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一時転生先で冒険者スローライフ  作者: パクリ田盗作
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第三十八話 二次試験の内容


 アイアンランクへのランクアップ試験としてモヒーカーンのチームメンバーのマガミ、ルビィ、セガール、そして僕とシュヴァルツの五人は最初の試験としてリパンという行商人の護衛依頼を受けた。


 護衛依頼の道中、オルグリーフという村からホーストレストという街に向かうルートでロックトロールの待ち伏せを受け、これを撃退した。


 ロックトロールの巣を調べれば、襲われた人々の死骸や遺品が見つかり、遺品を回収してホーストレストへと報告に向かう。


 ホーストレスト側の街道警備隊に報告すると、警備隊内では大騒ぎとなった。

 街道警備隊としてはゴブリンかオーク、もしくは人間の盗賊団が街道に潜んでいるだろうという見解で、シルバーランク相当の冒険者がいないと討伐できないロックトロールが街道に住み着いているというのはまさに寝耳に水という状況だった。


「いや~、皆様がいなければ私たちは今頃ロックトロールの餌になっていたでしょうね」


 ロックトロールとの遭遇以降の道中は特に問題もなく、今回の護衛依頼の最終目的地であるオーリンに辿り着き、依頼人である行商人のリパンが大喜びしている。


 無事に到着できたというのもあるが、僕達の代行としてロックトロールの巣で回収した犠牲者たちの遺品を道中で売りさばいて手数料などで予想以上に儲けたというのもあるだろう。


「皆様のランクアップ試験合格祈ってます」


 依頼完了のもろもろの手続きを終えるとリパン達は去っていく。


「ケインさん、二つ目の試験って何ですか?」

「そいつはここの冒険者ギルドで話す。ギルドはこっちだ」


 セブンブリッジの冒険者ギルドの職員であるケインに二つ目の試験内容を聞くと、ケインはここオーリンにある冒険者ギルドで話すと言って移動する。


「ここがオーリンの冒険者ギルドだ。話はついてる、はいるぞ」


 オーリンの冒険者ギルドは西部劇の映画に出てくるサルーンのような二階建ての建物だった。入り口には両開きのウェスタンドア、内装も酒場がメインという感じで、隅っこに依頼掲示板がある。


 ギルド内には冒険者たちもいて酒を飲んだりカードやダーツで遊んでいたりする。


「セブンブリッジの冒険者ギルドの者だ。頼んでいた物は?」

「こいつだ。二階に部屋をとってある」


 ケインはカウンターにいるサルーンのマスターみたいな人に声をかけ、マスターは一枚の紙と鍵を渡して、二階の部屋を指さす。


 二階はロの字型の吹き抜けになっており、手すりにはサルーンガールのような肌を露出した派手なドレスをした厚化粧の女性たちが僕達を見下ろして微笑んだり手を振ったりしている。


「うっひょ~~、お近づきになりてぇ~っす!」

「不潔……」

「これから二つ目の試験内容を部屋で発表する。遊ぶなら試験が終わってからにしろ」


 マガミは鼻の下を伸ばしてサルーンガール達に手を振り、それを見たルビィが軽蔑するように呟く。ケインは紙と鍵を受け取るとマガミを注意して用意された部屋へと向かった。


「ルーシェス、ちゃっちゃと試験終わらせて遊ぶぞ!」

「一人で遊んでくださいよ」


 マガミは鼻息荒く僕の肩を掴んで、サルーンガールを指さして一緒に遊ぼうと誘ってくる。


「ちょっと、ルーシェス君に変な遊び教えようとしないでよ」

「変な遊びとは心外なっ! 健全な男として当たり前の遊戯っす! なあ、セガール!」

「俺を巻き込むな。さっさと行くぞ」


 ルビィがマガミから奪うように僕を抱き寄せて抗議し、マガミはキリっとした顔でセガールに同意を求めるが、セガールはため息をつくと興味がないようにケインについて行く。


「全員いるな? これから二次試験の内容を伝える。ここオーリンから東へ片道二日ほど行った山間で盗賊が出没している。その盗賊の討伐が二次試験の内容だ」


 オーリンの冒険者ギルドが用意した部屋は大部屋の宿泊部屋だった。

 ケインがカウンターで受けとった資料の内容を読み上げる。盗賊討伐という言葉に部屋の中がシンと静まり返る。


「アイアンランクからは護衛や賞金首に盗賊の討伐といった対人をメインとした依頼が多くなる。お前らはモンスター討伐には慣れているかもしれないが、同族……同じ人間を殺すことにはおそらく慣れていないだろう。二つ目の試験内容は全員最低でも人一人殺せ。討伐に成功しても、殺せなかった奴は不合格にするからな」


 ケインはここでアイアンランクになるのに必要な条件を僕達に説明する。

 ちらりとマガミ達の様子を見ると、マガミとルビィは少し緊張した顔になるが……セガールは特に動揺した様子もなくケインの話を聞いている。


「人を殺すというのは躊躇もあるだろうが、今回のターゲットは悪党だ。殺して悲しむやつより、喜ぶ人の方が多い。盗賊のアジトを探し出して殺せ。行っておくが俺も同行するからごまかしは効かんぞ。出発は明日の朝の九時、オーリンの正門に集合だ。自信がないなら今のうちにリタイヤしろ。現地で躊躇したら仲間の足を引っ張るだけだからな」


 ケインは淡々と明日の予定を伝え、自信がないなら今すぐ降りろと伝えてくる。


「何か質問は?」

「移動に片道二日だけど、その間の食料とかは?」

「お前らで揃えろ。護衛依頼で得た報酬があるだろ?」


 ケインが僕達に質問がないかと聞いてくると、ルビィが道中の食事について質問し、ケインは自前で揃えろと言ってくる。


「盗賊団の規模は?」

「最低十人だ」

「なるほど、最低十人か」

「ねえセガール、何がなるほどなの?」


 次に質問をしたのはセガール。盗賊団の規模を聞いてケインが資料を見ながら人数を述べると、セガールは最低十人という部分を強調していい、ルビィが疑問を口にする。


「はぁ……情報では十人だが、正確な人数は不明ということだ。盗賊団のアジトにばれずに侵入して一人一人丁重に数えたりしない限り正確な人数はわからない。極端に言えば百人いる可能性だってある」

「ひゃっ、百!? そんな人数僕達だけで無理だよぉ……」


 セガールはちらりとルビィを見てため息をつき、最低人数の意味を説明する。ルビィは百人という言葉にフルフルと首を横に振って無理だと呟く。


「ルビィさん、百というのは驚かすための方便ですよ。多くて……二十といったところでしょうね」

「ほう、その根拠は?」


 シュヴァルツは怯えるルビィを宥めるように百人規模というのはあり得ないと述べ、ケインが根拠を聞いてくる。


「まず百人という人数ですと食料などの維持費も馬鹿になりません。そんな規模の盗賊団が歩いて二日ほどの距離にいるならもっと大々的な討伐隊を結成されます。あくまで私達ランクアップ試験に挑む冒険者に任せる規模じゃないと試験として成立しません」

「あっ! なるほど……言われてみればそうだよね……」

「まあ合格だな」


 シュヴァルツが根拠を述べるとルビィも納得したように手を叩く。ケインもシュヴァルツの主張は納得できる根拠だったのかうんうんと頷いている。


「確かにお前らでも対応できる規模かもしれないが、相手は街道で旅人や商人を襲って金品を奪う悪党どもだ。どの仕事にも言えることだが油断していると死ぬぞ?」

「うっ……気を付けます」


 ケインは最後にルビィに釘を刺し、ルビィは耳が痛いのか視線を逸らす。


「今回の討伐には報酬はあるんですか?」

「ああ、全体報酬でドラゴン金貨五十枚だ。盗賊の財宝など戦利品はお前らの物だ」


 僕が報酬について聞けばケインは資料を見ながら答える。報酬額的にそんなに大きな盗賊団ではないのかも?


「他に質問は? ……ないようだな。繰り返すが明日の朝九時の鐘がなったら出発するからな。それまでに各自荷物を整えて正門前に集合だ。話は以上だ、解散」


 説明を終えたケインは荷物を置いて外に出る。


「往復で四日……念のために皆の一週間分の食料買っておきますか」

「一週間は多くないか? さすがに荷物に……あ、お前はならなかったな」


 僕がメンバー全員分の買い出しを提案すると、マガミが一週間分は多くないかと言いかけて、僕の指輪を見てマジックバッグの存在を思い出す。


「嫌じゃないなら僕がみんなの分収納するよ」

「……頼めるか」


 他のメンバーの食料なども僕が収納すると提案すると、セガールが頭を下げてお願いしてくる。


「とりあえず俺は盗賊団について街で聞き込みしてみるよ」

「じゃあ僕も」

「俺は休む」


 マガミとルビィは聞き込みに、セガールは部屋で休むことにした。


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