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一時転生先で冒険者スローライフ  作者: パクリ田盗作
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第六十三話 決戦


 ドッペルゲンガーと決着をつけるために僕とシュヴァルツはアルター皇帝の墳墓へと突入する。

 墳墓の入り口で見張りに召喚されたアビスデーモンを倒した僕達は、アルター皇帝が眠っていた寝所へと足を踏み入れる。


「ドッペルゲンガー!」

「よおルカール、早い到着だな」


 アルター皇帝が眠っていた寝所ではドッペルゲンガー、ダントーイン帝国のエージェントが六人、そして遺物を身に着けた骸骨の戦化粧をした女エルフがいた。

 ドッペルゲンガーは僕達の姿を見ると、ヴァーンの姿になってにやにや笑いながら手を振る。


 ダントーイン帝国のエージェントは僕達の姿を見て身構えるが、遺物に身を包んだ女エルフが手で制する。


「貴様らがドッペルゲンガーが言っていたバグベアード側の協力者か? わざわざここまで来るとはな。魔剣アルクラーウはどこにある?」

「素直に教えると思う?」

「それもそうじゃの。ならば貴様らを殺して魂に直接聞くとしよう」


 女エルフが手を上げると、周囲のアルコーグに埋葬されている骨たちがカタカタと音を鳴らして次々とスケルトンになっていき、軍勢となる。


「見たか? これが遺物の力だ。かの帝国はこの遺物の力を使い戦士達をアンデッドに変えて無限無敵の兵士として使役していたのだ! 魔剣アルクラーウが揃えばわらわは不老不死のアンデッドの王になれるのじゃ!」


 女エルフは興奮したように遺物の力を僕達に説明してくれる。

 どうやらバグベアード帝国の遺物にはアンデッドを無限に作り出す能力があるようだ。

 その力は尽きることなくアルコーグだけでなく、石畳を突き抜けて焼かれることのなかったズワーズの死体もゾンビになって湧き出てくる。


「ゆっくりと包囲しろ。恐怖を煽ってやれ」


 女エルフの命令に従うようにアンデッドの大群は僕達を取り囲む。


「今一度問う。魔剣アルクラーウはどこじゃ? 素直に渡せば苦しまずに殺して我が配下にしてやるぞ?」


 女エルフ達は勝ち誇ったような顔で魔剣アルクラーウの行方を聞いてくる。


「借り物の言葉だけど、あんたに贈る言葉があるよ」

「ほう、なんじゃ?」


 僕はため息をついて降参だというように両手を上げて、そう一言告げる。

 女エルフは自分の優勢が崩れぬと確信しているように余裕を見せて聞き返してくる。


「獲物の前で舌なめずりするのは悪党として三流だよ! 万物の根源たるマナよ 日輪の光となりて その輝きを照らせ 太陽光爆発(サンバースト)!!」


 呪文を唱えると僕の両手から疑似太陽が現れてアンデッドを焼く光が爆発的に広がっていく。

 アンデッドの大群を生み出す遺物は確かに脅威だが、対アンデッド滅却呪文をもつ僕とは相性が最悪としか言いようがない。


 広がる太陽の光によって、遺物で生み出したアンデッド達が焼かれて灰になっていく。


「………なっ……あ……ありえん……な、なにをしておる! あんな強力な魔法を使ったのじゃ! もう魔法使いは魔力は残っておらんはずじゃ! 殺せっ!!」


 鳩が豆鉄砲を食らったという言葉が似合いそうなほど唖然とした顔の女エルフは我を取り戻すと、ドッペルゲンガーやダントーイン帝国のエージェント達をけしかける。


「雇い主様の命令だ。やり合おうか」


 ドッペルゲンガーは宝石で装飾されたレイピアを抜き、片手を背中に隠す。

 ダントーイン帝国のエージェント達もそれぞれ武器を手に持ち、襲い掛かってくる。


 シュヴァルツには四人のエージェントが向かい、シュヴァルツは両手剣で応戦する。

 ダントーイン帝国のエージェントはシュヴァルツの周りをぐるぐる回りながらナイフを投げたり、死角から攻撃を仕掛けたりと翻弄しようとする。

 シュヴァルツは負けじと両手剣を振り、一人の胴体を両断する。


「不死者として蘇生せよ!」


 女エルフが遺物の力を使い、銅を両断させらたエージェントが自分で体をくっつけて起き上がり戦線に復帰する。


「魔法は使わせねえよっ!」

「万物の―――うわっ!?」


 僕はアンデッドとして復活したエージェントを浄化させようと呪文を唱えようとするが、ドッペルゲンガーがそれを妨害するように小瓶を投げつけてくる。

 僕は横に飛んで小瓶を避けるが、小瓶が床にぶつかった瞬間爆発が起こり、衝撃で吹き飛ばされて転倒する。


 残りのダントーイン帝国のエージェントがその隙を逃さず、武器を振り下ろしてくるが、僕は必死に転がって攻撃から逃げる。


「どうしたルカール? 芋虫みたいに転がって……さっ!!」

「げぼっ!?」


 いつの間にか回り込んでいたドッペルゲンガーが僕の腹部を蹴る。事前に防御魔法かけたうえでも吐きそうになる衝撃に咽る。


「マスターッ!?」

「させぬ。氷の光線(アイスレイ)!!」


 シュヴァルツは僕を助けに向かおうとするが、女エルフが放った光線がシュヴァルツの足に命中すると、足から氷が広がっていき行動を阻まられる。


「ルカール、あの世に行ったらバウラ達に伝えてくれ、犬死だったってな!」

「っ! 位置交換術(トランスポジション)!!


 ドッペルゲンガーがにやにや笑いながらそう告げると、僕にレイピアを振り下ろそうとする。

 その瞬間僕の呪文でシュヴァルツと僕の位置を入れ替わり、ドッペルゲンガーのレイピアはシュヴァルツのフルプレートに弾かれる。


「な、なに―――ヘブッ!?」


 急に僕とシュヴァルツが入れ替わったことに動揺するドッペルゲンガーの顔面にシュヴァルツはフルプレートの拳を打ち込む。

 ドッペルゲンガーは殴られた部分を手で押さえながら何が起きたか理解できない顔で僕とシュヴァルツを交互に見ていた。


 シュヴァルツと入れ替わった僕は四人のダントーイン帝国のエージェントと対峙する。最初は入れ替わったことに戸惑っていたが、直ぐに冷静さを取り戻したのか僕の周りをぐるぐると回り、前後左右から同時に攻撃を仕掛けてくる。


「万物の根源たるマナよ 爆ぜろっ 魔力の爆発(ヴォーテックス)!!」


 僕の中から魔法のエネルギーが噴き出し、猛烈な爆発となって周囲へと炸裂する。


「うっ……いった~……」


 この魔法は自分を中心に魔法の爆発を発生させるが自分にもダメージが入る。とはいえ、まともに爆発を受けたダントーイン帝国のエージェント達は粉微塵に吹き飛んでおり、女エルフが持つ遺物でも復活させる事が出来ないようで、ダメージを受けた甲斐があった。


「おのれっ! 遺物よ、かの者に天罰をっ!」

「ぐっ!?」


 女エルフは手駒を封じられたことに怒り、遺物の秘めたる力の一つで僕に攻撃してくる。王冠にはめられた水晶が光ったかと思うと、僕は衝撃を受けて吹き飛ばされる。


「貴様を殺して、我が配下にしてやる! 氷の光線(アイスレイ)!!」

「万物の根源たるマナよ 熱線となりて 我が敵を焼き尽くせ! 灼熱の光線(ブラストレイ)!!」


 女エルフはまた命中した箇所を瞬時に冷凍させる光線を放つ。

 僕は対抗するように灼熱の光線を放ち、双方の光線がぶつかり合い、せめぎ合う。


「ほう、人間の子供にしては中々の魔力よな。だが、エルフの魔力はお前達人間の百人分はあるぞ!!」


 女エルフはそう言ってさらに魔力を込めて光線を押し返そうとする。


「………」

「フフフフ、絶望して言葉もでぬか? さあ、こお―――」


 凍れと言い切る前に一瞬で灼熱の光線に押し返されて、女エルフの胸部に巨大な穴が出来上がる。

 女エルフは自分の胸にできた穴を見た後、僕の方を信じられないという驚愕の表情を向けたまま血を吐いて絶命する。


 一方シュヴァルツはドッペルゲンガーと残りのダントーイン帝国のエージェント達と戦っている。


「よくも俺の顔おおおお!!!」


 ドッペルゲンガーはシュヴァルツに殴らた部分だけ元の銀の素顔に戻っており、怒りの形相でレイピアで何度もシュヴァルツを突く。


「殺ったっ!」


 シュヴァルツのフルプレートフェイスのフェイスガードの隙間にレイピアを突き入れ、手首を捻る。

 同時にダントーイン帝国のエージェント達もシュヴァルツの鎧の隙間などにナイフを突き入れる。


「フハッ! フハハハハ! ルカール、お前の仲間をまた殺してや―――アヴェ?」


 ドッペルゲンガーはシュヴァルツの顔にレイピアを突き刺したまま、僕の方を見て笑うが、またシュヴァルツに殴り飛ばされる。


「なっ!? 確かに頭を貫いて……」

「すいません、実は私人間じゃなくて、生きている鎧……つまりアニメイトサーヴァントなんですよ」


 ドッペルゲンガーは信じられないという顔でシュヴァルツを見る。

 シュヴァルツは自分の正体を明かしながら顔に刺さったレイピアを抜きとり、鎧の隙間に刃物を刺したダントーイン帝国エージェントの一人の脳天に刺す。

 もう片方の手で残りのエージェントの頭を掴むと、力任せに首を捻り折る。

 ドッペルゲンガーはそれを見て後ずさりし、シュヴァルツは歩きながら距離を詰めていく。


「あとはお前だけだ、ドッペルゲンガー!」


 後ずさりするドッペルゲンガーに立ちふさがるように僕が道を塞ぎ、反対側もシュヴァルツが封鎖する。


「バウラ達ヴォラーの仇取らせてもらうよ。彼らが味わった無念を痛みとして味わえ! 苦痛(ベイン)!!」

「ウギャアアアアアアアア!!」


 僕は呪文を唱えると、ドッペルゲンガーの頭上と足元に魔法陣が現れる。

 魔法陣からは先端がフックになっている鎖が無数に現れて、ドッペルゲンガーの体中に突き刺さり、肉を引き千切っていく。

 肉が引き千切れると新しいフックが現れてまた突き刺し引き千切るように引っ張る。


 ドッペルゲンガーは絶叫を上げて魔法陣から逃げようとするが、鎖の引っ張る力の方が勝っているのか引き戻され、肉をちぎられる。

 絶叫を上げるたびにドッペルゲンガーが今まで化けてきたと思われる人物の顔に次々と変化していき、最後は顔の肉を引き千切られて、魔法陣に肉片が吸い込まれていった。


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