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8話    再開


「母さん…?母さん!!」


赤黒い液体がシェインの母、クリスの体からこぼれ出てくる、目の前で倒れ伏す母親にシェインは半狂乱のまま駆け寄る


「クリスさん!駄目だ、血が血が止まらねぇ…!」


ロイが止血を試みるがまるで意味をなさず血がどんどん流れ落ちていく。


「かはっ!」


「母さん!クソクソ、なんだよ、何なんだよ!」


クリスが口から血を吐き出す、シェインの目の前で人が死に向かってゆく、それはシェインにとってもっとも身近な存在、母親の死。

 

「愚かな…」


「何だと?今お前なんて言った!?」


母を愚弄した仮面の男を睨みつけるが男はまるで意に返さないとい言った風に言葉をつむぐ


「恐怖が孵化を促進させると思ったが…他者の死にも意味があると言う事か…」


「何?」


シェインが仮面の男の発言の意味を理解するより先に仮面の男は手に持った剣を無造作に振り上げクリスにその狂気でもって止めをさそうとする

シェインとロイも男のあまりもの感情の籠らない無感動な動作に反応が遅れて対処出来ずにいた。

そのまま仮面の男の剣が振り下ろされていればクリスはこの世を去る事になっていただろう、

そうならなかったのは仮面の剣が強い衝撃に弾かれその体制を崩したからに他ならない

そして何者かが仮面の男に雪崩れ込むかの様に飛びかかりその剣を叩き付ける

ガキィッとけたたましい鉄と鉄のぶつかる音が周囲に反響しあたり一面に衝撃波のような物が吹き荒れる


「くっ!…裂牙!」


乱入者は鍔迫り合いもそこそこに仮面の男に向けて零距離から裂牙なる技を叩き込み男はその反動で数メートル程吹き飛ばされる

しかしたいしたダメージを与えるには至らず両者の間に間隔を空けるに留まる


シェインはここでようやく乱入者の顔を確認する事が出来たがその人物はシェインの予想を遥かに越える人物だった。


「アルフィダ……!?」 


「よぉ…ひさしぶりだな、」


「なっ、何故お前が……」


「話は後だ、ロイさん!コレを!」


「え?あっっとぉっ!?」


アルフィダはロイに向かって何かを投げ寄越した、ロイがつまずきながらそれを受け取る、

硝子瓶の中に液体が入っているようだ


「ポーションだ、飲めば傷が治る、一本しかないから大事に使ってくれよ、」


「は?、ふざけんなよ、誰がお前のくれた物なんかを母さんに……」


「クリスさんを死なせたくないなら俺を信じろ」


「ぐっ…、」


ロイはクリスにポーションを飲ませる、すると体を淡い光が包み込みクリスの胸の斬り傷が塞がっていく。

顔色も幾分かは血色が良くなり少なくとも死ぬ危険性は感じられない。

 

「やっ、やった!シェインっ!治った、治ったぞ!ありがとうな!アルフィダ!」


「ロイさんも飲んどけ、足の怪我、相当無理してんだろ?」


「あぁ、すまないそうさせてもらうよ、」


二人のやり取りを見ていればクリスが一命を取り留めたことはわかる、しかしシェインにはどうしても納得出来なかった

師を殺したこの男がどうして今になってこの場所にやって来たのか、何故助けてくれたのか、


「俺を信じろとか今更何を都合の良い事をってお前の気持ちは理解してるつもりだよ、でもな、死にたくないなら今は黙って俺と協力しろ、」


「後で理由聞かせてもらうぞ?」


「安心しろ、もう逃げねーよ、」


そういってアルフィダは正面を睨みつける、

シェインとアルフィダの前にはまるで蜃気楼のようにゆらりと佇む漆黒に染まった仮面の騎士

殺意の感じられない無を体現したかのような姿はいっそ不気味ですらあった。

 

「わざわざ待っててくれたのか?随分と親切じゃないか?え?変態仮面男」


「お前に用はない、消えろ」


「俺もアンタに用はないんだ、ひさしぶりの弟分との再会なんだ、消えてくれないか、」


「いいだろう、お前の死を我が宿願の足掛かりとしょう。」


仮面の騎士からドス黒く禍々しい光が滲み出す、

同事に騎士の剣はどういった仕組みか剣先がバカッと左右に開き中央から赤黒い光が覆う、変容を遂げた仮面騎士の剣は異様と形容する以外ない力を発していた。


騎士はその剣を片手で保持したままシェイン、アルフィダ両名が立つ方向へと一気に振り抜いた


剣から発した赤黒い光は大きな波となって周囲を巻き込みシェイン達に襲いかかる

シェイン、アルフィダはコレをなんとか躱すもその余波はシェイン達を包囲したまま膠着状態にあった獣の群れを根絶やしにしていく。



「無茶苦茶だろ、何だアレ!?」


「シェイン、詰めるぞ、アレを撃たせるな、」


「つっ!」


二人は仮面の騎士に向かって一目散に駆け出す。

仮面の騎士からは先程のオーラは四散しており、剣からも禍々しい光は消え元の状態に戻っている

先程の技で力を使い過ぎたためかは分からないが迷っている時間は無い。

もし先程の攻撃を撃たれてしばえば次も避けれる保証など何処にもないのだから。


シェインは騎士の手前で素早く一回転し遠心力で剣撃の威力を上げる一撃を打ち込むもそれは容易く騎士に弾かれる、がそのシェインの影からアルフィダが現れ、すかさず剣による付きを放つ。


騎士は上体を捻り逸らす事でそれを躱すが続け様にシェインの剣が騎士の頭部目掛けて迫りくる

しかし仮面の騎士はそれを読んでいたと言わんばかりに剣で受け止め返し打ち返す。


剣と剣がぶつかり合い火花が飛び散る

シェインとアルフィダの連携は高い制度で成り立っており、大柄な黒衣の仮面騎士の隙をかい潜り有利に戦闘を勧めている。

二人の剣撃をさばき追撃をかけようとする仮面騎士であるが次から次へと放たれる二人の連撃に次第に受け流すのがやっとといった状態になっていく

二人には二年のブランクがあるはずだがそれを感じさせない程に息のあった連携が取れている。


しかしシェインには漠然とした不安がった。

相手の感情が見えて来ないのだ。

コチラが有利、向こうは劣勢、一体二、

本来ならば焦り、不安、戸惑いなどの感情が見えるはずだ。

シェインとアルフィダが使うアンティウス流剣術はそういった敵の感情を読み取る事に長けている。

敵の息使い、呼吸、顔色、挙動の全てをつぶさに視界に入れおのが糧とする。

なのに敵からは一切の感情が見えて来ないのだ。

殺す意志を匂わす発言とは裏腹に殺意や憤怒といった感情も同じく。

ガノッサを相手にした時とは真逆の脅威。

不気味さがシェインの心を支配していた。


そんな時、仮面騎士の剣が淡い光を放ち始める。


「くっ、シェイン!避けろ!!」


アルフィダの発言より早くそれは放たれた


「裂牙…」


仮面騎士の放った技はシェインの足元で爆発し、次いで大きな爆風が発生する、シェインの左腕を掴んだアルフィダは爆発が起こる手前の瞬間にシェインを自分側に引き寄せていたがそれでも難を逃れきることはできず爆風で二人は吹き飛ばされる


紫煙が晴れたさきには大きな穴が出来ており、もしアルフィダがシェインを引っ張っていなければシェインは挽き肉になっていたのは間違いなかった


(……ヤツの技、それに…、)




裂牙はアルフィダが使った技、もっと言うならばアンティウス流剣術の技の一つ、

この男はアルフィダの技を見て瞬時にそれを盗み取ったという事となる。

謎の力に加え脅威的な学習能力、

"今のまま"相手にするのはリスクが大きいなと内心で舌打ちするアルフィダ


「……興が冷めた、卵が孵らぬ内は無駄だ。」


そう言って仮面騎士は剣を下ろし戦う姿勢を解き、この場から立ち去って行く


「テメエ!待ちやがれ!」


「待て!!」


立ち去って行く仮面騎士を呼び止めようとするシェインに静止をかけるアルフィダ


「向こうが見逃してくれるってんだ、御厚意に預からしてもらおう」


「でも!」


「ここであんなのとやり合うメリットが俺達にはない」


アルフィダが言っている事は正論だ、傷はふさがっていても大怪我を負ったクリスがコチラにはいる。

なにより、ここはシェインの故郷のカラッタ村だ。

退屈な場所だと文句を言っていても大切な場所には変わりない。


「わかったよ」


そう言ってシェインは剣をおろしたのだった




戦闘描写難しい





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