最終話 前編「決着のリング」
最初に生成AIに展開を任せたときは「ユリカが師匠、マキがラスボス」だったんですけど、なんか違うなーって思って作り直しました。いくらAIが優秀でも、お話は自分で作らなきゃダメですね。
【マキ視点】
わたしの大切な人たちが、今、リングの上で拳を交わしている。
マツリちゃんとユリカ。愛弟子と親友。どっちが勝っても、どっちが負けても、胸の奥が張り裂けそうで、じっとしていられなかった。リングサイドに座ってるだけなのに、心臓がずっとバクバク鳴ってる。
(こんなに緊張するの、初めてかも……)
マツリちゃんがリングに上がる姿を見て、正直ちょっと怖くなった。最近の彼女は、何かが吹っ切れたようで、でもどこか危うくて、ギリギリのバランスで立ってるような気がしてた。でも、今の彼女の背中は真っ直ぐで、誰にも媚びてなくて、自分の足でしっかり立ってた。
ユリカも、変わってないように見えるけど、あれは“いつものフリ”だ。あの子なりに、たぶん、向き合ってる。過去とも、マツリちゃんとも。
「……ゴング!」
レフェリーの声とともに、試合が始まった。
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【マツリ視点】
ユリカの拳が、重い。
想像してた以上に、はるかに重くて、鋭い。圧倒的な強さ。けど、怯えてなんかいられない。私は、ここに来るために全部を懸けてきたんだから。
「へぇ……よく動けるようになったな、マツリ」
ユリカは余裕の笑みを浮かべながら、身体を滑らかに揺らす。重さだけじゃない。経験、読み、間合い……全てが私の上を行ってる。
「でも――遅い!」
視界が揺れた。
息が、一瞬止まった。腹を深く抉るようなボディ。かつて、お兄ちゃんが苦しめられた、あの一撃。私も、ついにその痛みを知った。
倒れた床が、冷たい。頭が真っ白になって、呼吸の仕方さえ分からなくなる。
(……ああ、やっぱりこの人は強い……)
誰かが、カウントを数えてる。耳の奥で鐘のように響いて、だんだん遠くなっていく。
でも――
ふと、観客席の中に一人だけ、立ち上がって私を見ている姿があった。
お兄ちゃん。
情けなくて、弱くて、でもずっとそばにいてくれたお兄ちゃん。
(……私、あんなふうに泣きたくなかった)
拳を、握る。
(でも、泣いてもいいから……負けたくない)
重たい身体を引きずるように、膝をついて、腕に力を込めて、立ち上がる。
「……やっぱり……楽しいんだよ、拳を交わすのって……」
立ち上がった私に、ユリカがニヤリと笑う。
「上等だ、マツリ。まだ、始まったばかりだぞ」
痛みも恐怖もある。でも、私はもう“あの頃の私”じゃない。
(行くよ……お兄ちゃん、見てて)
最終決戦のゴングが、今度こそ本当の意味で、鳴り響いた。




