後日談その2「泣き虫カレンのボディブロー」
あれほど“ミサキはお嬢様口調”って強調したのに、AIはすぐ忘れる。なので一回作り直し。やっぱこの辺の鳥頭っぷりがAIの限界なんだろうな。
【カレン視点】
私、ほんっとに情けない。
いまだに──マツリの、あのボディブローの夢を見る。
目覚めた瞬間、あの音と感触が脳みそにこびりついてて……気がつくと、胃がぎゅってなるの。
「うっ……っげほ……!」
──ほら、また。
ミット叩いてただけなのに、少し脇腹に当たっただけで、吐きそうになるとか。
ていうか、実際ちょっと吐いたし。コーチに心配されてるし。これが元ナンバー3の末路か。
いやもうさ、いっそ引退しよっかなって、真剣に考えてる。
「おや、カレンさん。まだそんな顔をしていらっしゃるの?」
その声がしたとき、私は思わず振り返った。
……現役ナンバー3・ミサキだった。
前よりも少し凛々しい顔つきで、でもやっぱり綺麗で、嫌味なほどスタイル良くて……でもなんか、前と雰囲気違う。
「……なにしに来たの。見物?」
「まぁ。そんなふうにおっしゃるのね。でも、お気持ちは分からなくはなくてよ?」
ミサキは近づいてくると、そっと腰に手を当てて姿勢を直す。やめてほしい。そういうの、今の私にはキツい。
「フミヤさんも、あのように壊されて、それでも前を向いたのですわ。素人の彼ができて、貴女ができないなどということは、ありませんもの」
「……なんで、そんなこと」
「だって。悔しそうな顔、してますもの。引退を考える人の目では、ありませんわよ」
一瞬、言葉を返せなかった。
……ズルいな、あんた。そういうとこ。
「カレン。貴女の心の底に、まだ──火が残っているのなら」
ミサキは、にっこりと微笑んで──その笑顔のまま、グローブを外した手で私の腹に拳を当てた。
「わたくしが、その炎を揺り起こして差し上げますわ」
──え? え、ちょっ、なにそれ。え、待っ──
「いきますわよ、覚悟なさいっ!」
「ちょ、あ──ぐえっっっっっ!!」
*
「……っ、っ……ひっく、うえぇぇぇん……っ」
体育館の隅っこで、私はまた泣いていた。
何回目だろう。ミサキのボディ、マジでエグい。
というか、どこでそんなパンチ覚えたの?!
「……カレン。泣くのはもう、終わりにいたしましょう?」
ミサキが、そっとハンカチを差し出す。あたしはそれを受け取って、鼻水ごと豪快に使ってやった。……洗って返すよ。
「ふん、強くなったね……ミサキ……」
「当たり前ですわ。わたくし、もう“罰ゲーム係”ではありませんもの」
ミサキは、かつての自分を静かに否定してみせた。
その姿が、ほんとにカッコよかった。
「……カレン。わたくしに、殴られた感想は?」
「……痛かった。マジで痛かった。……でも──マツリのときとは、ちょっと違った」
「まぁ♪ それは光栄ですわね」
……なんで私、ちょっと嬉しくなってんの。バカみたい。
「ねぇ、ミサキ。もうちょっとだけ……殴ってもらってもいい?」
「もちろん。何度でも、叩き起こして差し上げますわ」
そして──またあたしは、涙目になりながらも拳を構えた。
いつか、笑ってこの日を思い出せるように。




