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一時転生先で冒険者スローライフ  作者: パクリ田盗作
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第二十八話 考古学者レイル・モーディンの依頼


 画家リチャードの失踪事件から数日後、僕達はまた仕事を探して冒険者ギルドへとやってきた。

 相変わらず早朝の依頼掲示板への依頼貼り付け作業直後は争奪戦が起きており、懲りることなくルール違反した冒険者達がペナルティとして業務停止処分を受けていたりする。


「すまない、君たちまだ仕事受けていないならこの仕事受けてみないか? ちょっと我々では条件が合わなくてな……」


 そうやって争奪戦を眺めていると、冒険者の一団が依頼書を差し出してくる。

 依頼内容は文献の遺跡が本当にあるのか調査したいから護衛を頼むという考古学者からの護衛依頼だった。


「あれ? でもこの仕事、確かに拘束期間が不明ですけど、報酬はいいですよ?……いいんですか?」

「あ、ああ……実は我々は今回の依頼人と別件の依頼でトラブルになったことがあってな。その……なんだ、顔合わせにくいんだ。依頼人もそんな以前トラブルになった冒険者相手に護衛してほしくないだろ? なあ、助けると思って頼む!」


 拘束期間が遺跡が見つかるか予算が尽きるまでと不透明だけど、日当も悪くないし食事も出るのでそんなに悪くない依頼ではと思ったが、話を持ち掛けた冒険者チームが依頼人と過去にトラブルを起こしたらしく顔を合わせたくないという。


「わかりました。困ったときはお互い様ですからね」

「ほんとうか! 助かるよっ! 今度一杯奢らせてくれ。おい、急いで掲示板に戻れ!!」


 僕が依頼書を受け取ると、話を持ち掛けた冒険者チームは急いで争奪戦が繰り広げられる掲示板に戻る。


「えーっと、依頼人は……レイル・モーディン? ん~……どっかで聞いたような……?」

「マスター、以前図書館でお会いした女性の方です」

「あっ! あの人かぁ~」


 依頼人の名前を見て既視感があり誰だったかと思い出そうとすると、シュヴァルツが図書館で出会った女性だと教えてくれる。


「依頼書受け取った以上はやらないといけないね」

「そうですね」


 僕達は受付で依頼受理手続きを行うと、辻馬車に乗って東町にある依頼人の家へと向かう。

 レイル・モーディンの家は東町にある貴族街の中にあり、セカンドエンパイアというタイプの白い壁と青い屋根が特徴の屋敷だった。


「当家に何か御用でしょうか?」

「冒険者ギルドで依頼を受けた者です。こちらが証明書になります」

「少々お待ちください」


 依頼人の家の近くで辻馬車を止めると、守衛が声をかけてくる。

 依頼受託証明である木札を見せると、話が通っているのか守衛の一人が中に入っていく。


「お嬢様がお会いになるそうだ。武器を預けてついてきてくれ」


 守衛が戻ってきて依頼人であるレイルと面会するために屋敷に向かう。

 屋敷内は落ち着いた雰囲気で応接間に通される。


「やあ、今回は私の依頼を受けてくれて……うん? 君はどこかで出会った記憶があるな? はて、どこだったかな?」

「以前図書館で会いました。セブンブリッジ近辺や諸島の歴史についてお話ししましたルーシェスです」


 応接間にやってきたレイルは、図書館で出会ったときと同じく男装のような服装だった。

 僕の顔を見ると首をかしげて何処かであったかと聞いてきたので、以前図書館で出会ったことを伝える。


「ああっ! あの時の少年冒険者かっ! いやはやこんなところで再会できるとは……いや、あの時の議論は実に有意義だった。よければまた語り合わないかい?」

「ゴホン……お嬢様、再会を喜ぶのもいいですが、今回お二人は仕事できていますので、本題を」


 レイルは図書館での出会いを思い出し、一方的にレイルが喋っていたはずの出来事がお互いに議論を語り合ったことになっている。

 また語り合わないかと迫ってくるが、キルスという使用人が咳払いして話を戻そうとする。


「おおっといけない。また私の悪い癖が出てしまったな。コホン、今回君たちに依頼したいのは戦士の塔の調査の護衛だ」

「戦士の塔って何ですか?」

「うむ、よくぞ聞いてくれたっ!」


 キルスに注意されて本題を思い出したレイルは戦士の塔という遺跡を探すので、調査中護衛してほしいと言う。

 僕が戦士の塔について質問すると、レイルはスイッチが入ったように語り始め、キルスは頭を抱えてため息をつくとこっそりと出ていく。


 レイルの自説の混じった戦士の塔の話を要約すると、まだナブー大国が設立するよりも古い時代、この地域はバグベアードという人型モンスターの支配地だったという。


 彼らは帝国を築き上げて辺り一帯を支配していた。

 バグベアードの戦士階級のみが埋葬される墓地が存在したという。

 バグベアードの帝国もナブー王国の前身となる人間たちの勢力によって滅ぼされ、バグベアードの帝国は滅亡し、帝国の生き残りはそれぞれ氏族に分かれてエリン大陸各地に分散したという。


「偶然手に入れた古い文献を調べたら、ここから少し離れた場所に当時の戦士の塔の遺跡があるらしい。ふう……喉が渇いたな、キルスお茶を入れてくれないか?」

「はいはい、ただいま」


 レイルは戦士の塔について話し終えると一息ついて、キルスにお茶を頼む。

 タイミングを見計らったようにお茶をもって戻っていたキルスは最初からそこにいたような雰囲気で紅茶を入れる。


「質問なんですけど、僕達の護衛の範囲は遺跡を見つけるまでですか? それとも遺跡を見つけて中を調べて脅威を排除するまでですか?」

「できれば遺跡の中も調査したいね」


 僕は手を挙げて拘束期間について質問する。レイルは紅茶を飲みながら、見つけた場合遺跡内も調査したいと述べる。


「見つからなかった場合の拘束期間は? さすがに年単位とかになるとちょっと……」

「ええっと、今回許された探索予算はいくらだったかな?」

「今回アカデミーから支給された予算ですと、大体一月ほどかと」


 次に遺跡を見つけるまで無期限と書いてあったが、実際の拘束期間を聞くと、レイルはキルスに予算の内訳を聞き、キルスが予算から逆算して最大拘束期間を割り出して告げる。


「調査メンバーは?」

「私とキルスの二人だ。本格的に掘り返さないといけないとなった場合は大まかな場所を見つけた後依頼完了。後日発掘隊を派遣する」


 他にも必要と思われる項目を質問していく。レイルは嫌な顔一つせず、逆に次にどんな質問が来るのか楽しみにしているような表情になっていく。


「遺跡で財宝などが見つかったときの取り分は?」

「ふむ……歴史的価値があるものはこちらが貰う。私の判断になるが、歴史的価値がない物はそちらの報酬にしようではないか」


 遺跡で見つかった財宝の所有権について質問すると、レイルは応接間をうろうろしながら考えこみ、歴史的価値があると思われるものはレイル達が回収、それ以外は僕達の物にしていいことになった。


「さて、他に質問はないかね? そちらの鎧の御仁はいいのかい?」

「うーん……今の所はこれぐらいかな?」

「私はマスターの意向に従います」

「では、明後日の朝に出発する。朝六時に東門で会おう」


 思いつく質問を終えると、レイルはパンと手を叩いて質問タイムを終了させ、待ち合わせ時間を告げる。


「キルス、見送りを。お二人を見送った後は発掘の準備だ」

「かしこまりました。お二方玄関までご案内します」


 話を終えるとレイルは応接間を出ていき、レイルの退室を確認してからキルスが僕達の見送りに入る。


「この度は依頼を受けて戴きありがとうございます」

「そういった歴史にも僕は興味ありますから」


 玄関に向かう途中、キルスが今回依頼を受けたことに対して礼を述べる。


「お嬢様は大変好奇心が強く気になることに周りが見えなくなる傾向がありますので……その、申し訳ございませんが、いつもより強く気を張って這っていただけると嬉しいです」


 キルスは少し言葉を選ぶようにレイルの悪癖でもある好奇心について注意して、護衛には気を使ってほしいとお願いしてくる。


「依頼として受けた以上は全力を尽くします」

「これは頼もしい。ぜひよろしくお願いします」


 僕が胸を叩いて承諾するとキルスは微笑み、シュヴァルツの方を向いて頭を下げる。まあ、シュヴァルツの方が見た目的にも頼りがいがあるように見えるしね。


 僕達はキルスに見送られながらレイル邸を後にした。


 最後までお読みいただきありがとうございます。

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