくと相手を二方向から切りつけることができる。
バキボキッと骨が折れる音が聞こえ、さらに地面に倒れ伏す音が一つ聞こえた。
はたして、倒れ伏したのは虎の方であった。
「なっ、お前らペトラを…!!」
と言ってボスっぽい男が椅子から立ち上がり腰から2丁拳銃を取り出した。
「殺…ッ!」
ボスっぽい男が銃を取り出すのを見た俺とリュウは、即座に男のところへ走りそれぞれ右と左の拳銃を持っている手を狙って突きを放った。
「ぐうぉっ…!!ま、まだだ!!」
骨を砕く音が聞こえたが、男は手を離さなかった。…流石は、ボスっぽい顔をしているだけはあるぜ!
だが、男は運が悪かった。今の体勢的に俺は男の正面に立ち右手を思いっ切り前に出し、さらに両脚とも宙に浮いていた。そんな俺を止めるものなどなく、そのまま右手を前に出す代わりに上がっている左足の膝が…男の股間へとジャストヒット。
「ほぐをぉあああああ!!!」
銃をその場に取り落とし両の手で自身の股間を抑えのたうちまわる男にリュウは首元への手刀を放ち静かにさせた。
「おい、何やってんだ?」
「いや、制圧しただけだろそんな怖い顔するなよ、リュウ」
「まぁいい、子供達を外に…」
やっと、人攫いのグループを片付け、馬鹿話を始めようと思った俺の耳に、銃声が届いた。
「ぐぅっ!」
ドサッと膝をついたのはリュウだった。見ればふくらはぎから血が出ていた。
そこまで見て、俺はすぐに銃声がした方向へ向くとそこには俺やリュウと同い年くらいの少年がこちらに銃を向けて立っていた。
「死ねよ」
その少年は一切の躊躇を見せず引き金を引いた。
それを、咄嗟の反応だが、持っていた木刀で弾いた。
「へー、なかなかの運動神経っすね。やっぱ、大人を倒したり虎を倒したりするだけはあるっす」
「な、なんでこんなことをするんだ!?俺達はお前達を助けに来たんだぞ!」
そう俺が叫ぶと、少年は
「いやいや、それは決まってるっすよ。俺も人攫いの一員っすからね。こいつらが捕まってもらっちゃあ困るんすよ」
と返して来た。
「チッ、仕方ねえ。薔薇の剣…」
「おおっと、ちょっと待てっす」
俺が構えたのを見てあいつは少し声を上げた。遠距離なら銃より剣が勝るから動揺したんだろうと思ったら
「きゃあっ!」
「下手に動くとこの子の命はないっすよ?」
近くにいた黒髪の少女に銃を向けこちらを脅して来た。
「…青崎!!…その子に手を出したら許さないぞ、お前!!」
「ん?この子知り合いっすか?ならちょうどいいっす。そうっすねー、その木刀邪魔なんで、足下においてもらえるっすか?もちろん、従わなきゃこの子が、バァン、デスケド」
俺は木刀を大人しくしたへ置いた。奴を睨み付けながら。
「そうそう、できるじゃないっすか。次はそれをこっちへ蹴ってくださいっす」
言われた通りに木刀をあっちへ蹴る俺。しかし、木刀はあいつのところまでいかず、俺から少し離れたリュウの近くで転がった。
「もー、ノーコンっすね。仕方ないっす」
と言って奴は青崎さんの髪を掴み引っ張って木刀の近くに行った。恐らく俺が動いても取れない場所に蹴るつもりなのだろう。
しかし、俺は間違えてリュウのところへ蹴ったのではない。敢えてそっちへ転がるように蹴ったのだ。
「全く、ノーコンな奴は困るっす」
「そうか、僕は相当コントロール良かったと思うけどね」
と言って、足を撃たれ地面に倒れていたリュウが手に持っていた木刀を奴の胸あたりに投げつける。
それを奴は難なく銃ではじき
「分かってないっすね、こっちにはこの子が…!」
と言って青崎さんに銃を向けようとした奴をリュウは撃たれた右脚で引っ掛けた。上半身に注意を払わせて下半身の注意を散漫させる二段構えの攻撃だ。
引っかかったので地面に体をぶつけないよう反射的に青崎さんへの手を離し地面に手をつく。
「決めろよ、カイト!」
引っ掛けた瞬間にリュウは足下にあった俺の木刀を撃たれていない左足でこちらに向かって蹴り上げた。
木刀を受け取った俺は、木刀を上段に構える。
「ま、待つっす!この子が…!」
と言って再び銃を青崎さんへ向け直そうとする奴の腕に向かって思いっ切り振り下ろした。
バキンッと、骨が折れる音と共に奴の腕がV字に曲がる様子を俺は見ていた。
「ぎ…ぃぃぃぃぃぃ!!!!」
奴は声にもならないような悲鳴を上げて、泡を吹いて倒れた。
「その足に木刀を突き立てて捻じったり色々やりたいところだけどな、気絶したからやめてやるよ…このクソ野郎が!」
思いっきり奴の足元へ木刀を突き立てると奴は今度こそ泡を吹いて気絶した。