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<ガイア>列伝  作者: 樹実源峰
はじまりの物語
14/69

現在と過去

すみません、投稿遅れました!

「んぐ…」

姫川は、暗いところで目を覚ました。なぜこうなったのかと記憶を探ってみるがいまいち覚えていなかった。しかたなく次に今の状況を把握しようと身じろぎをすると手と足が縄のようなもので縛られているのがわかった。口にはさるぐつわも噛まされていた。

「キキキ、目が覚めたぞ」

「シシシ、そうかそうか。じゃあさるぐつわ外そうか」

「チチチ、いい声で鳴いてくれよな…」

声の方向を見ると、三体のゴブリンがこちらを見ていた。そして、三体ともナイフを手に持っていた。三人の会話からそれを使って、私で遊ぶのだろうと考えに至った。

ここまで考えて姫川はゾッとした。だが、当のゴブリンたちは

「キキ、おい、なんだお前らそのナイフは?」

「チチ、そりゃあ切り刻むために決まってる」

「シシ、ふざけるなよ、あれを気絶させたのは俺だぞ」

「チチ、それを言えばこの班のリーダーは俺だ」

「キキ、俺は作戦の立案だが?」

そこで三体はいがみ合いを始めた。

「チチ、仕方ない」

「キキ、それなら」

「シシ、力でもぎ取るか、いつも通りに」

そして腰の剣を抜き、互いに剣を構えて対峙した。

…なんとか時間は稼げそうですが、私は助かるのでしょうか?…そうだ、無唱魔法を……うっ。

無唱魔法のイメージを組み立てようとした時に頭に痛みが走ってイメージが崩れた。その時にまだ雷魔法の初期段階のイメージである静電気がバチチッと音を立てた。

その音に三体は振り向いた。

「チチ、魔法を使おうとしたな」

「シシ、さるぐつわを噛ませてあるのになぜだ?」

「キキ、でも失敗したな。ボスがメイジにもらった薬を飲ませたおかけだな」

「シシ、魔法が使えない人間は恐るるに足らんな」

「チチ、それに一日使えなくなるからそれが終わる頃には…」

作戦立案者と実行犯がこっちを見てる隙にリーダーは構えていた。そして…実行犯の首を切った。そしてその首はゴロゴロと転がり、実行犯はその虚ろな目を空へ向けた。

「キキ…キ、不意打ちかよ」

「チチ、油断する馬鹿が悪い」

そう言って今度は二人で対峙した。

もしかしたら、時間はあまり稼げないのかもしれない…と姫川は思った。


「ここか、奴らの場所は!早速行く…ぐぇっ!」

そう、俺がいきり立って走り出そうとすると後ろ襟をリュウが掴んだ。

「落ち着け、馬鹿。奴らの人数が分からない以上、僕たちは下手に動かない方が彼女のためだ」

「でも、一時を争う…」

「一時を争うからこそだ。ここで急いでも僕たちが捕まっちゃあ意味がない。でも、まさかここに逃げ込むとは…」

と言ってリュウは目の前の洞窟を見上げる。

ここは、『穴倉山』の一番広い洞窟の前。やたらと広く途中に三つの道があるが、間違えると穴から何処かへ真っ逆さまらしい。

「僕の偵察魔法を使うから待て……よし、きた。右の穴か。行くぞ、カイト。静かにしとけよ」

「分かったよ…ったく」

そして、洞窟へ一歩踏み出すとすぐに奥から足音が、一人分聞こえた。

「ちっ、見張りか」

「カイト、音はあまり立てるなよ」

「了解」

そして、そこで二人は待ち伏せるとそこに来たのは痩せている男だった。眼窩は落ちくぼみ、肌はこけて、腕や足を見ても痩せすぎなくらいだった。だが、その目はまるで肉食獣のようにギラギラとしていた。

そこへ、俺は音もなく近寄る。そして、首へ一撃を叩き込んで、それを前にいたリュウが地面にドサリと倒れ込まないよう受け止めて、地面に下ろす。

「ちょろいな」

「奇襲だからだ。だけど、見張りは弱くて当然だけど奥にいるのまで弱いとは限らないぞ」

「分かってる、分かってる」

そして、痩せ男の腰のナイフを使い、男の服を破き、それで口を塞ぎ、さらに両腕を縛る。ズボンを使って脚も縛った。あとは戻ってきてやることだ。

「行くか」

「見張り立てているってことはまだ人質はいるんだろう」

俺たちは先を音を立てずに急いだ。

「忘れるなよ、カイト。右の穴だぞ」

リュウが先に走る俺に向かって行った。もうすぐ着く三つの分かれ道のことだろう。

「因みに、偵察魔法に出た生命反応は十個。大きいのが四つ、小さいのが五つだ。あと一個は人間じゃなくて動物のだな。詳しいことは分からないけどな」

「つまり、目標は四人か。…でも子供が五人もいるってことは…」

俺の言葉をついでリュウが言った。

「身代金目的じゃなく、人身販売の方だろうね。ということは四人のうち何人かはバイヤーかもしれない」

と、結論にたどり着いた時に耳元にパァン、という銃声が響いた。

「銃声…!?おい、リュウ!」

「今から調べる。……嘘だろ」

先ほどの偵察魔法をもう一度起動してみると、すぐに最悪な結果でも出たのか顔を真っ青にした。

「おい、どうした!?」

「子供が一人撃たれた…しかも重傷…」

「なっ…!?」

俺の頭は真っ白になった。


「ひぅっ!?」

パァンという銃声が真近でなり青崎優香は驚きと恐怖に身を縮こませた。

「うるせぇんだよ、クソガキ!黙っとけ!」

彼女達を攫った人攫いの一人の男は足下の少年にそう吐き捨てた。

先ほどまで、その少年は家に返してくれ、狭いところは嫌いだといったことを繰り返していて、それがあまりにうるさかったからなのか男に撃たれたのだ。

銃は、500年以上前に人類が持ってきたもので数少ない壊れなかったもので、その技術は今も受け継がれていて、対獣や対ゴブリンだけでなく、法律では許されてないが、対人としても偉大な効果を発揮している。

ちなみに、人類が持ってきて壊れなかったものは、銃やナイフといった集積回路なるものを使わなかったものらしい。らしいというのは、やはりその集積回路なるものの仕組みがイマイチ今の人類には理解できないものだから、仕組みを理解できておらず単純にエネルギー切れだとか、壊れたのだとかそういった意見もある。

さて、そんな銃は子供すら知っている凶器であり、それが働く瞬間を見てしまった子供達は恐怖に支配されてしまった。

「ハン、ガキどもめ、やっと静かになりやがったな」

先ほど少年を撃った男がそういうと

「そうっすね、本当にうるさかったっすよ」

その男の後ろにいた少年が応じた。彼は、私達より二つが三つくらい上なのに、私達を攫った男達の仲間のようだった。

「しかし、こいつはもう使いもんにならないんじゃねえか?」

男の足下の少年に目をやり、撃った男にそう言う長い髭を生やした男も人攫いの一員だ。

「まあでも一人くらいぶっ殺しておかねーとスカッとしないよなぁ」

今度は頭が禿げ上がった男が少年を撃った男にそう言って男の肩を叩いた。

「その辺にしとけ、お前ら。これ以上殺ったら、お前らを殺すぞ」

最後に、奥の椅子に座っているサングラスをつけた厳つい男がそういった。その隣には虎がいて

「ペトラもそろそろ飯の時間だからな」

と、念を押した。

かくして、人攫いのメンバーはこの五人と先ほど見張りに出た痩せこけた男一人。少年一人に特に特徴のない男が一人。髭を生やした男に禿げた男。サングラスをつけたボスっぽい男。そして最後にその男の隣に寝転んでいる虎である。

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