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精霊楽士は笛の音と共に〜テルミナ大陸魔戦奇譚〜  作者: 鬼戸アキラ
第一章 力に目覚めし精霊の楽士
2/9

メナス王立楽士学院入学試験。

お読み頂きありがとう御座います。

4話目まではこの感じで、5話目から展開が魔戦に傾いて行きます。

宜しくお願い致します。

いよいよ入学試験の日がやって来た。

今日は早めに学院に向かう為に、早い時間の朝食を取っていた。其処にマリーゼル様が部屋にやって来た。


「フリューレ、おはよう!今日が試験ね!まあ、貴方なら余裕で受かるでしょうけれども」


「マリーゼル様、おはようございます。余裕は流石に有りませんが、最善を尽くします」


「何言ってるのよ。貴方はあのガドーラ辺境伯様のご推薦を受けているのよ。其れだけで貴方が学院に入るのは決まってる様なものなのだから。後は首席かどうかだけなのよ」


「わ、私が首席ですか??まさかそんな…」


朝から何を言ってるのだこのお嬢様は…と思っていると、マリーゼル様は呆れたような顔をして続けた。


「貴方はまだガドーラ辺境伯様のご推薦と言うのを良く理解していない様ね?ガドーラ辺境伯様のご推薦を頂けた方は、何れも超一流の『楽師』として御活躍なされているわ。だから皆が欲しがるのよ。だけどご推薦を貰えたのは貴方を含めても、たったの5名しか居ないのよ」


「そ、そうなのですか?…全く知りませんでした…」


「はぁ…でしょうねぇ…出会った時からそのように感じては居ましたが…。とにかく自信を持って試験に臨みなさい」


「は、はい、ありがとう御座います…」


私は自分の無知さに呆れる思いだった…辺境伯様のご推薦がこれほどの意味を持っていたとは…。私からするとガドーラ辺境伯様の印象は音楽好きのお爺様という感じで、優しくて音楽への愛情が深い方くらいの印象だった。今にして思えばなるほど村長やシスターが手放しで喜んだ訳だ。あの時は良く分かっていなかったのだけどね…。


散々お嬢様にプレッシャーを掛けられた私は子爵家の方々とのお別れの際もガチガチだったのだろう。子爵閣下より「そう力が入り過ぎてると笛に嫌われてしまうよ」と笑われてしまった。


「大変お世話になりました。では行って参ります」


「合格したら直ぐに教えるのですよ!約束ですからね!!」


とまたプレッシャーを掛けて来るマリーゼル様であった。参ったな、こりゃあ…。


学院までビルケルさんに馬車で送って頂いた私は学院の正門に到着した。


「フリューレ様の合格をお祈りしております。こちらは奥様よりお昼のお弁当で御座います」


ビルケルさんが大き目の包を持たせてくれた。本当にありがたい。


「奥様に宜しくお伝え下さい。それでは行ってきます」


私はビルケルさんに挨拶をし、そのまま正門から中に入る。受付の方に向かうと事務の人から「推薦状を見せて下さい」と言われたのでガドーラ辺境伯様から頂いた推薦状を見せた。すると事務の人の顔色が変わって手が震え出している。奥に居た責任者の様な人がやって来て事務の人が推薦状を見せると来た人も大きく目を開けて推薦状を食い入る様に見ている。


「失礼ですが、貴方がフリューレ君で間違いありませんか?」


「はい、ガドーラ辺境領のルスクス村からやって参りましたフリューレと申します」


「そうですか、間違い無い様ですね。ではコチラのバッチを胸に着けて、学院の中にお入り下さい。中の担当者に試験会場の控室まで案内してもらって下さい」


「はい、ありがとう御座います」


私はそのまま学院の中に入る。それを見届けた事務の人と責任者は驚いていた。


「は、初めて見ました…ガドーラ辺境伯様のご推薦状…」


「私も2度目だが…久し振りで驚いたよ…今年の試験はとんでも無い事になるぞ…」


こうして事務局の人間にはガドーラ辺境伯様のご推薦状をもった者が試験に現れたと騒ぎになっていったのである。


そんな事は露知らず…私は学院の控室に到着していた。最初に入ると中に居た人達の視線が刺さって来たが、私の服装を見ると薄笑いをしたり、興味無さそうに練習を始めていった。見回しても貴族か金持ちしか居なさそうである。私は邪魔にならない様に端の方で笛の手入れを始めた。

しばらくすると横の方に居た女の子が声を掛けてきた。


「君は横笛を使うのかい?ボクも横笛なんだよ。ボクはラスティアって言うんだ、君の名前は?」


「私はフリューレと言います。ラスティアさんのその笛、綺麗な横笛ですね!」


「コレは特注品なんだぁ〜。父の知り合いの冒険者からドワーフの名工に作らせた物なんだよ」


「へぇ〜ドワーフの名工の作だと中々無いよね」


「フリューレの横笛も良い物じゃないのか?古そうでは有るけど中々良い物に見えるぞ」


「この横笛は推薦状を頂いた方からの誕生日プレゼントなんです」


「なるほど!貴族の方のプレゼントだったのだね。良い品だと思うから大事にすると良いよ」


「ありがとう御座います。あっ、そろそろ試験かな?」


事務の人がやって来た。これから試験が始まる様だ。此処からは一人ずつ呼ばれて試験会場に行く様だ。時間が掛かりそう。

見ていると豪華な服装をした人から呼ばれていた。やはり貴族が優先なのだなぁ〜などと思いながらもラスティアさんと色々と喋って居たので待ち時間も苦痛では無かった。


ラスティアさんは王都でも有名な『カルバルド商会』の娘らしい。かなり辺境のウチの村にも名前は聞こえる商会なのでかなり有名に間違い無しだ。平民枠だけどお金持ちのお嬢様だね。

やはり私の様に笛が大好きで幼い頃から教師を付けてもらって練習していた様だ。店の奥で練習している時にお店にやって来た貴族に気に入られて推薦状を書いてもらったらしい。

いよいよラスティアさんの番だ。


「ラスティアさん!頑張って!」


「フリューレ君も頑張るんだよ!一緒に合格しよう!!」


ラスティアさんが行ってから大分待った…と言うより最後が私だったのである。

会場に連れて行かれると十人ほどの試験官が待っていて、私は舞台の上に上がらされた。

試験官の一人は私の服装を見るや否や欠伸をしている…。


「それでは…フリューレ君だったか?君は…」


と言うとその試験官は何かを見て固まって居る。隣で欠伸をしていた試験官も二度見をして驚いた顔をしていた。


「す、済まない…始めてくれ…」


「はい。では…」


私は子爵家で一番最初に演奏した曲を披露した。最初の方でやはり試験官の皆が驚いた顔をしていた。その後真剣に食い入る様に私の笛の音を聞いていた。曲が終わると試験官達は全く微動だにしなかったが、奥の方から拍手が聞こえて皆が振り返る。


「が、学院長!!!」


皆が頭を下げている。恰幅が良い、品の良さそうな学院長がこちらまでやって来た。


「君がフリューレ君かい?流石はガドーラ辺境伯様のご推薦を頂いただけはある。これからも楽しみにしているよ。お疲れ様、もう下がりたまえ」


「あ、ありがとう御座いました…」


私はそのまま職員に連れられて二階の部屋に案内された。其処には十数名の試験を受けた者達が居たのである。


面白い、次も読みたいと思われましたら、ブクマや☆の方を入れて頂けると嬉しいです。


連載中の小説です。コチラもご覧頂ければ幸いです。

転生したら属性魔法を使えないので、金属使役魔法を極めて生き抜く予定です。

https://ncode.syosetu.com/n0176gh/

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