第7話~Apple and New world~
安里と合流した後、私達はまた手掛かりを見つけるために廊下を歩き探っていた。
「兄ちゃーん、何かあったー?」
「こっちはまだだー」
「安里はー?」
「な~~~い。」
やはりまだ何の手掛かりも掴めない。私は目の前の木のオブジェの周りを探していた。
「(ここも何も無いかー・・・)・・・いって。」
木の上から何かが降ってきて、私の頭に落ちた。そのままコロリと床に落ちた。
「・・・林檎?」
木のオブジェから落ちてきたのは、まるで本物の様に彫られた小振りの林檎だった。
「あの闇の世界といい、此処といい・・・僕どんだけ頭狙われてるのさ・・・。」
私は少し文句を吐きつつ、その林檎を拾った。とても彫って作ったとは思えない艶のあるそれを、手の中で少し転がしてみた。
「ただ落ちてきただけで、手掛かりでは無さそうだな・・・あれ?」
林檎の茎に何かが書いてあった。私は目が少しだけ悪いので、その茎をまじまじと見てみた。そこには、
『割って ごらん ?』
「これ割れと・・・」
無理に叩き割れそうにはない。私はもう一度、それを手の中で転がした。すると、よく見るとうっすらと線が入っているのが見えた。その線を境に、回して開けてみよう思ったが、やっぱり固く、開くことは無かった。
「無理じゃん・・・って、あれ、茎の文字・・・」
『はっぱ 使って ごらん ?』
先程の文字は消え、新たな文字が浮かんでいた。
「葉っぱって、オブジェのか?この隙間に入れて開けるんだろうけど、葉っぱなんかで大丈夫か・・・?」
「なに独り言呟いてんのさ~?」
「あ、安里。いや、そっちは何か見つかった?」
「うん、鍵の下っぽいところ見つけた。」
「マジかよ、兄ちゃんは?」
「ボスはそこで絵の裏見てるよ。」
「了解、ありがとう。」
私は返事を返して、オブジェの葉を取った。プチリ、と音を立てて取れた葉を、林檎の隙間に挿した。
『動かして ごらん ?』
茎の文字がまた変わった。書かれていた通り、私は葉をそのまま横にスライドさせた。すると、葉はカッターの様に林檎を半分に割った。中からは、鍵の上部分の様なものが一つ入っていた。
「これ、安里のとくっつくかな?」
「多分いけるんじゃねーの?」
鍵はぴったり当てはまった。小さな赤い鍵だった。
「これであそこのドア、開けられるかも・・・」
「何処の?」
「あ、安里は分からないんだっけか。」
「おい、鍵見つかったぞ!」
「「え!?」」
兄ちゃんの手の中には私達が見つけた赤い鍵と同じ位の大きさの青い鍵が握られていた。
「どっちかが、あそこのドアの鍵って事だよね?」
「そうだろうな。真雪達が見つけた鍵、もしあそこで使わなかったらポケットかどこかに入れとけよ?俺が見つけた鍵を使わなかったら、俺が保管はするから」
「うっす了解。」
「真雪ー!ボスー!彫刻刀見つけたから、持ってってもいいーーー!?」
「彫刻刀も見つけたのか。」
兄ちゃんは安里の方に向かって先に進んでいった。私は手に持っていたままだった林檎を見た。
『頑張ってね 応援してるよ 僕はここに置いてってね』
今度は、茎ではなく外側に彫り入れられていた。
「・・・ありがとうね。」
私は半分に割れた林檎を木のオブジェの根元に置き、二人の後を追った。
カチリ
「あ、開いた。」
「おーボス当たりー」
「僕らのは違うところの鍵なんだね。」
最初のドアまで戻ってきた私達は、ドアの鍵を開けることが出来た。ドアを開けたその先にあったのは、立体作品が多く並ぶ部屋だった。
「わー真雪見て見てマネキンの顔が並んでるキモ~いww」
「これも作品らしいよ。」
「とりあえず、また手掛かり探しだな、入るぞ。」
「分かってる!」
「イエスボス!!」
兄ちゃんの掛け声と共に、私達は新たな部屋へと足を踏み入れた。
To be continue...
新たな道が開けました。
次回、全員揃うのでしょうか?