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キョーハク少女  作者: ヒロセ
第四章 僕らにとってのハッピーエンド
156/163

妄想大好き佐藤君

 テスト前日の動画研究会部室。

 そこは僕の呼んだ部員達であふれかえっていた。

 そんな中、一番不機嫌そうにしている楠さんが僕に言った。


「それで、私達は佐藤君の何に付き合わなければならないの? どんな大層で下らないある意味面白い話を聞かせてくれるのかな?」


 楠さんの不機嫌は伝播する。不機嫌ではないけれど不自然な空気が部室を飲み込む。


「くだらないかもしれない。でも、僕にとってはとても大切な事なんだ」


「へぇ。児戯のような自慰なわけだね」


「じっ……。……そうかもしれない。これはただ単に僕が満足する為だけのことだし、子供みたいな逃げでしかないし」


 僕だけにしか視線をやらなかった楠さんが、初めて辺りを見渡し誰がこの場にいるのかを確認していた。


「ふーん。で、それで? 何? 用事があるのならさっさと言ってくれない? 私市丸百合と一緒の部屋にいたくないんだけど」


「えー。そんなこと言ってもぅ。本当は私と一緒にいたいんでしょ? 私が余計なことしないか見張っておきたいんでしょ?」


「……」


 顔をゆがめたけれど、何も言わない。


「あちゃー。若菜ちゃん怒ってるね。謝ろうか? でも嫌ー」


「……ホント、鬱陶しい……」


 楠さんが悲しげにつぶやいた。

 怒っているようで、とても悲しげに。

 僕はそれを見て、それを待っていたわけではないけれどそれを合図にして、話しを始める。


「実は、今日僕がみんなを呼んだのには、訳があるんだ」


「いや当たり前でしょ。訳も無く私を呼んだって言ったらブッ飛ばすよ普通に」


 楠さんにブッ飛ばすって言われた……。普通にブッ飛ばすって言われた……。


「え、えっと、とりあえず、みんなを呼んだ訳を説明しようと思います」


「さっさと言ってよ。テスト前の大切な時間を割いているんだから。話を聞き終えた後無駄な時間だったと少しでも感じたら叩きつけるから」


 何をだろうか。一体何を叩きつけられるのだろうか。まさか僕自身ではないよね。僕の体は軽いかもしれないけれど楠さんが持ち上げて地面に叩きつけるほど軽くはないだろう。いや、ともかく、僕は話を始めた。


「僕は、みんなのことが一つも理解できなかった」


 気のせいかみんなの息遣いが小さくなったように感じた。多分気のせいだろうけれど。


「市丸さんがしていることも、沼田君がしていることも、それと、楠さんのことも。市丸さんが長町さんの為にしていることは分かるけど、本当にそこまでする必要があったのかどうかが分からない。沼田君はどうして楠さんの噂を積極的に広めていたのか、本当の所僕にはわからない。楠さんが長町さんに対して負い目を感じていないのに、なんで何の抵抗も見せないのか、分からない。この一件のこと、僕は何もわからない。ただの一欠けらだって理解できないよ。一欠けらとは言わないで、一粒だって理解できないよ。それくらい、僕は何もわかっていない」


 雛ちゃんが僕の言葉を拾い上げる。


「そうだろうな。私だって分かんねえよ。ちゃんと全部説明しろって、私も思うよ。全員身勝手だ。百合も沼田も若菜も全員。みんな、ふざけてやがる」


 僕に同意し雛ちゃんが名前を挙げた三人を睨む。特に市丸さんをよく睨む。

 けれど僕の言いたいことはそれとは別だ。


「ううん。僕は、誰の説明もいらないよ。誰の話も聞かなくていい」


「え?」


「僕は、一粒も理解できないけど、多分一生理解できないけど、納得はしようと思ったんだ」


「だからその為には、心の底から納得するためには、きちんとした説明が必要だろ」


「僕には必要ないよ」


「なんでだよ」


「多分、みんな教えてくれないし、教えてくれたところでそれもまた僕の頭で理解のできる事ではないかもしれないし」


 雛ちゃんが眉をひそめる。


「だったら、どうすんだ」


「うん。僕は僕なりに考えることにしたんだ。僕なりに納得できるように、つじつまを合わせることにしたんだ」


「辻褄をあわせる?」


「妄想と言った方が良いかもしれない。作り話、都合の良い解釈。僕はそうやって無理やり納得をすることにしたんだ。ちゃんと起こりうる形で、出来る限りみんなが優しくあるように」


「……。それで裏でなんかこそこそ話聞いてたのか。何をしているのかと思った。取材かよ」


 雛ちゃんには僕が何かを企んでいるのだと思われていたらしい。


「少しでも事実に近づくように、それでいて誰も傷つかないような言い訳を考える為に、僕はみんなに話を聞いたんだ。別に何をしようとも思っていないし、今から何をするわけでもないよ」


 現状は変わらない。僕には変える気なんてない。


「……それで、一体どんな話を考えたんだ。どんな妄想にたどり着いたんだ?」


 黙っていた沼田君が僕に聞く。


「うん。とりあえず、初めに聞いてもらいたいんだけど、僕がたどり着いた大前提から聞いてもらいたいんだけど、僕が思うに、誰も悪くないと思うんだ。楠さんは一つも悪くないし、沼田君も市丸さんもきっと悪くない」


「はぁ? 何言ってんだお前。沼田も百合も悪党だろ。大悪党だろ。みんなどこかが悪くて、みんなどこか壊れてた。案外若菜が壊したっていう友達も最初から壊れてたんじゃねえか?」


「おやおや有野さん。みちかちゃんを侮辱することは許さないよ?」


「黙れ」


「なら有野さんも黙ってね」


「ホント、ムカつくぜ……!」


「落ちつこう、二人とも。まずは佐藤の話を聞いてみよう」


 しぶしぶ二人が僕を見る。


「誰も悪くない。そう考えなかったら、僕は絶対に納得なんてできないよ」


「でもそんな都合よく辻褄が合わせられるのか? それに、そもそも都合よくつじつまを合わせることが出来たとしてどうなるって言うんだよ」


「ものの考え方によっては、どうとでも解釈できるから、多少強引でもみんなが優しい理由を作ることが出来たよ。でも、今からする話はあくまでも僕の妄想なんだけど、それでも完全に作り話という訳ではなくて、ほんの少しだけしかありえない話かもしれないけどそれでもほんの少しは可能性がある話、だと思う。だから頭ごなしに否定しないで、聞いてほしいんだ。そういう可能性もあるんじゃないかなって、みんなに思って貰えれば、僕はそれだけでいいんだ。それが、僕がみんなを呼んだ理由」


 再び静かになった部室。

 誰も僕の話なんて聞きたくないのだろうか、と思ったけれど、楠さんが小さな声で言ってくれた。


「……言ってみて」


「ありがとう」


 そして僕は話し出す。

 妄想を口から垂れ流しはじめる。

 きっと、みんなだって全てを納得している訳ではないだろうから。

 それらの答えを、僕の中の答えを、みんなにさらけ出した。






 時を巻き戻し、先週の火曜日、今日から丁度一週間前。






「東先生」


 今しがた二時間目の授業を終えた東先生を廊下で引き止める。

 僕が何も知らない市丸さんをよく知っている東先生。


「どうしたの佐藤君? 分からないところでもあった?」


 分からないことだらけだ。だから聞かなければ。たくさん聞かなければ。


「……市丸さんのことで、聞きたいことがあるんですが……」


「え? どうしたの?」


 不思議そうにしている東先生に、僕は聞く。遠慮なんてしていられない。


「市丸さんって、どういう人ですか?」


「? とっても優しい子よ。どうしたの急に」


「あ、ちょっと気になっただけです。じゃあ、市丸さんの趣味とか分かりますか?」


「趣味、ねぇ……。これと言ってなかった気がするわ。そうね、敢えて言うならよくお買い物をしているみたいだけど、別に趣味という訳じゃあないわよね」


 わざとらしい煙幕を撒いてから、僕は本題に移る。


「えーっと、なら、パソコンとかって、趣味じゃないですか?」


「パソコン?」


「パソコンじゃなくても、インターネットが出来るような……」


「もちろん携帯なら持っているわよ」


「あ、そうですよね。よく携帯をいじっていたりしますか?」


「普通じゃないかしら? よく知らないわ」


「そうですか」


 これで判断するのはどうなのかと言われそうだけれども、本当に市丸さんは『百合』の意味を知らないみたいだ。

 ただ単にそれを確認したかっただけ。


「でも突然どうしたの? もしかして、百合ちゃんのことが気になるとか?」


 気にはなっているけれど東先生が言ったのはそういう意味ではなく一目ぼれ的な方面の意味だろう。


「あ、違います」


「普通にあっさり否定したわね。でも百合ちゃん可愛いでしょ?」


「その、そう思いますけど、違います」


 勘違いされて困ることも無いけれど誤解は解いておかなければ。


「あ、そっか。佐藤君は三田さんと付き合っているんだものね?」


「え、あ、それも、違っていて……」


「え……? あ、それは、ごめんなさいね……」


 何やら勘違いしているけれどもういいや。勘違いを勘違いしたところで勘違いは勘違いだ。勘違いが重なってよく分からなくなってきた。そう言った意味でももういいや。


「でも、だとしたらどうしてそんなことを聞くのかしら? 恋じゃなかったら、一体?」


「市丸さんは、優しいなぁって」


 そう思いたくて。


「?」


 東先生はよく分からない表情をしていたけれど、次の授業があるのか「じゃあ、また何か気になったら遠慮なく聞いてね」と僕に手を振り立ち去って行った。

 僕はすぐにノートを取り出し色々と書き込んだ。




 その日の放課後、ホームルームが終わりみんなが教室を出て行く中、僕は楠さんの元へ向かった。


「楠さん」


「なに」


 帰り支度をしていた楠さんが僕に目もくれずカバンの中に教科書をしまっていく。


「ちょっと、雑談をしてもいい?」


 急いでいるようにも見えるので、もしかしたら断られるかもしれないと思ったけれど、楠さんは教科書をしまい終えたカバンを机の上に置き僕を見てくれた。


「別にいいけど。でも私と話していると他の人から冷たい目で見られるよ」


 確かに、放課後だと言うのにまだ帰宅していない何人かが僕らの方をそういう目で見ている。


「そんなことはどうでもいいよ。そんなこと、本当にどうでもいい」


 話したい人と話して何が悪いのかと思う。他人にとやかく言われる筋合いはない。いや、他人にとやかく見られる筋合いはない。


「あっそ。なら勝手にすれば?」


「うん。ありがとう。それでね、実は前から気になっていることがあったんだけど――」


「はぁ? なんで君に私の体重を教えなくちゃいけないの」


「僕何も言ってないよ」


「なに冷静に否定してるの? その大人ぶった対応すごくムカつく。はぁ、仕方がない。そこまでされたら教えないわけにはいかないか」


「だから、僕は体重なんて聞いてないってば」


「そうだったっけ。あぁ、そうだったね。下着の値段の話だっけ」


「絶対にそんなこと聞いてないよ?!」


 もっと酷くなってるよ!


「上下セットで――」


「言わないでくださいお願いします!」


 なんと言うか聞きたくない。すごく恥ずかしい思いをしそうだ。ただでさえ僕にはトーキングスキルが無いというのに、ましてやこんな内容だと話を広げる事なんて絶対にできやしないよ。


「――大体五千円くらいかな?」


「言っちゃった! 聞きたくないって言ったのに! 言ったのに!」


「聞きたくないって、自分から聞いてきて何それ? だったら初めから聞かないでよ!」


「だから初めから聞いてないってば!」


「嘘。実は私ね、黙っていたけれど、佐藤君の考えが手に取るように分かったようなふりが出来るの」


「それは凄くないね、まったく」


「はぁ? 何その言い方。失礼しちゃうよ全く。じゃあ君は何を聞きたいと言うの? 兄の下着の値段以外で一体何の興味があるって言うの?」


「え?! さっきのってお兄さんの下着の話だったの?!」


「そうだけど」


 それは凄く衝撃的だ! それならば聞いてみたいと言うか聞いてみたくないと言うか興味深いと言うか興味深くないと言うか! って、お兄さんが上下下着をつけているって嘘だよね……。想像したくないから嘘じゃないとしても嘘ということにしておこう。


「そのですね、その話は脇に置いておいて、多分目を向けることはないからそのまま忘れて、聞かせていただきます。前から思っていたんだけどね、楠さんって、結構お兄さんの影響を受けていたりするのかなって」


「どういうこと。何を言っているの。私があんな愚兄の影響を受けるわけないでしょう。なんで男物の下着をつけなくちゃいけないの」


 僕が脇に置いた話題を全力で引っ張り出してきた。でも埒が明かないような気がするので話を進める努力をしよう。


「楠さんって、結構サブカル的な知識あるよね? それはお兄さんの影響だよね?」


「全然知識無いから。全然詳しくないから。一体いつ私がそんな話をしたの? もしかして君は私の考えが手に取るように分かったふりが出来るとでもいうの? 私を手玉に取ることが出来るとでも言うの?」


「楠さんが何を考えているのかは全く分からないし、楠さんを手玉に取ることなんて一生出来ないけど、楠さんは何でも知っているからそういったメインではない知識も豊富なのかなって。それに、※ただしイケメンに限るとか、ザビ野さんとか、割とそう言う言葉、知っているよね?」


「あぁ、兄の影響って言うのは悪影響の事ね。確かに私は兄から悪影響を受けているかもね。やっぱりあの兄は痛い目に遭わなくちゃいけないよね。兄の男性用ブラに大きめのパッドを縫い付けてやろうかな」


 お兄さんがそういったものを着用していると思わせたいのかどうか分からないけれど、僕は自分の用事を優先させていただくよ。


「それが悪い影響だとは思わないけど、やっぱり少なからずそういう知識は入ってきちゃうものだよね?」


「そうだね。で?」


「えーっと、じゃあ百合ってどういう意味か知ってる?」


「知ってる。クズって言う意味でしょ? 更に市丸っていうのが頭に付くと最上級の侮辱語になるんだってね」


「うん違う」


 それはあまりにも酷い言い草だ。


「違わない。君だってすべての物を知っている訳じゃあないでしょ? どこかの国ではそういう意味を持っているかもしれないでしょ」


「そうかも、しれないけど、今はそういうのを聞いている訳ではなくて、アニメとか漫画の世界で百合とはどういう意味を持つのか知っているかなって思って」


 僕が話に乗らないと分かったらしく、楠さんの声が不機嫌に染まった。


「知ってたらなんだっていうの?」


「あ、やっぱり知ってたんだ」


「やっぱりって何。私をそんな目で見ていたの? なに? オタクみたいだとバカにするつもりなの? 知っていたからと言って私が好き好んで得た知識とは限らないでしょ。オタクじゃないし、一切興味ないし、もし佐藤君がそういったものを好きだと言うのなら私は今後有野さんと話すのをやめる」


「だ、大丈夫だから安心して。そんなことをする必要はないよ」


 別にそれらの趣味を否定はしないけれど僕は違うとだけ知ってもらいたい。


「あっそ。そう言えば君はそっちじゃないもんね。百合よりも薔薇の方が好きなんだもんね」


「僕は普通だってば!」


 別にそれらの趣味を否定はしないけれど僕は違うとだけ絶対に知っておいてもらいたい!


「普通の人は自分のことを普通とは言わないものなの」


「え?! そうなんですか?!」


 衝撃の事実。


「そうだよ。だから君は異常。私の切った爪とか私の髪の毛とかを収集して食べる異常性癖を持っているんだ」


「そんなことしてないから言い切らないで! そもそも楠さんが爪を整えているところなんて見たことが無いよ!」


「はあやれやれこれだから異常者は厄介なんだよ。ばれても逆ギレすればなんとか切り抜けられると思っている。キレると切り抜けるは別物だと区別がつかないんだよ。ホント、厄介」


「キレてないし、多分逆ギレでもないし、そもそもキレると切り抜けるの区別はきちんとついているし、僕は厄介じゃないよ」


「厄介じゃないって、ブラが透けた状態でそんなこと言われても……」


「どうして僕が男性用ブラジャーをつけていることになっているの?! って言うか着ていたとしても冬服だから透けないよ!」


「え……? じゃ、じゃあ……、……もしかして今ノーブラ……?」


「なんだかその言い方だと、僕はすごく恥ずかしい事をしているような気がする!」


 何となく胸を押さえる僕。


「君も兄と同じ下着事情だったんだ……」


「違うよ?! 多分お兄さんも違うよ?!」


「え? じゃあブラをつけていると言うこと?」


「え?! あ! つけてないよ!」


 とっさに否定したけれど間違っていたの?! なんだか訳が分からなくなってきた。


「まあ、君が付けていようがいまいが私はこれまで通り佐藤君の名前を知っているクラスメイトという立場を変えないから気にしなくていいよ」


「友達だったのにランクが下がってるよね!」


「佐藤ブラ男くん。あ、間違えた。佐藤君」


「そもそも正解する気が無かったよ……」


「佐藤君の聞きたい話はそれで終わり?」


「え、あ、うん、まあとりあえずは」


 突然話を戻してくれたのでちょっと戸惑ってしまった。

 それにしても。


「……」


「なに」


 じっと見ていた僕が気になったらしい。当たり前か。


「何でもないよ」


「何でもないわけない。なんでそんな穏やかな微笑を携えて罵られる喜びに浸っているの? きっも」


「本当に何でもないんだ。ただ楠さん、元気だなって」


「元気? みんなから現在進行形で冷たい視線を投げかけられている私に対してとんでもないことを言うね。私が酷い扱いを受けて喜ぶわけないでしょ。その証拠に穏やかな微笑なんて携えていないじゃない?」


「もう、どうしようもないから?」


「……無視とか、すごく生意気。あーはいはいそうですそうです。例え私が落ち込んでいようとも、誰も同情してくれないだろうし、そもそも同情なんてされたくないし、暗くなるだけ無駄でしょうが」


「なんだか、受け入れるのが早いね」


「だってこの現実は認める以外の選択肢は無いから。逃避したところでどうなるわけでもなし。受け入れて慣れた方が楽じゃない」


「それが、一番いいんだよね」


「そうだね。受け入れざるを得ないと言うことは、それが一番の選択だと言うことなんだよ」


「悲しいね」


「私はそうでもない」


「そうなの?」


「そうだよ。これは自業自得だし」


「……」


 それから少し話をして、楠さんが帰って行った。

 僕は帰らずに自分の席へ戻る。

 そしてノートを取り出す。

 新品だったノートを使い始めて二日目。

 まだまだノートが埋まることはない。


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