表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/52

強くおなりよ


「し、[身体強化]に、種類があるんですか?」


 聞いたのはマルレーネ。

 それにリズはケロリと「あるよ」という。


「[身体強化]は十段階まであるし、その上に個々の戦闘スタイルに合わせたタイプや、個人の[個体強化]という自分だけのものもある。そこまで覚えられれば別人のようになれるよ。今のキミたちは六人で揃ってボクと戦っても秒殺だよね。まあ、ボク転移魔法や召喚魔法とかも使えるから、やろうと思えばこの国と戦争もできるんだけど——」

「えっ」

「さすがにやらないよ。ボクの家族に手を出すのなら話は別だけど、ゼジル以外の王族はそこまで愚かではないだろうしね」


 にっこり。

 もちろん家族に——特に姉に手を出すやつは許さない。

 姉が結婚する相手もリズより強い男、もしくは姉を誰より大切にしてくれる人でなければ。

 そうでなければ許せない。

 前世からずっと姉は可哀想だった。

 今世では幸せになってほしい。

 いや、リズは——自分がかかわった人にはみんな幸せになってほしいと思っている。

 腹が立つ相手ではあるけれど、ゼジルにも。

 悲しい世界は、前世で十分味わったから。


「管理人さんがワタシたちを教えてくれたりとか、しないんですか?」

「今言ったでしょ、ボク、教員免許持ってないの。年末の試験を受けて、免許取ってからなら教えてあげられるよ」

「ふ、ふん。しかし管理人殿は魔法使いだろう? 我々は武器を持って戦うのだぞ。しかも各々使う武器が違う。それでも我らを教えられるとでも?」


 小首を傾げたマルレーネのかわいらしさに顔を赤くしながら言っても、なんとなく説得力的なものに欠けるぞヘルベルト。

 と、思わないでもなく。

 笑いを堪えるのに必死になりつつ、一度わざとらしく咳払いをする。


「それを極めるのは各々の努力でしょう? ボクはその手助けならできるよって話。まあ、少なくともキミらはまずもって実戦経験がなさすぎる。基礎鍛錬ばかりでは限界があるし、実戦を経てようやく基礎鍛錬の重要性も理解できるだろう。なにより、昨日自分の限界や弱い部分なども理解したんじゃない?」

「うっ」

「魔王が復活すれば、魔物の強さはあれより上だ。しかもボアは元々この世界にいた、一般的な魔物。魔王が連れてきた『異界の魔物』はあの比ではないし、グレートドラゴンの五十体分くらい強い魔物もいる。魔王はそれよりも強い。古の勇者たちが命を賭して封印するのが精一杯だったのは、それくらい強さに差があったからだろう」


 さすがにヘルベルトも目を剥いて息を呑む。

 リズは、平和ボケは悪いことではないと思っている。

 でもそれも終わりが近い。

 願わくば彼ら以外にも、頼れる実力の勇者たちが誕生しますように。


「魔王が復活したらもちろんボクも戦う。でもボク一人でも限界はあるよ。この国全土を覆う結界を作っても、四天王クラスが来たら長くは持たない。魔王の復活とは、世界そのものへ影響をもたらす。世界中の人が協力しあってようやく乗り越えられる天災なの。でも、今の時代の人はそれがわからないだろうね。古の手記には、それを案じたものが多かったな」

「管理人さんは、魔王が封印された時代のことを知ってるんですか?」

「本当に詳細なものは禁書庫とかにあるから読んでないけど、閲覧可能なものは読破済みだよ。それを踏まえて言ってるんだ」


 表向きの情報だけでも、十分今の時代の戦力では“太刀打ちできない”。

 そう言っている。


「空に現れた黒点は魔王が封じられた空間への出入り口。まだすべて開ききっていない。おそらく第一段階。読んだ資料には、五層の空間のずれで封じてあるらしいから、ゆっくりと黒点を軸にずれていた空間が()()()()()()()

「え、ま、待ってけろ。んでは、ほんとの、ほんとに、魔王は復活するんけ?」

「する。あと五、六年の内に」

「っ——!」

「!」

「ッ」

「!!」


 反応は各々だ。

 だが、皆表情には焦りがある。

 それでいい。


「その間に魔物は今日の比ではないほど強く強大になり、二、三年以内にこれまで存在しなかった魔物も現れ始めるだろう。たとえばデーモン系。これは魔法と物理を合わせなければ倒せない。ボクなら魔法で作り出した岩の槍とかで貫くけど、キミたちにそれと戦う(すべ)はあるかな? いや、今この世界に、それができる人間ってボク以外に、いる?」


 皆、押し黙る。ロベルトとエリザベート以外の。


「し、しかし、五、六年以内ということは……たとえば私やエリザベートは勇者特科を卒業しているぞ」

「それが? それで【勇者候補】の称号が消える?」

「うっ」

「世界中の【勇者候補】の称号を天啓で与えられた者たちは、あくまで候補でしかない。その中で勇者に至ることができる者は一握り。当然ボクはこの六人の中で一人もその領域に至れる者が出ない——とも思ってる」

「なっ!」

「そのくらい勇者の道は険しいよ」


 少なくとも、あのボアたちに手こずるようでは。

 そう、つけ足す。


「強くおなりよ。無理せず撤退するのも、逃げ方も、協力して戦い勝利するのも自由。それもすべて経験になる。残りの数ヶ月、強くおなり。せめてボクが鍛えるに相応しいところまで登っておいでよ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【宣伝】
e2l99izo1sp584h4gy58mbil1uhu_3a_ci_hs_3q
Kラノベブックスf『今日もわたしは元気ですぅ!!(キレ気味)〜転生悪役令嬢に逆ざまぁされた転生ヒロインは、祝福しか能がなかったので宝石祝福師に転身しました〜』 4月2日創刊!
コミカライズはマンガアプリ『Palsy《パルシィ》』4月19日、マンガアプリ『pixivコミック』4月22日より掲載スタートです!

コミカライズ「マンガUP」で連載中!
『うちのお嬢様が破滅エンドしかない悪役令嬢のようなので俺が救済したいと思います。』 321811000629.jpg
詳しくはこちら→カドカワBOOKS様ホームページ

5v8zm52z91v13b6im4mb1sj88m2w_b31_5x_8w_y
『転生したら絶滅寸前の希少種族でした。』翻訳電子書籍が配信中!

『追放悪役令嬢の旦那様』
aubh3lgrafru8nlejtjv4uphjx9k_7i1_c0_hs_4cx8.jpg
ツギクルバナー
『第4回ツギクル小説大賞』【大賞】受賞!
書籍版、発売中です!
詳しくはツギクルホームページへ
1巻
2巻

【コミカライズ】
マンガアプリ「マンガPark」で連載中!

dxapjn8uciyacdsd1785635ucomx_ygt_a3_et_73eo.jpg
『泣き虫な私のゆるふわVRMMO冒は険者生活 もふもふたちと夢に向かって今日も一歩前へ!』がBKブックス様より発売中!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ