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ユーディキウムサーガ 父親に捨てられた少年は好きになった少女のために最強の剣士を目指す  作者: ムラタカ


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42話  力の正体

「ここは……?ガノッサの屋敷か…、」



シェインが目を開けると見知った天井だった、

奇しくもそれはあの老人、レスティーナ王に敗れた次の日の光景と同じだった、


(俺はまた負けたのか……?でもたしか俺は……、)


自分の手足、顔や至る所を触り何かを確認する


(手も足もある、じゃ、あれは勘違いなのか?でもあれが勘違い…?)


そんなわけ無いと頭では理解していても到底信じられるものではなかった

シェインの中には確かに自分の体があの強大な魔力の渦に飲まれ消えていくのを感じ、自分の死を強く感じた


なのに生きている


(どうなってんだ?俺の体……、)


答えの出ない自問自答に悩んでいるといつかのようにドアが開きレイラが入室してきた、


「シェイン!無事なのか?」


「え?あぁ、無事かはなからないけど多分……無事、多分」


「ははは…お前にしては随分曖昧だな、」


「俺は……いや、ラミュア達はどうしたんだ?」


「フィーファ様を助け出すのに強力してくれるそうだ」


「え?だって断るってアイツは…」


「覚えて…ないのか?」


「覚えてない?」


レイラの先程からの要領を得ない話し方に違和感を感じる、彼女はいつも思った事を直接行ってくる性格だ、

それに何か違和感があった、

まるで怖がっているような、



「お前はラミュア女王に勝利したんだ…何も覚えてないのか?」


「え?勝ったの?俺が?覚えて無い…」



勝てる戦いなんかじゃなかった

抵抗する事、それ事態が無駄と思わせる圧倒的差を見せつけられた

死を覚悟した、

というより、死んだと思っていた

手足が無くなるのを見た気がする


なのに勝った?

フィーファを助けるのに協力する?

朗報のはずなのに矛盾だらけで気持ち悪いくらいだ


「黙っていても仕方ないから言うが。その、聞く前に覚悟してほしい」


「覚悟?」


「あぁ、それと確認だがお前は私達に隠し事をしてないな?」


「してるわけないだろ!」


「そうか、なら話すぞ、」



レイラが俺にしてくれた話は荒唐無稽もいい所な内容だったが否定出来る要素がまるで無く俺はただ黙って話を聞いてる事しか出来なかった



まず俺はやっぱりあの時死んだらしい、

誰の目からみても明らかなくらいに死んだらしい

木っ端微塵、綺麗に消し飛んだそうだ、

しかし、

俺は復活して反撃に移ったらしい、

もはやただの御都合展開だ、

死んだのに生き返った、その時点で

もう俺は人間なのか怪しくなる


しかもただ行き返っただけじゃないらしく

ラミュアの放ったあの馬鹿でかい黒い魔法の光線

を消滅させラミュアが放った魔法のことごとくを無力化したらしい


結果不利を悟ったラミュアは敗北を宣言、

俺達に協力してくれる事になったという筋書きだそうだ


俺は人間……なのか…?



「なぁ、レイラ?」


「何だ、」


「俺って何なんだろうな?」


「………、」


「すまん、気にしないでくれ、」


「っ!待て!シェイン」


レイラの静止を振り切り俺は部屋から出た、

すると意外な連中がそこにいた



「やぁ、おじゃましてるよ、で具合はもういいのかな?僕としては体調が良好なら話し合いに移らせてもらいたいな?」



家主であるガノッサは当然として先程まで殺し合っていたダークエルフの親玉、ラミュアとレンがそこにいた、



「なっ、何故お前らがここにいるんだ!?」


「おいおい、君が僕にお願いしたんだろ?フィーファ君を助ける手伝いをしてほしいと?」


「言ったけど…、」


「君が目覚めるまでの間ここで待たせてもらったんだよ、起きてくれないと話も出来ないしね」


「俺はお前に本当に勝ったのか?まるで覚えてないんだが…?」


「覚えてない?……、覚えて無いだと?」



ラミュアのシェインを見る目つきが鋭くなる

覚えて無い、つまりは意識が無かったという事になる

つまり自分はそんな奴に負けたのかと


シェインからしてみれば突然ラミュアの機嫌が悪くなった事にまったく心当たりが無いためどうしたらいいか解らないのだ


「ちょっと待ってくれ、本当に何も覚えてないんだ、

アンタが負けを認めたってことは俺は意識も無いのに動いてたって言うのかよ…?」


「その様子だと君はホントに意識が無かった、記憶も無いみたいだね、確認するけど嘘はついてないね?」


「そんな余裕ねーよ、自分でもよくわからないんだ」


「ふむ、興味深いね、是非君を持って帰って色々実験したい気分だよ、」


「やめてくれ!」


「ははは、しないよ、そんなおそろしい事」


(おそろしい…?)


シェインはラミュアの目の奥に恐れ、恐怖の感情がある事に気づいていた

彼女は平静を意識している様だが明らかにシェインを怖がっている、刺激しない様にしている、

シェインはそれを感じ取っていた


(傲慢な態度だったコイツが俺の事をここまで警戒している以上レイラの話は本当なんだ、俺はラミュアに勝った…、でもなんだそれは、そんなの)


知らない内に絶対に勝てないと思っていた存在に勝っていた、強くなる事を目的としていたのによくわからない内によくわからない力を身に着けた

元来喜ぶベキなんだろうがちっとも喜べない、

ズルをしている、

そんな気分だった、



「最後にこれだけは聞きたい、君のその力は本当に君自身知らない物なんだね?」


「力自体はホントにわからない、ただ、その、心当たりはある…」


「!!っそれはなんだい?」


シェインの発言にラミュアだけでなくレイラ、ガノッサ、レンも強く反応する、

皆、この場にいる誰もがシェインの力を目撃している

気にならない訳が無いのだ



「俺は生まれた頃からずっと一つ変わらない夢を見てるんだ…」


「夢?」


「夢の内容はどんなのだ?」



レンが確認する



「白い世界……、白い世界にいる夢、縦も横も右も左もないずっと先まで白い世界が続いていく世界、俺はその世界で体が溶けて世界と一つになっていく、そんな夢」


「それはまた珍妙な夢だな、」


「白い…世界…」


「ここ最近は全く見なかったんだけど少し前からまた見るようになって最近のは昔と違って変化があった、」


「変化?」


「夢の中で誰かが話かけて来るんだ」


「誰か?」


「その誰かとは誰なんだい?」


「わかんねーよ、神さまとか?」


「ふざけてるのかな?」


「怒んなよ…冗談だろ?」



シェインは今の状況が意外だった

昔、小さい頃

村にいた時母さんをはじめ何人かに夢の事を話したが誰もがまともに取り合ってはくれなかった

思春期の少年にありがちなアレ的扱いをされて憤りを感じた記憶はもはや懐かしい


うんと小さい頃はそれが普通で皆俺と同じ夢を見てるのかと思っていたが違うと知ってからは誰かに無闇矢鱈と夢の事を話さなくなった

頭のヤバい奴みたいな扱いをされたくなかったから



だから当然、旅をする仲間にも話してはいない、

それがまさかこんな事になるなんて思ってもいなかった



「その夢の中の人物はいったい君に何を言っているんだい?」


「いや、夢の中の奴は自分からは何も言って来ない、俺の反応を見てそれは何って聞いて来てる感じかな、」


「シェインを介して何かに興味を持ってるのかな?全く興味が尽きないね、君は」


「そう言えば力を行使していたシェインは淡く白く光っていた様に見えた、もしかしたらその白い世界に何か関係があるんじゃないのか?」



レイラが問いかけるにシェインは何も答えられないでいる、仕方のない事たま、シェイン自身何もわからないのだが、しかしここで皆に言っておいた方がいいだろう事をシェインは思い出す



「わかんねーけど一つ思い出した事がある、」


「なんだい?それは?」


「一人だけ俺の夢の内容を知ってるぽい奴に前会ったんだ」


「村を出る前の話かい?」


「いや、出た後だ」


「え?いつ?何処で!?」



驚いた顔でレイラが問いかけてくる、

村を出た後はほとんど皆と行動を共にしていたから驚くのも無理はない



「フィーファやレイラ、ガノッサのおっさんがカラッタ村を出ていった後だ、あの数時間後に仮面被った全身黒尽くめのマント男が村を襲ったんだ」


「!?」


「そんな事があったのか?」


「マント男は何故かわからないけど俺を必要に襲ってきて逃げれそうに無かったから応戦したんだがヤバいくらいに強かった、アルフィダが助けに来てなかったらあそこで死んでたかも知れない」


「アルフィダとはそこで再開したのか、」


「あぁ、で、そいつは俺にこう言ったんだ”白い世界の夢“って、その他にも卵が孵るだとか意味わからん事ばかり言っててコッチとやり取りする気なんか無さげだった」


「もう決まりですね、ラミュア様?」


「そうだね、レニ、その仮面男はシェイン、君の夢や力が何なのかを知ってるとみて間違いない、 卵が孵るとはそのまま卵が君、孵化が君の力の覚醒を意味してるんじゃないかな?」


「シェイン!どうしてそんな奴と戦った事を我々に言わなかった!」


「え?あぁっと、すまん…おっさん」


「しかしそんな馬鹿げた力を持った物がポンポン現れる物なのですか、にわかには信じ難いですね、」


「そうでも無いよ、マグラーナの、」


「え?」


「僕も50年前にそういう化け物の類に出会っている」


「それがラミュア女王陛下の言っていた白光の聖女ですかな?」


「あぁ、奴は50年前に突如空飛ぶ方舟と共に現れ、僕の故郷を根絶やしにして僕から大切な仲間、家族、そして父の命を奪った、許し難い存在だ、僕はあの50年前の災厄の原因である“白光の聖女“を必ず見つけ出して殺さなければならない、そうしなければならないんだ、そのための手段は問わない、いかなる手段をとっても、例え悪魔にこの身を捧げてでも成さなければならないんだ」


悪魔に身を捧げる、そういったラミュアの顔に迷いや戸惑いはない、そんな彼女の顔をレンは複雑そうに盗み見る


「白光の聖女だったか?それって白く光ってるからそう名付けたんだろ?もしかして俺の力と同質のものなのかも?」


「いや、それはないね」


「何故そう言い切れるんだ?」


「具体的にこう!とは断言出来ないんだけどね、力の質が全く別の物に僕には思えた、プラスとマイナス、陰と陽、そういった対極にある力、僕にはそう見えたよ、だからさ、シェイン」


「なんだよ?」


「フィーファ姫の救出は責任を持って手伝うよ、だから君も僕の復讐を手伝ってくれないかい?」


「えぇ!?」


「何を驚く?最初に話を持ち出して着たのは君だ、僕は君の力に大きな興味をもった、君の力はアレに対抗するのに欠かせないピースだ、アレへの復讐のため僕が練り上げた最高傑作三重協奏滅界波動を無力化したんだからね、」


「3重?へ?」


「アレは人の存在そのモノを滅殺する魔法だ、闇、精、霊、それぞれ異なる3つの属性を適した出力で調合することで精神的、霊的、肉体的、あらゆる観点から対象者を滅殺する、僕の考えたさいきょうの必殺技だ!」


「俺への殺意がえげつないな、俺はアンタの逆鱗に触れてたんだな、」


「まぁ、僕はもっとヤバい逆鱗に触れてたみたいだけどね、」


「シェイン…、」


「え?」


ラミュアとの話に割り込む形でガノッサが割りかし本気度の高い表情で話に入ってくる、

とても暑苦しい表情だ


「ラミュア女王陛下との契約は今後のお前の人生を決めかねない大事だ、フィーファ様を助けたい思いは当然ある、しかしコレ以上はお前のコレからの人生に関わってくる、お前の自由に決めればいい、フィーファ様の事なら心配するな、私が後は……」


「おっさん、舐めんなよ?」


「!?……シェイン…」


「何度も言わせないでくれ、フィーファを守る、これが俺がやりたい事だ、この際認めてやる、俺はフィーファが好きだ、好きになった女を助けるのに人生の1つや2つ賭けてやるさ!そのためなら人を悪魔呼ばわりするどこぞの女王陛下様の手伝いくらいしてやらぁ!!」


「シェイン…お前…」



シェインの啖呵にガノッサはただただ圧倒されていた、

若さゆえの勢いに、いや、若いからこそ我武者羅に走れるのだ、あの時、シェインに感じた希望、彼になら自分の後任を任せられるという希望、それを改めて感じていた、あの意味のわからない力すらこの少年ならばいつしか自分の物にしてしまい、その力を持って最強に上がりつめるのどはないかとそう思わせてくれる



「そうか、ならばもう何も言うまい、ラミュア女王陛下、貴方との契約我々は受けます、だから…」


「皆まで言わなくてもいいよ、僕等は協力関係だ、これよりはフィーファ君の救出劇と行こう」



かくしてここにフィーファを救出するための即席チームが出来上がった

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