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一時転生先で冒険者スローライフ  作者: パクリ田盗作
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第三十六話 アイアンランクアップ第一試験


「ルーシェスさん、冒険者ギルドから呼び出しが来てるよ。何でも試験の日程と内容が決まったとか」

「あ、はーい。ありがとうございます」



 舞台脚本家のシェイクスから新作歌劇の招待状を貰って観劇してから数日後、宿屋の女将に冒険者ギルドから呼び出しが来たと起こされる。

 いつもの冒険者衣装に着替えてシュヴァルツと一緒に冒険者ギルドへと向かうと、二階の会議室に案内される。


「失礼します」


 僕達が会議室入ると、四人の男女が座っていた。

 うち三人はモヒーカーンさんのチームメンバーのマガミとルビィとセガール。

 もう一人は冒険者ギルドの制服を着た金髪で三十代ぐらいの男性スタッフだった。


「これで全員揃ったな。俺の名前はケイン、見ての通りギルドスタッフで、今回の試験官を務めさせてもらう。今この部屋にいるメンバーが今回アイアンランクへのランクアップ試験を受けるメンバーだ。こっちの記録ではお前たち全員は何度か合同チームで依頼を請け負ったとなっているから、自己紹介はいらないよな? 試験は二つ。一つ目は護衛依頼を受けてもらう」


 ケインと名乗ったギルドスタッフは手元の資料を見ながら、一つ目の試験内容を告げる。


「護衛依頼の内容は何ですか?」

「セブンブリッジで行商をしている商人の護衛だ。ここセブンブリッジから北にあるオーリンまでの片道を護衛してもらう。試験も兼ねているが依頼なので報酬も出るぞ。チーム全体でドラゴン金貨十枚、戦闘などがあった場合は一回の戦闘ごとに危険手当としてシャード銀貨五枚と戦利品は全部お前たちの物、食事や滞在費は依頼人が持つが最低限だと思っておけ」


 僕が依頼内容を聞くとケインは依頼内容を教えてくれる。


「二つ目の試験は?」

「それは一つ目の依頼終了予定地であるオーリンにある冒険者ギルドで発表することになっている。まずお前たちは無事に一つ目の試験でもある護衛依頼を完了させることだけ考えろ」


 セガールが手を挙げて二つ目の試験について質問するが、ケインは二つ目の試験内容は現地で伝えるとしか言わない。


「俺は試験官として二つの試験に同行するが基本戦闘には参加しないし、道中アドバイスも手伝いもしない」

「ええっと、ケイン試験官も護衛対象っすか?」

「自衛はするが……俺が死んだら試験どころじゃないと思ってくれ。だが最優先は依頼人だ」


 ケインが試験官として護衛依頼に同行すると伝えると、マガミが試験官も護衛対象か質問する。

 ケインは少し悩んで、アイアンランクのギルドプレートを見せて自衛手段は持ってると教えてくれる。


「護衛対象の規模は?」

「荷馬車が二台と御者一人に手伝い一人、依頼人の商人だ」


 シュヴァルツが護衛対象の規模を聞けばケインは手元の書類を確認しながら護衛対象の規模を教えてくれる。


「護衛依頼はいつからですか?」

「明日の朝九時、東門集合。遅刻なんかするなよ」


 ルビィが依頼の出立日を聞くとケインは明日九時だと教えてくれる。


「他に質問は? ……ないようだな。会議室は昼まで使える。その間に誰がリーダーを務めるか決めるといい」


 ケインはそういうと会議室から退室していく。


「リーダーは誰がします?」

「ルーシェス、頼めるか?」

「え? 僕がですかっ!? 年も若いし、まだそんな経験ないですよ?」


 ケインが退室した後、僕が今回の試験依頼チームのリーダーを誰にするか聞くと、セガールが僕をリーダーに指名する。


「個人的には経験豊富なシュヴァルツさんにリーダーお願いしたいっす。でもシュヴァルツさんはルーシェスの臣下みたいな護衛っしょ? だったらルーシェスをリーダーにした方が早いっす」


 僕が遠慮するとマガミがリーダーに指名した理由を述べ、ルビィとセガールが同意するように頷く。


「モヒーカーンさんは参加しないんですか?」

「リーダーはもうアイアンランクだから試験からは外れろってギルドから言われたの。リーダーもお前らだけでやれるとこ見せろっていうし」


 モヒーカーンさんが不在の理由を聞けば、ルビィがモヒーカーンは今回の試験から外されているとの事。


「ルーシェス、君とは二度チームを組んだ。実力も知っているし、信頼もできる。やってくれ」

「……不肖ながらリーダー務めさせてもらいます」


 セガールに信頼していると言われ、リーダーを引き受けることになった。

 その後はダーヴィスさんの宝探し依頼以降モヒーカーンチームが何をしていたか、ルビィがシェイクスの新作歌劇のチケットが手に入らないかと色々雑談して解散する。


 翌日、集合時間三十分前に東門に到着するとギルドスタッフのケインと今回の依頼人と思われる商人が二台の荷馬車の横で談笑していた。

 商人は三十代ぐらいの人間の男性で、行商人ということもあり旅慣れた服装をしていた。


「おはようございます。本日はよろしくお願いします」

「随分とお若い人だね……うちの丁稚と同い年くらいか? 後ろの金属鎧の人は頼りがいがありそうだねえ」


 依頼人に挨拶すれば、依頼人は僕の姿を見て丁稚と変わらない年齢に驚き、シュヴァルツを見ると安心したようにほっとしている。


「おはようございます! よろしくお願いします」


 集合時間十分前にはルビィ、マガミ、セガールの三人もやってくる。


「初めまして、今回護衛を依頼した依頼人のリバンです。こちらが御者のパッドと丁稚のトニーです」

「トニーですっ! よろしくお願いします!!」


 全員が集合したことで依頼人側から自己紹介を始める。

 依頼人のリバンが自分の店員を紹介する。御者のパッドはオドオドした様子で無言で会釈だけし、丁稚のトニーは僕達に目を輝かせて元気よくはきはきと挨拶をする。


「マガミっす。斥候がメインで武器はクロスボウっす」

「僕はルビィ、マガミと同じく斥候がメインで 武器は弓矢です」

「セガールだ。見たらわかると思うが戦士で剣と盾で戦う」


 依頼人側の自己紹介が終わるとまずはモヒーカーンチームが自己紹介する。


「シュヴァルツです。セガールさんと同じ戦士で両手剣が得意です」

「ルーシェスです。魔法使いです」

「まっ! 魔法使い!? ケケケ、ケインさんっ! 私魔法使いを雇うようなお金ないですよっ!!」


 僕達が自己紹介する番になり、僕が魔法使いだと名乗ると依頼人のリバンは青い顔で動揺してケインにお金がないと言ってくる。護衛に魔法使いを雇うと料金が違ったりするのかな?


「今回はランクアップ試験も兼ねてるので、当初の契約金額で大丈夫です。逆にあの料金で魔法使いが護衛につくと思えばラッキーですよ」

「たっ、たしかに……契約した通りの料金しか払いませんからねっ!」


 ケインが苦笑しながらリバンに当初の契約金で大丈夫ですというが、リバンは釘をさすように別途料金は払わないと口酸っぱく繰り返す。


「ところで、移動ルートは決まっているんですか?」

「え? ああ、まずは初日の目的地であるオルグリーフに向かう。ここで一泊する予定だ。そのあとはホーストレストという村に向かうよ」


 リバンに移動ルートを聞くと、リバンは懐から地図を取り出し、荷台の上で広げて最初の目的地を教えてくれる。


「では出発しましょうか」


 リパン達はそういうと荷馬車に乗り込み、出発する。

 試験官のケインと僕達は荷馬車を護る様に囲んで徒歩でついて行く。

 最初は整備された石畳の街道を進んでいくが、オルグリーフはメインの街道からそれた場所にあるらしく、支流になっている踏み固められただけの街道にそれていく。


 空は雲一つない晴天で街道脇には旅人の木という果実がなる木が等間隔に生えている。

 この果実は自由に採取していいことになっており、街道を歩く旅人の空腹や渇きを満たしてくれる。無論取りすぎはマナー違反だ。


 道中では丁稚のトニーがあれこれと話しかけてくる。どうも冒険者に憧れているらしく、僕達にあれこれ聞いて回って、リバンに仕事の邪魔をしないようにと注意されたりしていた。


「全員止まるっす!」


 街道を歩いて数時間、先頭を歩いていたマガミが手を挙げてキャラバンに止まるように言う。

 マガミは背負い袋から望遠鏡を取り出すと遠くを確認する様に覗き込む。


「どうしました?」

「どうもこの先の茂みに敵が待ち伏せしているっす。隠れるのが下手糞で武器が太陽の光で反射してるっす」


 マガミの元まで行くと、マガミは街道の先を指さす。目を凝らして見つめれば確かに茂みからぴょこんと出た金属が太陽の光に反射しているのがわかる。


「何か問題ですか?」

「この先で待ち伏せがあるようです。ルビィとセガールは陽動を警戒して荷馬車を護って。僕とシュヴァルツとマガミで隠れてるやつらを逆に急襲する」


 荷馬車まで戻ると、心配そうな顔で依頼人のリパンが状況を聞いてくる。

 僕が街道先で見た状況を伝え、セガールとルビィを荷馬車の護衛に残して、僕とシュヴァルツとマガミで待ち伏せしてる相手に襲撃をかける。


「あそことあそこ……それにあそこに潜んでるっすね。どうするっすか?」

「潜んでいる相手がわからないから、魔法であぶり出します。万物の根源たるマナよ 蜂となりて 我が敵にまとわりつけ 魔法の蜂の大群(マジックビースォーム)!!」


 マガミが繫みに隠れている対象の居場所を指摘し、僕がそこに向かって魔法で生み出した蜂の群れを差し向ける。

 ブンブンと耳障りな羽音を響かせて蜂の大群が茂みに向かうと、イヤーイヤーと悲鳴を上げて茂みに潜んでいた人物が飛び出してくる。


「ゴブリンか」

「どこかに巣があるようですね、これは」


 茂みから飛び出してきたのはゴブリンの集団。シュヴァルツは蜂に追い立てられるように茂みから飛び出してきたゴブリンの集団を見て、近隣に巣があるようだと述べる。


 蜂に追い立てられ茂みから飛び出してきたゴブリン達はイヤーイヤーと悲鳴を上げて蜂から逃げるように右往左往している。

 ゴブリンの中には武器で蜂を追い払おうとするが、僕の魔法で生み出された蜂はゴブリンの武器程度ではびくともせず、逆にお返しだとばかりに一斉に群がって針で刺していく。


 ゴブリン達は僕が呼び出した蜂から逃れるために四方八方に走り去っていく。

 ただ、この魔法は効果時間が終了するまで隠れていようが、水の中に逃げようが執拗に追いかけ続けるのでゴブリン達はたまったものじゃないだろう。


「……これって危険手当対象になるっすかねえ?」

「うーん……報告して判断してもらおうか」


 逃げ去っていくゴブリン達を見てマガミは戦闘による危険手当の対象になるか疑問を口にし、僕は報告して依頼人に判断してもらうことにした。

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