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甲殻類アレルギーなのに新鮮なら死なない? 命がけの食事会と崩壊した婚約  作者: 品川太朗


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6/10

第6話:義姉の悪意の正体──マウントと嫉妬

証拠集めの時間です。 美咲は録音アプリを起動し、元婚約者に電話をかけます。


彼は「姉のいじめ」を知っていたのか? そして、なぜ美咲を止めなかったのか?


彼が語る「生贄の論理」。 ドン引き必至の言い訳をご覧ください。

 義母を追い返したその夜、私は悠真からの着信拒否を一時的に解除し、電話をかけた。


 復縁するためではない。

 義母が口走った「テスト」という言葉の裏付けを取り、彼らの異常性を完全に記録しておくためだ。


 通話録音アプリを起動する。


『もしもし!? 美咲か!?』


 ワンコールで出た悠真の声は、必死そのものだった。


『よかった、やっと電話に出てくれた……! 母さんから聞いたよ、話を聞いてくれたんだって? 俺、本当に反省してて……』


「悠真さん。単刀直入に聞きます」


 私は彼の謝罪の言葉を遮った。今の私に必要なのは、反省の弁ではなく事実だ。


「お義母さんが言っていました。今回のカニの一件は、お義姉さんが私を『試す』ためにやったことだと。それは事実ですか?」


 電話の向こうで、息を呑む気配がした。


『そ、それは……』


「事実なんですね?」


『……ああ。でも、俺は止めたんだよ! 姉ちゃんがどうしてもって言うから……』


 また人のせいにする。

 私は冷静に問い詰めた。


「何を試したかったんですか? 命がけでアレルギー食材を食べることが、何のテストになるんですか?」


 悠真は言い淀んでいたが、沈黙に耐えきれなくなったのか、ポツリポツリと語り始めた。

 その内容は、私の想像をはるかに超えて醜悪なものだった。


『……姉ちゃん、昔からそうなんだ。俺が連れてくる彼女のこと、気に入らないとすぐにいびり出して……』


 悠真によると、義姉・佐緒里(32歳・独身実家暮らし)は、弟である悠真に対して異常な執着と支配欲を持っているらしかった。

 過去にも、悠真が交際していた女性に対し、陰湿な嫌がらせを繰り返していたという。


『前の彼女の時は、わざと賞味期限切れのケーキを出したり、俺の留守中に掃除を押し付けたりして……』


『「この家の嫁になるなら、これくらい耐えられないと務まらない」って』


「……それで?」


『みんな逃げちゃったんだ。でも、美咲なら耐えられると思ったんだよ! お前、我慢強いし、俺のこと好きでいてくれたから……姉ちゃんの理不尽な要求でも、俺のために受け入れてくれるんじゃないかって……』


 目眩がした。


 この男は、自分の姉が異常者だと知っていながら、私をその生贄として差し出したのだ。

 「僕のために耐えてくれ」という、歪んだ愛の証明として。


「……つまり、あの日。『新鮮なら大丈夫』なんて嘘だと知っていて、私にカニを食べさせようとしたんですね?」


『いや、それは! 姉ちゃんが「本当に新鮮なら大丈夫な場合もある」って言うから、もしかしたら奇跡が起きるかもって……』


「奇跡?」


 私は鼻で笑ってしまった。怒りを通り越して、呆れ果てて笑うしかなかった。


「あのね、悠真さん。もし私が食べて、アナフィラキシーショックを起こして、そのまま死んでいたら……あなたはどうするつもりだったの?」


 私の問いに、悠真は言葉を詰まらせた。


 数秒の沈黙の後、彼から返ってきた答えは、決定的な一言だった。


『……でも、結果的に食べなかったし、死んでないだろ? だから、もういいじゃないか』


 ──プツッ。


 私の中で、最後の情けの糸が焼き切れた。


 死んでないからいい?

 殺人未遂も、被害者が避ければ「悪ふざけ」で済むと思っているのか。


「……そうね。私は死ななかった」


 私は声を低くして、彼に告げた。


「だからこそ、あなたたちは社会的に死ぬことになるのよ」


『え? どういう……』


「近日中に、そちらのご実家に伺います。お義母さんには『復縁の条件を提示する』と伝えてあります。ご家族全員、揃っておいてください」


『ほ、本当か!? 条件って何だ!? 俺、何でもするよ!』


 悠真の声が弾む。

 彼はまだ気づいていない。私が提示するのが「復縁の条件」という皮を被った、「絶縁状」であることに。


「楽しみにしていてください。それでは」


 私は一方的に通話を切った。

 録音を保存する。これで証拠は揃った。


 「悪意を持ってアレルゲンを摂取させようとした」という自白が取れたのだ。


 私はスマホを置き、大きく息を吐いた。

 不思議と涙は出なかった。

 あるのは、氷のように冷え切った怒りと、これから行う断罪への静かな闘志だけ。


 待ってなさい、佐緒里さん。そして、愚かな大野家の人々。

 あなたたちが大好きな「しきたり」や「常識」で、徹底的に殴り返してあげる。

「死んでないだろ? だから、もういいじゃないか」 出ました。この物語で一番の暴言です。 殺人未遂も「結果オーライ」で済ませようとするその神経。救いようがありません。


ですが、おかげで完璧な「言質げんち」が取れました。 録音データは保存完了。


次は、いよいよ敵陣(実家)への乗り込みです。 「復縁の条件」という名の、絶縁状を叩きつけに行きましょう。


次話、スカッと成敗回です。 顔面蒼白になる一家の様子を、最前列でお楽しみください。


全話投稿済みです。 第7話へお進みください!

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前の感想に書いたが、死ぬんだよ。 毒食わなかったから死ななかった。 なぜそれがわからん。
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